「5G」の普及に向けて、英国政府はさまざまな連携や組織の支援に注力している。国を挙げて高速通信のインフラを整えるべく、具体的には何に取り組んでいるのか。
2033年までに「2G」(第2世代移動通信システム)と「3G」(第3世代移動通信システム)の利用をやめ、「5G」(第5世代移動通信システム)などの新しいモバイルネットワークへのシフトを推し進める英国政府。刷新に当たり、英国政府はモバイルネットワーク事業者(MNO:Mobile Network Operator)との密な連携を重視しているという。
MNO各社は5Gを活用したネットワーク開発に取り組んでおり、英国奥地の農村部で通信インフラの改善にも注力している。こうした動きを踏まえ、英国政府はMNO各社の5G構築ノウハウをモバイルネットワークの刷新に生かす方針だ。
英国のMNO業界団体Mobile UKのディレクターを務めるハミッシュ・マクラウド氏によると、Mobile UKと加盟企業は、連携を重んじる英国政府の取り組みを歓迎して協力する姿勢を示す。MNO各社は、英国政府が今回の計画を打ち出す前から2Gと3Gの利用を廃止することを決断。高速で消費電力の低いネットワークへのシフトによって顧客満足度を高めることを目指している。
モバイルネットワークの刷新を進めるために不可欠なのが、MNOと連携してオープンな無線アクセスネットワーク(RAN:Radio Access Network)である「Open RAN」を構築することだ。RANは主に、デバイスとコアネットワーク(モバイルネットワークの基幹ネットワーク)を結ぶために使われる。英国政府はさまざまなベンダーの機器や技術を使ってOpen RANを構築。2030年までには英国の公共ネットワークの通信量の35%をOpen RANでカバーする意向を示している。そのために約3600万ポンドを投じ、スコットランドやウェールズも含め英国全土で実証実験に取り組んでいるところだ。
目標達成に向け、英国政府はコンペティションを立ち上げ、15個のコンソーシアムを選んだ。コンソーシアムは現在、無線送信機や信号処理装置、電力管理システム、制御ソフトウェアといったOpen RAN技術の開発に着手している。
英国政府はネットワーク技術のテスト施設「SONIC Labs」に最大1500万ポンドを投資する計画も発表した。ロンドンとブライトンを拠点とするSONIC Labsは、IT促進を目指す英国の政府機関であるDigital Catapultが運営し、ベンダーが開発中の製品や技術をテストできる。
Digital Catapult最高技術責任者(CTO)のジョー・バトラー氏は、ITを普及させて英国の競争力を高めるためには「技術の多様性と相互運用性が重要だ」と説明する。SONIC Labsは、ベンダー各社の技術の信頼性やセキュリティの向上を目指す。「英国政府の投資を施設の拡充に充てたい」とバトラー氏は言う。
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