普及を阻むのはベンダーの独善的拙速
「シンプルなファブリック」でSDNは「2016年こそ本当に」離陸できるのか(2/3 ページ)
ステップ2:Time to Serviceの短縮
いったん導入したネットワークは、さまざまな環境変化(経済環境、競争環境、IT環境の急激な変化)に応じて、TCP/IPサービスを始めとするネットワーク関連サービス(プロセス)の柔軟な追加、変更、そして削除が必要だ。これに伴いサービスを展開するまでの時間(TTS: Time To Service)の短縮が重要となる。
従来の技術では、ネットワーク構成に変更が生じた場合、全てのネットワーク機器に対する設定変更が必要だった。そもそも物理的なネットワーク構成を変更することにも時間がかかる。追加するサービスもIPルーティングやIPマルチキャストなど多岐にわたる。この変更作業の内容と工数は、変更するネットワーク構成の規模と追加するサービスの量に合わせて指数関数的に増えてしまう。このような現状を放置したままでは、ネットワーク構成と提供するサービスの迅速な追加や変更、削除は不可能だ。
ファブリックベースのSDNアーキテクチャでは、物理的なネットワーク構成に依存せず、論理的なネットワーク構成を自由に変更できる。「コア」「ディストリビューション」「アクセス」で構成するSTPベースの3層構造ではなく、二重リング型、リング/スター混在型、フルメッシュ型など、既存のフロアや配線などを意識せずにネットワークトポロジーが組めるようになる。
これまでは、ネットワーク構成の中心(コア)にネットワークインターフェースモジュールやCPUモジュールをシャーシー型スイッチ(L3スイッチ)に組み込むことでハードウェア的に冗長性を担保していた。しかし、シャーシー型スイッチはモジュールの増設に対応する他CPUモジュールを冗長化している分ハードウェアとしては複雑で価格も高い。
しかし、ファブリックベースのSDNアーキテクチャなら、従来のようなシャーシー型スイッチのハードウェアの拡張性や冗長性に頼るのではなく、安価なボックス型スイッチを用いて柔軟性の高いネットワークトポロジーを組むことによって、ネットワークの信頼性を高めることにも貢献する。
ネットワーク構成を変更するときには、従来はほぼ全てのスイッチの設定変更が必要だった。ファブリックベースのSDNアーキテクチャでは、ファブリックで構成したネットワークのエッジスイッチだけ設定すれば、ネットワーク構成を変更できる。また、設定変更のために使うコマンド体系も簡素にしている。数行程度のコマンド記述で済み、設定すべき項目も大幅に減っていることから、ネットワーク運用のスピードを上げることが可能だ。これもTime To Serviceの短縮に貢献する。
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