きっかけは「オムニチャネル」と「IoT」
今まで使っていたのは「ERPもどき」? クラウドで実現する本当のERPとは(2/3 ページ)
IoTで起きるERPシステムの見直し
IoTをビジネスに生かすには、デバイスから得たデータを即時に解析する「フロント処理」と、大量データを保管し、分析する「ビッグデータ分析」が必要だ。さらにフロント処理やビッグデータ処理で得たデータ(IoTデータ)を、ERPシステムをはじめとする業務システムでリアルタイムに処理できるようにする必要がある。
業務システムがリアルタイムに動いていなかったり、複数のシステムを自動連係していなかったりする企業は少なくない。「『IoTをビジネスに生かしたい』となった場合、デバイスやビッグデータ分析の話をするところまでは順調に進む」と桐生氏は話す。しかし、いざIoTデータを業務システムで処理させようとなったときに「業務システムがリアルタイムに動いていない」「業務システム間のデータ同士が連係できていない」など業務システムの課題が顕在化することが多いという。「業務システムの見直しも含めて取り組まないとIoTのビジネス活用を実現できない、という話が増えている」(同氏)
IoTデータと業務システムの組み合わせで実現できることは、さまざまだ。例えば工場の設備に付けたセンサーデバイスから設備の状態に関するデータを収集・分析し、リアルタイムで異常なデータがないかどうかモニタリングすることが可能になる。業務システムがデータから設備に摩耗などの異常があるかどうかを判断できるようにして、「保守部品を送る」「保守担当者を派遣する」といった対応を自動化することもできる。
このように異常データの検知を起点として保守部品を送ったり、保守担当を派遣したりする対応は、業務プロセスの自動化がなされていなければ実現できない。またセンサーデバイスからデータをいくら収集しても、業務システムがそのデータをリアルタイムで処理できなければ、業務に迅速に生かすことはできない。
こうした背景から業務システム、特にERPシステムの見直しの要望が増えていると桐生氏は説明する。
「ERPもどき」を本当のERPにする
ERPシステムはヒト、モノ、カネ、情報を一元管理する目的で作られたシステムで、1990年代後半に導入が進んだ。上述の通り、オムニチャネルやIoTに代表されるデジタル産業革命の下で、ERPシステムの「リアルタイム性」や「自動化」が問われるようになった。従来のERPシステムは、ハードウェアや技術的な限界がありリアルタイム性や自動化を実現するのは困難だった。そこで、「『今までのERPシステムは、本当は“ERPもどき”だったのではないか』と考える企業が現れ始めた」と桐生氏は語る。
グループ企業の一元管理、リアルタイムでの在庫の見える化、商品マスターの自動統合は、実は決して新たに生まれたニーズではなく、ERPシステムがその登場時から期待されていたことだった。こうした本来実現したかったERPシステムを形にするために、導入済みのERPシステムを作り直そう、入れ直そうという流れがきている、と桐生氏は訴える。
「20年前にERPシステムを導入した企業では、古い業務プロセスでビジネスが動いていることになる。本来あるべきERPシステムを実現し、かつデジタル産業革命に合った新しいビジネスプロセスにも適応するために、そろそろERPシステムの見直しをするタイミングなのではないかと考える」(桐生氏)
「クラウド」が現実解に
ERPシステムを再構築する手段の1つとして注目すべきなのが「クラウド」である。ERPシステムをクラウドへ移行することで、
- 必要なときに必要な分のリソースを迅速に調達可能
- ネットワーク経由で、いつどこからでもデータへのアクセスが可能
- 社内でハードウェアの購入や導入作業をする必要なし
といったメリットを得ることができる。データの一元化やリアルタイム性の確保、自動化といったERPシステムに求められる条件を実現するために、上記のメリットは大いに役立つだろう。
迅速にリソースを拡張できるクラウドは、業務システムの機能追加やパフォーマンス向上、ストレージ容量の増大といったニーズに容易に対処できるので、業務システムやデータを集約し、一元化するインフラとして使い勝手が良い。クラウドにあらゆる業務システムやデータを集約すれば、ネットワーク経由でいつでもどこでもアクセスできるので、リアルタイム性の確保にも役立つ。さらにはシステム間連係もしやすくなり、自動化にも寄与する。
「オンプレミスでもデジタル産業革命の時代に即したERPシステムを実現できる」と考える企業もあるだろう。だが上述したクラウドのメリット、特にデータの一元化やリアルタイム性確保につながるリソース調達の迅速さ、データアクセスの容易さといったメリットを考えると、バックオフィスの統合にはクラウドが優位であると桐生氏は指摘する。
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