本音で議論、学生×教員IT活用座談会【第2回】
「検索だけならスマホで十分」 大学生が問う“ノートPC必携”の是非(2/2 ページ)
求められる「ダイバーシティー」の視点
小酒井 他の選択肢でも問題ないのに、「それしか選択肢がない」かのように提示するのはダメだってことだよね。
大武 選択肢が1つしかないのは、とにかくつまらない。手段を指定されてしまうと何も面白くないし、創造力も生かせない。勉強する手段も、成績の付け方も、1つの種類しかないとは思えません。
小池 学びに関しては、大学であれば手段ではなく目的にフォーカスすべきだし、具体的な手段は学生に任せてほしい、ということですね。
小酒井 教員にはダイバーシティーの視点がもっと必要かもしれません。講義での教え方も、自分が教わった形が正しいやり方だと思い込んでいる教員が多い印象がある。こうした教員は「自分と違う考え方や、違う理解の仕方をする人がいる」「自分と違うやり方で目的を達成する人がいる」といった考えに行き着きにくい。そのことが「私が言っている通りの演習をやれば、勉強になるはずだ」という思い込みにつながるのです。自戒の念を込めて言えば、教員こそ学生に歩み寄るという意識を持つべきですね。
今は産業界からの要請として、求められた答えに行き着く力だけではなく、自分で答えを作り出す力も必要とされている。そのため、講義では議論をする時間を確保したい。そうすると、どうしても教員には使い慣れた手段を使おうという意識が働きがちです。学生と教員とで立場は違っても、手段も含めてフラットな関係で議論できる。そんな場が用意できればと考えています。
自分のデバイスぐらい自分で選びたい
大武 小酒井先生のゼミでは、デバイスの自由度が高いです。先生もMacBookを使っているし、タブレットの「iPad mini」を借りて使うこともできる。自分が使いたいと思うデバイスを活用できるので満足しています。
デジタルハリウッド大学 片岡さん(以下、敬称略) デジタルハリウッド大学では、講義で使うノートPCはWindowsノートPCとMacBookのどちらでもよく、学生が自由に選べます。なので、デバイスについての不満はありません。
私ははじめ、あるメーカーのWindowsノートPCを買ったのですが、使いにくさを感じてMacBookに変えました。自分で「嫌だな」と思ったら、自分の意思で好きなものに変える。周りの皆も同じように、自分で使うデバイスは自分で選んでいます。
小池 自分が使うためのデバイスだから、自分で選んだ方がいいということですね。
片岡 デジタルハリウッド大学のPCルームにあるデバイスの大半はWindowsデバイスで、Macが置かれているPCルームは1教室だけです。私が受講しているWeb関連の講義では、WindowsデバイスしかないPCルームを使っています。でもPCルームにもデバイスの持ち込みはできるので、私は大体、自分のデバイスを使っています。PCルームのデバイスを使うと、データのやりとりが面倒なので。
デジタルハリウッド大学 栗谷氏(以下、敬称略) 大学の推奨デバイスであるかどうかにかかわらず、ノートPCは「全員持っておかなければならない」というルールにしています。1人1台は必ずノートPCを持って講義を受けている、ということです。
片岡 講義で先生から「ノートPCを持ってきて」と指示されることはありません。ただ基本的に「デバイスを持っていくか、いかないか」という選択肢はなくて、持っていくことが前提になっています。
栗谷 要は使うか使わないかだけの話。だから教員が「持ってきて」と言う必要がないのです。
デジタルハリウッド大学には「自分が好きなものを使う」前提で学生が入学してきます。だからOSを縛ったり端末を縛ったりする考え方はなくて、講義で使うアプリケーションも、幅広い端末やOSで使えるWebベースのものを使おうという考え方になる。どの端末でも使えるようにするから、特定の製品や特定のサービスに偏ることがないのです。
どの製品かサービスかというよりも、インターネット環境が自然にある状況を作ることが大事。そこができれば、例えばデバイスは各人が使いやすいものを使えばいい。
特に教員については、人によってITの習熟度が違うことは確かです。学生と一緒に学んでいく心持ちが必要だと思いますね。近づき過ぎず一定の距離を保ちながら、「先生も分からないんだ」という雰囲気をもっと出してもいいのではないでしょうか。
第3回では引き続き、教育機関がIT活用を進める上での課題を議論する。
執筆者紹介
為田裕行(ためだ・ひろゆき) 教育ICTリサーチ主席研究員
大学卒業後、西日本の大手学習塾企業へ就職。一斉指導、個別指導、合宿教育など現場で先輩方に鍛えられ、1999年フューチャーインスティテュートの設立に参画。東京都における教員への教材開発支援プロジェクトに関わり、公教育だけでなく、私教育の現場への教育IT導入の可能性を模索。活動の詳細は「教育ICTリサーチブログ」にて発信している。
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本音で議論、学生×教員IT活用座談会
先駆的なIT活用校で、ITを日常的に活用している大学生と教員。それぞれの視点から活発な意見が交わされた教育IT座談会の様子をレポートする。
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