「2G、3G終了のお知らせ」を英国政府が出した“本当の狙い”とは?英国政府肝いりの「5G活用」の行方【前編】

英国政府は「2G」「3G」といった古いモバイルネットワークから「5G」への刷新に力を入れている。自動運転やスマート農業といった新技術への応用につなげる目的もあるものの、無視できないもう一つの狙いがある。

2022年06月17日 10時00分 公開
[Joe O’HalloranTechTarget]

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 英国政府は2033年までに「2G」(第2世代移動通信システム)と「3G」(第3世代移動通信システム)を段階的に廃止し、「5G」(第5世代移動通信システム)などの新しいモバイルネットワークへの移行を促進する。自動運転やドローン(小型無人飛行機)といった、高速通信が必要な技術を活用しやすくするのが狙いだ。新しいモバイルネットワークへの移行を機に、多様なネットワークベンダー構成も追求する。

「2G、3G終了のお知らせ」の“本当の意味”

 2Gと3Gの2033年までの廃止について、英国政府は

  • Vodafone Group
  • EE
  • VMED O2 UK(Virgin Media O2の名称で事業展開)
  • Hutchison 3G UK(Threeの名称で事業展開)

の大手モバイルネットワーク事業者(MNO:Mobile Network Operator)4社と合意した。廃止の目的は、5Gの他、将来「6G」(第6世代移動通信システム)を導入するために必要な量の周波数帯を確保することだ。

 英国政府はモバイルネットワークの刷新によって、自動運転車やドローン、仮想現実(VR)/拡張現実(AR)といった技術を使いやすくし、英国企業のビジネスの活性化につなげる。他にもITを取り入れた「スマート農業」や観光客向けの高速通信の提供、沿岸警備隊の海難救助をサポートする“5Gブイ(浮標)”での、新しいモバイルネットワークの利用を想定する。

 ネットワークベンダーが英国の5G市場に新規参入する際は、2Gや3Gの製品・サービスを提供する義務がある。MNOの大手4社がそう求めていることが背景にあるという。英国政府は、こうした義務は新規参入の障壁になっていると問題視している。モバイルネットワークの刷新をきっかけとしてルールを見直し、さまざまなネットワークベンダーが市場に参入しやすくする方針だ。

 他にも英国政府は新しいモバイルネットワークによって、ネットワーク運用管理の効率化や周波数帯の再利用に加えて、ネットワーク運用電力の削減を図っている。


 後編はモバイルネットワークの刷新に向けた、英国政府とMNO各社との連携に焦点を当てる。

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