基幹システムをクラウド環境で再構築
オンワード樫山が「SAP on AWS」全面導入、オンプレミスとの“比較表”を公開(1/2 ページ)
2015年3月に基幹システムを全面刷新したオンワード樫山では、アパレル業界向けERPの「SAP AFS」をクラウドサービスのAWS上で稼働している。導入の背景、比較検討のポイント、本番稼働から得られたノウハウを紹介する。
大手アパレル企業のオンワード樫山は、2015年3月に基幹システムを全面刷新。新たな基幹システムにはSAPジャパンのアパレル業界向けERP「SAP Apparel and Footwear Solution(SAP AFS)」を、インフラ基盤にはアマゾン データ サービス ジャパンの「Amazon Web Services(AWS)」を採用した。2015年6月に開催された「AWS Summit Tokyo 2015」のセッションから、導入の背景、比較検討のポイント、本番稼働から得られたノウハウを紹介する。
オンワード樫山ではこれまで、メインフレームを中心とした自社システムを運用してきたが、システム構造の複雑化が進み、各種制度変更に伴う運用や改修の負荷が課題となっていた。オンワード樫山 マーケティング・情報戦略室 情報経営部 基幹情報課 課長の越智正純氏は「25年使ってきたシステムが中長期的に、オンワードのIT基盤に求められる要件を満たしていけるのかということに強い危機感があった」と当時を振り返る。
SAPとAWSを選定した理由
そうした状況を打開すべく、2012年11月に基幹システムの刷新を決断した。財務会計、企画生産、物流、店舗等の基幹システムを全面刷新し、システム構造のシンプル化と、業務の効率化を進めた。
アパレル業界では、同じ商品でもサイズや色違いを区別するため「SKU」という単位で管理している。SAP AFSは、こうした業界特有の要件を満たすように設計されたERPであり、さらにオンワードが採用している伝票会計をベースにしたパッケージだった。他システムとの連係に柔軟に対応できる点も評価した。
プロジェクトの始動当初は、インフラ部分をオンプレミスと仮想化技術で構築することを予定していた。だが、インフラの構築を担当する野村総合研究所(NRI)からAWSの提案があった。各社のクラウド導入動向や初期構築面、運用・保守面、コスト面をオンプレミスと比較検討した結果、AWSの採用を決定した。現在、SAPによる経理、計数システムをはじめ、物流、生産、貿易などの基幹業務システム群がAWS上で稼働している。
AWSの比較検討ポイント
オンワード樫山では、導入検討の段階で初期構築や拡張性・耐障害性、セキュリティ、性能、コストといった要素にわたり、クラウドとオンプレミス環境のメリット・デメリットを分析した(画像1、画像2)。
基幹システムをパブリッククラウドに構築するとなると、「情報漏えいなどセキュリティが心配」という声も多いだろう。その点について、越智氏は「体面が立派なデータセンターにサーバを構えようと、社外から不正アクセスし放題という状態のネットワーク構成では、セキュリティは全く担保されない。逆にクラウドであっても、しっかりとしたセキュリティを担保したネットワークを構築できれば、現在のデータセンターに置いてあるセキュリティレベルと変わらない」という説明で当時の経営陣を説得したと語った。
その他にも為替の変動リスクなど、全く不安要素がなかったわけではない。しかし、最終的には「クラウドの持たざる優位性が勝った」という。
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