アプリ開発と管理のあるべき姿を問い直す
スマホで使いたいのはやっぱりネイティブアプリ、「モバイルの常識」はどう変化?
モバイルアプリ導入において、セキュリティに劣らず重要なのがユーザーエクスペリエンスだ。モバイルデバイス管理(MDM)はまだ消滅しない。ApperianのCEO、ブライアン・デイ氏に話を聞いた。
企業が従業員向けモバイルアプリを開発して配布する場合、アプリの価値も安全性も、全てはユーザビリティにかかっている。
「アプリが企業のセキュリティポリシーを満たすことは不可欠だが、モバイルアプリの導入が成功するかどうかはユーザーエクスペリエンス次第だ」――モバイルアプリケーション管理(MAM)ソフトウェアを提供するApperianの社長兼CEOのブライアン・デイ氏はそう話す。2016年3月に同社がボストンで開催したカンファレンス「Mobile App Meetup」で、デイ氏はモバイルデバイス管理(MDM)の現在の役割や、ネイティブアプリ開発のトレンドについて語った。
――現在のモバイルの最大のトレンドは?
ブライアン・デイ氏 最近ようやくネイティブアプリ開発が増えてきた。それまではHTML5で問題を解決できるといわれていたが、HTML5ではユーザーが求める使いやすさは到底実現できない。全てはユーザビリティ次第だ。グラフィックスが見やすく、高速かつ機能的で、デバイスの画面にぴったりと合ったアプリ。自分ならそういうアプリを使いたい。それを実現できるのはネイティブアプリだけだ。
最近はその方向への変化が現れてきている。優れた開発ツールも多い。
――モバイルアプリ開発にエンタープライズモビリティ管理の標準化を推進するために最近設立されたAppConfig Communityについてどう思うか?
デイ氏 重要なのは、できるだけ多くの人にアプリを使ってもらい、できるだけ使いやすくすることだ。この動きは、AirWatchやMobileIronなどのMDMベンダーがデバイスのロックダウン(機能制限)だけでは不十分だと気付いた現れだろう。ユーザー企業が求めているのは、より多くの従業員に、より安全にアプリを使ってもらうことだ。
長期的には標準化が重要になる。企業のIT部門としては、3年後に17社ものベンダーをばらばらに利用しようとは思わないだろう。3社か4社に絞りたいはずだ。業界再編が必要となる。請負業者向けにはApperian製、従業員の一部にはMicrosoft製、別の一部の従業員にはAirWatch製というわけにはいかない。長期的に考えると、それは不合理だ。
――モバイルアプリ開発者にとって他にどんな問題があるか?
デイ氏 OSが頻繁に変わることだ。Appleが「iOS」の新しいバージョンを出すたびに、開発者は自分たちのアプリが新バージョンで正しく動くかを確認しなければならない。これは大仕事だ。小規模な開発会社には割が合わない。アプリの料金を支払い済みのユーザーにとってはアプリが(将来の)「iOS 10」で動くのは当たり前であり、それを確認したからといって追加料金を払ってくれたりはしない。OSの変更に対応するためにいくら働いても利益にならないのが悩みだ。
――Appleはセキュリティ機能を幾つか追加したが、企業のIT部門に重要な機能は?
デイ氏 iOSにはVPN機能が追加された。「Android」にはまだない。問題は、iOSデバイスが1万台、Androidデバイスが5台あるような場合だ。たった5台であろうとAndroidデバイスもサポートしなければ、5人の従業員はそれを使えなくなってしまう。Appleはこうした新しいものを取り入れるのが得意だ。Appleの「Per app VPN」を活用するなら、Android用に自分たちで同じ機能を用意しなければならない。
――複雑な業務アプリの一例は?
デイ氏 現場で働く人のためのアプリは特に重要だ。例えば、価格情報が含まれるアプリなどがある。トヨタ自動車も当社の顧客だが、ショールームの営業担当者は車のオプションについて、その場で正確に答えられなければならない。オーディオシステムや最新型ナビゲーションが装備されているかどうか。そうした情報を提供するアプリは不可欠だ。
――MDMはもう無用か、それともデバイス管理とアプリ管理を組み合わせる必要があるか?
デイ氏 デバイスがなくなるわけではない。金融機関など一部の業界では、デバイスのロックダウンが必要とされている。MDMの需要は確実にある。
MAMとMDMを同時に運用したいという要望が多い。既に運用しているMDMに加えて、アプリのセキュリティのためにApperianを利用する顧客もいる。そうすることで、デバイスレベルとアプリレベルのセキュリティを確保できる。
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