クラウドが支える新たなる潮流
「モノのインターネット(IoT)」でも予想されるAmazonとGoogleの衝突
クラウドと「モノのインターネット」のアプリケーション。両者の成長が密接に関係する理由を語ろう。
今日のクラウドサービスが持つかつてないパワーが、“コネクテッドワールド”(インターネットに接続された世界)という先進的なアイデアに形を与え、実現可能なものにしている。IT企業などは「モノのインターネット」(Internet of Things、以下“IoT”)のメリットを前面に押し出し、新世代のコネクテッドデバイスやリモートセンサーを宣伝しているが、実際、クラウドを利用すれば、ほぼ全ての業種のどのような規模の企業でも、IoTの取り組みを開始し、自社が描くIoTのビジョンを実現できる。
M2MからIoTへ
IoTの機能の多くは以前から利用可能だったものだ。IoTは、従来の「M2M」(機器間通信)の考え方を、より広い視野に立って発展させたものといえる。M2Mの世界では、多くの企業がリモートセンサーやRFID技術などの監視ツールを導入し、さまざまな業務用の製品やサービスのパフォーマンスを追跡し、最適化していた。最も一般的な例は、これらの技術を使って運輸システムや大量流通システムを改良するというものだ。例えば、運送会社は出荷を監視し、ロジスティクスの最適化、効率の向上、コスト削減につなげている。メーカーや小売業者もこうしたツールを使って、業務の効率化、在庫の削減、利益の拡大といった成果を挙げている。
M2M技術がビジネスに有益であることは実証されているが、コストと複雑さが災いし、意外と普及していない。従来のM2Mの導入では多くの場合、現在進行形のデータを収集して実際の製品やサービスを再定義するよりも、リアルタイム追跡とトランザクションプロトコルのサポートに主眼が置かれていた。だが、今日のIoTアプリケーションは多くの場合、昨今爆発的に増加したビッグデータを利用するために使われているのと同じクラウド資産を用いて運用されている。そしてまた一方で、IoTがビッグデータ現象に急速に貢献するようになっている。
クラウドがIoTを加速する
多くのIoTプロジェクトでは、クラウドベースのIaaS(Infrastructure as a Service)が主要なコンピューティングエンジンおよびストレージ手段となっている。IaaSは、IoT機能を迅速に増強して、自社で生成されるデータを集めようとしている企業に、安価なコンピュートパワーと、仮想的で無限に拡張可能なストレージリソースを提供する。
「Amazon Web Services」(AWS)は、クラウドの従量課金モデルをいち早く打ち出しただけでなく、IaaSがシステム基盤の面で顧客を強力に支援できることを明確に示した。AWSはさまざまなレベルのコンピュートパワーとストレージ容量を、必要に応じて格安な料金で提供する。コンピュートパワーとストレージ容量をいつでも安価に利用できるようにすることで、AWSはM2Mの機会の大幅な拡大に道を開いた。
高性能で安価なセンサーを自社の商品に組み込み、その動きを追跡するとともに、顧客の行動を計測するという使い方に着目する企業が急速に増えている。センサーが幅広い消費者向け商品やサービスに採用されるようになったことから、M2Mプロジェクトの“民主化”は加速度的に進んだ。
IoTアプリケーションの広がりを示す最も顕著な例は、フィットネストラッキング用のデバイスなど、個人が自分の生活習慣をモニタリングするのに役立つ“ウェアラブル”デバイスの急激な増加だ。モバイルデバイスやソーシャルアプリは、仕事におけるコンピュータやソフトウェアに対する人々の見方やそれらの使い方を変えた。それと同様に、消費者向けのモニタリング製品の台頭を受け、ビジネスパーソンは、自社の商品やサービスとバックエンド業務を結ぶ新しい機会を、より強く意識するようになっている。
クラウドのSaaS(Software as a Service)レイヤーも、IoT市場の急成長要因だ。使いやすいSaaSソリューションのおかげで、今ではユーザー企業とその経営陣に加え、その顧客やパートナーまでも、コネクテッドデバイスやセンサーなどで生成されたデータを分析、共有できるようになっている。
こうしたSaaSソリューションは、ビッグデータ分析の需要増大に対応するのにぎりぎり間に合うタイミングで登場してきた。また、SaaSの従量課金モデルは、初期コストと導入の失敗リスクを軽減しようと試行錯誤する今日の企業にうってつけのものであった。
クラウド市場で最も急成長しているPaaS(Platform as a Service)も、IoTの市場拡大に寄与している。PaaSは企業に、経済的なソフトウェア開発ツールを便利なAPIとともに提供する。企業はこれらのツールを使ってコントロールシステムを構築し、これを用いて自社のIoTアプリケーションを管理したり、サードパーティーソフトウェアと相互運用したりできる。IoTサプライチェーンの全ての要素をまとめて一元的に管理することも可能だ。
Googleも注目する成長分野
2014年に入って大きな節目となる動きがあり、急速に進化するIoT市場への注目が高まった。米Googleが1月、米Nest Labsを32億ドルで買収する計画を発表したのだ。Nestは買収計画が発表される前から、消費者向けのIoT分野のリーダー企業として認知度を高めていた。Nestの製品は、リモート環境監視・管理機能の考え方を広めるのに一役買った。GoogleによるNestへの莫大な投資は、消費者市場と産業市場におけるIoTの大きな可能性をより確かなものにした。
一方でAWSは、IoT市場での強いアピールにつながるような表立った動きは見せていない。しかし、クラウドベースのIoTソリューションは、舞台裏を聞けば、そのほとんどがAWSを通じて運用、提供されていることが分かるだろう。
クラウドとIoTは、これからも密接に結びついて発展していく。そして、AWSは紛れもなくIoT市場の進化の原動力になるだろう。
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