開発環境も「所有」から「消費」へ
IBMのクラウド戦略、開発リソースのエコシステムでSIパートナーの“窮地”を救えるか(2/2 ページ)
APIエコノミーを通じた新たなパートナーエコシステム構築を目指す
このBluemix APIこそが、クラウドを軸にしたIBMのパートナービジネスの鍵を握ると及川氏は言う。
「多くのSIパートナーはこれまで、案件ごとに多大な工数を投入して個別システムを構築してきたが、競争の激化で年々納期は短くなり、案件単価も低くなる傾向に各社が苦悩している。こうした状態を脱する方法の1つは、全てを自前で構築するのではなく、自社のコアコンピテンシー以外の機能はAPIエコノミーを通じて他社から調達する、と発想を切り替えることだ。これにより、価値の高いソリューションを迅速にユーザーに提供できる体制が現実的なものになる」
多くのパートナーは、これまでのビジネスを通じて豊富な業務ノウハウを蓄積している。しかし、いざそれを商材としてシステム開発に落とし込もうと思っても、一部の超大手企業を除いては、あらゆる開発リソースを自社で取りそろえることは困難だ。そこで前述のIoTアプリケーション開発の例のように、APIエコノミーを通じて他社が提供する機能パーツを組み合わせ、レゴブロックを組み上げるようにアプリケーションを素早く構築していくのは1つの方法だ。
あるいは、自社のサービス単体ではなかなか商機がつかめなくても、それをAPIとして公開することで新たな商機が広がる可能性もある。こうしたエコシステムが、ビジネスプログラムだけでなく、現実のサービスとしてすぐにでも利用可能な状態にあることが、IBMのクラウドパートナービジネスにおける最大の価値だと及川氏は強調する。
「既にアジア各国では、こうした形でのアプリケーション開発が当たり前になりつつあり、このままでは日本は出遅れてしまうのではないか」と及川氏は危惧する。「クラウドやAPIをベースにしたビジネスモデルへの変換には、経営の決断が必要だが、判断が遅れれば遅れるほどビジネスモデル転換に伴う痛みも大きくなることが予想される。パートナーにはいち早くこうした新しい世界に乗り出していただきたいと考えている」
そのために日本IBMは、さまざまな新しい支援策を用意している。単に情報やトレーニングを提供するだけでなく、案件をIBMとパートナーの共同で進める支援や、システム設計をIBMのコンサルタントやSEが支援するサービスも提供する。
IBMがPWLC 2016の場で発表した、2017年1月から刷新する「IBM PartnerWorld プログラム」では、クラウドを筆頭にIoTやアナリティクス、コグニティブコンピューティングなど10のコンピテンシー分野を設定している。それぞれの領域でパートナー企業が高い価値を提供できるよう、より密度の濃い支援策が提供されるようになる。これは今後、日本IBMでも具体的な支援策を順次公表していく予定だ。パートナーがユーザー企業に対してより高付加価値のソリューションを提案するために、収益増加を見込める戦略的成長分野への専門性強化を意識した支援体制をIBMは準備している。
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