複数のコラボレーションツールを使い分ける状況が続くと、さまざまな悪影響が生じる可能性がある。注意が必要なのは生産性の低下だけではない。どのようなデメリットがあるのか。
社内コミュニケーションのために「Microsoft Teams」「Zoom」「Cisco Webex」「Slack」といったコラボレーションツールを併用している企業は珍しくない。調査会社COMMfusionの主席アナリストであるブレア・プレザント氏は「コラボレーションツールが乱立すると、エンドユーザーはどれを何に使うべきかを把握し切れなくなり、混乱してしまう」と警告する。
エンドユーザーが多種多様のコラボレーションツールを使い分ける状況を放置すると、さまざまな悪影響が生じる可能性がある。プレザント氏が挙げる代表的な問題は次の通りだ。
セキュリティ対策も考慮すべきポイントだ。複数のツールを併用している場合、IT部門にはその分の専門知識と運用管理の労力が必要になる。
もし個々のチームが好き勝手にツールを導入していいことになると、IT部門は全てのツールを安全に管理できず、適切なサポートができなくなる。そうなると、セキュリティ対策を正しく実施しているかどうかを確認するのは、それぞれのエンドユーザーになってしまう。「IT部門が関与しなければ、社内で使用しているツールに関する知識にギャップが生じるだけでなく、エンドユーザーがセキュリティの問題を引き起こす懸念がある」。米TechTargetの調査部隊Enterprise Strategy Group(ESG)のシニアアナリストであるゲイブ・クヌス氏はそう話す。
ツールの乱立で見過ごされているもう一つの問題が「認知疲労」(認知機能の低下)だ。複数のツールを行ったり来たりしていると、エンドユーザーは精神的に疲弊する可能性がある。クヌス氏は「アプリケーションの切り替え1回当たりで損なわれる時間がそれほど多くないとしても、積み重ねで疲労は増大する」と述べる。
この認知疲労の問題についてはプレザント氏も同意を示す。「1つのツール画面上で作業していたのに、突然変更しなければならなくなると、脳を切り替えることが難しくなっていき、認知疲労を引き起こす可能性がある」(同氏)
後編は、コラボレーションツールの乱立を防いで適切に管理するためのヒントを解説する。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
社会人Z世代の休日の過ごし方 関東と関西の違いは?
大広若者研究所「D'Z lab.」は、37人へのインタビューと1000人へのアンケートを基に、社...
製造業の8割が既存顧客深耕に注力 最もリソースを割いている施策は?
ラクスは、製造業の営業・マーケティング担当者500人を対象に、新規開拓や既存深耕におけ...
「生成AIで作った広告」が物議 そのとき、コカ・コーラはどう動いた?
生成AIを広告制作に活用し、議論を呼んだCoca-Cola。この経験から何を学んだのか。