デジタル時代のERP再考(3)【後編】
IoTで変わるビジネス、求められる未来のERPの形とは(1/2 ページ)
企業がIoTをビジネスに生かすためには、ERPにも変革が求められる。製造業や農業を例に、ERPの将来像を考える。
“つながる”時代のERP
企業が新たな価値を顧客に提供するためには、自社のビジネスモデルやプロセスを支えるバックエンドシステムも変化せざるを得ない。ここでは、つながる時代のERPに求められることについて、前編「あなたの身近にもある、IoT活用の変革事例」の事例を参考に考える。
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デジタル時代のERP再考
Googleが取り組む「IoT(モノのインターネット)」
プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(P&G)の電動歯ブラシ「ブラウンオーラルB」の場合、新たなビジネスプロセスの鍵となるのは在庫管理である。交換用のブラシや本体の修理パーツなどの関連商品を、顧客が必要となるタイミングで在庫切れすることなく届ける仕組みが求められる。前編でも説明した通り、ブラウンオーラルBといったデジタル時代の商品やサービスはセンサー情報を基に本体の状態を判断、顧客に「そろそろ交換の時期です」といった能動的なメッセージを投げ掛けることが可能になる。しかし、実際の商品が在庫切れや入荷待ちの状態では、よりよい顧客体験を提供することはできない。顧客が必要なときに、必要な商品を届けるシステムを実現するには、下記の仕組みをリアルタイムに連係させる必要がある。
- どの地域の顧客が、どのタイミングで購入するのかを分析する仕組み
- 購入データを基にサプライヤーに発注する仕組み
- 適切なタイミングで納品される仕組み
各システム間のデータ連係が夜間1回のバッチ処理のみ、というような事態は早急に改善し、リアルタイムで連係させるべきである。在庫管理の分野においては、米Amazon.comとP&Gが2013年に戦略的なアライアンスを締結し、P&Gの倉庫からAmazon.comで受け付けた注文をダイレクトに配送するといった取り組みを進めている。このことからも、在庫管理の最適化が、つながる時代のビジネスにとって重要な要素となる可能性は無視できないだろう。
旭酒造の日本酒「獺祭」の場合、生産管理や工程管理、資源管理、品質管理をシームレスに連係させる仕組みが求められる。これらの管理を1つのソフトウェアで実現することは困難なため、それぞれの目的に適したソフトウェアを組み合わせた「複合システム」が必要となる。
例えば、気候や土壌、水質などの周辺データと、農業機械に設置したセンサーから吸い上げられるデータをリアルタイムに連係させ、今の状態をリアルタイムに可視化する。そうした上で、原材料の成長コントロールや日付ごとの収穫量の調整、製造ラインのスピードコントロールなどを状況に合わせ自律的に調整できるシステムが求められる。また、より高度な生産管理、工程管理をするために、ドローンと複合システムを連係させ農作エリアを無人監視したり、3次元(3D)解析された地形データを基に農業機械の稼働制御をしたりする仕組みを構築することも考えられるだろう。
このようにソフトウェアだけではなくハードウェアを含めて、複合システムとして統合することが、つながる時代のERPに求められる条件だといえるだろう(図1)。
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