本音で議論、学生×教員IT活用座談会【第1回】
IT先進校の現役大学生に聞く、学生が喜ぶIT製品とは?(2/2 ページ)
「クリッカー」で講義を活発化
大武 小酒井先生の講義では、「Clica」というクリッカーアプリケーションをよく活用しています。クリッカーを使うと、学生がスマートフォンを使ってマルバツ形式で投票したり、4択の選択肢を選んだりすることができます。直接言いにくいことでも投票で伝えることができ、Clicaの場合は匿名で発言もできます。こうしたことができる講義は他にはなく、楽しく受講しています。他の先生にも使ってほしいです。
小池 通常の講義では、発言するのは決まった学生になることも少なくありませんが、クリッカーを使った講義では発言者が偏る傾向はあるのでしょうか。
大武 実は講義で「ぼそっ」とつぶやくばかりの学生ほど、クリッカーではすぐ発言します。友達同士で「どうする」「こうなんじゃない」などと話をしてから、クリッカーに入力する学生もいますよ。
小酒井 講義では単に教員の話を聴いてもらうだけではつまらないので、講義開始直後のアイスブレイキングのところで、クリッカーを使ってまず学生に「今日は講義重視でいくか、演習重視でいくか」と質問してみて、意思表示をしてもらいます。「やると意思表示をしたのなら、やろうよ」と確約してもらうためです。
その後は、特定のテーマについて書き込んでください、といった使い方をしています。学生の大部分はスマートフォンを持っているので、Clicaのスマートフォンアプリを入れてもらえばすぐに使えます。
Clicaでは学生の発言をタイムラインとして見ることもできるので、手元で見るようにしています。取り組んでいない人がいない状態にするためです。ある学生の発言を見て「誰だ、これ」みたいな反応ができるので。講義に引き込むための“技”なのです。
大武 実際、小酒井先生はクリッカーでの発言をけっこう拾ってくれます。先生から「何か発言して」といわれるだけではなく、学生の方からアクションが起こせる手段があるのはいい。クリッカーは、挙手した学生を先生が当てるだけではない、新しい講義の仕方が実現できる手段だと考えています。
挙手するよりもクリッカーを使った方が思ったことがすぐ言えるし、発言の時間も短縮できるし、より良い講義になるはずです。
小酒井 なぜClicaを使うかというと理由は明確で、スマートフォンで使えるから。講義で「アクティブラーニング」(能動的学習)を実践しようとすると時間が足りなくなりがちです。そうすると、とにかく手軽さが欲しくなる。その理想にいちばん近いのが、スマートフォンで使えるClicaなのです。
ClicaはID/パスワードを入力すればすぐ使えますし、学生はスマートフォンならいつでも持っています。ノートPCの利用が前提になると、まず机の上を片付けて、ノートPCを開いて、無線LANの認証をする必要がある。手間が掛かってしょうがない。
データ共有が大きな強みに
小池 片岡さんは栗谷先生の講義でTA(ティーチングアシスタント)をやってきたそうですね。TAの活動の中で気付いた、お勧めのIT製品はありますか。
片岡 WebサイトやWebアプリのプロトタイプを作るオンラインサービス「Prott(プロット)」でしょうか。皆が作ったWebサイトのプロトタイプをProttの共有スペースに置いて、先生がそれをモニターに映して、全員で共有するといった使い方をしています。こうしたことが簡単にできるのは、すごくいいなあと思います。
今までのWeb関連の授業は、基本的には先生がお手本を見せてくれるだけでした。Prottを使えば自分のデバイスで実際にプロトタイプを表示できて、触ることができるのがいい。
栗谷 データを共有できる意味は大きいと考えています。講義ではこれまで通りの手描きでWebサイトの画面や要素を列挙した設計図である「ワイヤフレーム」を作成したり、Webサイトの動作を紙芝居のように表現する「ペーパープロトタイプ」を作成したりもしますが、それをデジタルデータとして作成して共有できるのは重要なポイントです。
小池 Prottを有効活用できる教育機関は限られるかしれませんが、皆の制作物をオンラインで共有するというやり方自体は、他の教育機関でも役立ちそうですね。
第2回では、IT活用の中で感じている課題について議論してもらう。
執筆者紹介
為田裕行(ためだ・ひろゆき) 教育ICTリサーチ主席研究員
大学卒業後、西日本の大手学習塾企業へ就職。一斉指導、個別指導、合宿教育など現場で先輩方に鍛えられ、1999年フューチャーインスティテュートの設立に参画。東京都における教員への教材開発支援プロジェクトに関わり、公教育だけでなく、私教育の現場への教育IT導入の可能性を模索。活動の詳細は「教育ICTリサーチブログ」にて発信している。
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本音で議論、学生×教員IT活用座談会
先駆的なIT活用校で、ITを日常的に活用している大学生と教員。それぞれの視点から活発な意見が交わされた教育IT座談会の様子をレポートする。
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