テレワークの運用ルールと評価制度を考える【第2回】
中堅・中小企業のテレワーク事例、小さい会社もここまでやっている(2/2 ページ)
創業から在宅勤務ありきでスタート――SiM24の事例
- 所在地:大阪市中央区
- 資本金:5100万円
- 業種:データ解析、技術コンサルテーション
- 従業員数:23人(2015年4月1日時点)
SiM24は、工業製品の設計や開発工程を支援する構造/振動解析、熱流体解析からアグリ分野までの幅広い分野に対応した受託解析シミュレーションサービスを主な事業とするベンチャー企業として、2005年4月にパナソニックの出資によって設立した。
解析には専門的なスキルが必要であり、人材育成には時間がかかる。ところが、パナソニックでは高度な技術を持つ社員が出産や育児などの理由で退職してしまうケースが起きていた。
そこでSiM24は、ITシステムを活用し、解析シミュレーションをテレワークで実現する仕組みを構築した。現在は子育て中の18人の専門スキルを持つ女性社員が、完全在宅勤務で解析シミュレーションを行っている。事業は年数百件の受託解析を請け負うまでに成長した。
在宅勤務制度の運用内容
出典:『テレワークで働き方が変わる!~テレワーク白書2016~』(編者:一般社団法人日本テレワーク協会、発行:株式会社インプレスR&D)
1.承認基準
テレワーク社員は、シミュレーション関連技術もしくは設計関連業務の経験者を、Webサイトなどで公募し、社長面接によって採用。
2.労働時間管理
週報による自己申告制で、実務内容と労働時間を月1回提出。時給制のため、コアタイムはなく、社員は決められた納期を守るために自身でスケジュールを管理
3.評価制度
各個人のスキル・業務内容を見て社長が評価
4.テレワーカーの管理方法
週初めに各個人の予定表に各自が記入して社長や解析リーダーが把握可能とし、これに基づき業務を調整。
5.自宅の環境
1人1台のPC(セキュリティ基準に適合したもの)、携帯電話機、業務に必要なソフトウェア、Web会議システムを支給し、完全在宅勤務でもオフィスと変わりなく仕事をできる環境。
6.情報インフラの整備
親会社であるパナソニックの社内イントラネットを活用し、一部高価な解析ソフトを共有することにより、コストを抑える。情報に関する管理はSiM24内で完全に独立することで、パナソニックグループ外からの受託も可能に。
7.情報セキュリティ
情報セキュリティは、親会社であるパナソニックの情報セキュリティ基準に準拠し、定期的に社内教育を実施。PCは施錠をし、重要書類は書類保管庫を支給するなど、厳重に保管。
8.テレワーク実施上の創意工夫(1):5人組制
専門分野ごとに5人組制を採用。テレワーク社員の経験の有無による差や、得意分野をお互いに補完することで、厳しい納期に対応。また相互に解析内容をチェックすることで不具合を防止し、疑問が生じた場合に1人で抱え込まない仕組みとなっている。
9.テレワーク実施上の創意工夫(2):シスター制度(社内教育体制)
高度技術を持ったメンバーが経験の浅いメンバーに対し技術的な教育を行う仕組みを構築。新入社員が入った場合、必ず1人が教育係として各種サポートを行う。このペアを「シスター」と呼ぶ。
導入効果
出典:『テレワークで働き方が変わる!~テレワーク白書2016~』(編者:一般社団法人日本テレワーク協会、発行:株式会社インプレスR&D)
1.業績向上
2005年にベンチャーとして起業後、2年目に単年度黒字を達成、以降は増収増益で成長。解析費用のコスト半減と解析業務の標準化、特急対応、土日対応などにより、解析期間の半減を実現。
2.遠隔地人材の雇用
完全在宅勤務制度により、遠隔地(山形県、神奈川県)の人材の雇用を実現。今後、パートナーの転勤に伴って大阪以外へ移住した場合も継続雇用が可能。
3.従業員満足度
育児中という限られた時間の中で、会社の実務経験を生かした仕事が可能となり、従業員の満足度は高い。個人の生活と仕事とのワークライフバランスが良好な状態で勤務できることに大きな喜びを感じている従業員が多い。
4.顧客満足度
顧客からは、「迅速、低コスト、信頼性の高い回答」との評価を得ており、顧客のリピート率も増加しつつある。
SiM24では、今後はテレワークで実施する業務のさらなる効率アップに取り組み、将来は海外人材の活用と24時間対応の実現を目指している。
中堅・中小企業がテレワークを導入する場合、目立つのは経営課題としても上位にあげられる、人材確保を目的とした活用であり、今回取り上げた2つの事例はその一例である。
第3回では、テレワークの導入プロセスと課題について考察する。
日本テレワーク協会
2000年の設立から一貫してテレワークという新しい働き方の調査研究・普及推進活動を展開してきた国内唯一のテレワーク普及推進活動団体。ワークスタイル変革には欠かせない、多様な働き方を実現するツールであるテレワークの普及によって持続的発展が可能な社会の実現を目指す。
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テレワークの運用ルールと評価制度を考える
本連載ではTechTargetジャパンの読者である情報システム部門の読者に対して 、中堅・中小企業におけるテレワークの導入をテーマに、ICT以外も含めた包括的な情報をお届けする。「日本の現状」「企業事例」「導入までのプロセス」「労務管理上の留意点」「行政の支援制度」「関連製品/サービス」と、全6回の連載で各項目を解説する。
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