IT部長さんのための技術トレンド【第4回】
1回で分かる:クラウド運用管理、物理環境との違いは?
IaaS(Infrastracture as a Service)の利用で避けては通れない運用管理の課題とは。慣れ親しんだ物理環境と比べてどう違うのか。「クラウド運用管理」を4つの手法で解説する。
「クラウド運用管理」「クラウドマネジメント」という言葉を耳にすることが増えてきました。
クラウドサービスの利用拡大について今更説明は要らないと思いますが、クラウドの特徴を十分に生かし、課題をコントロールするノウハウとなると、まだまだ体系化されているとは言い切れません。
最近、クラウドの構築・運用支援を得意とする会社やクラウドを管理するツール/サービスが盛んに登場したり、クラウド活用に関する勉強会やブログが多く見受けられるのも、そういった背景によるものだと思われます。
本稿では、クラウドの中でもIaaS(Infrastracture as a Service)にフォーカスを当て、クラウド運用管理について説明します。
クラウドの運用管理って?
クラウドだからといって管理する対象が物理環境と異なるわけではありませんが、クラウドの特徴を生かすことで、大きな投資をせずに生産性を上げたりガバナンスを確立することができます。クラウド環境の管理には大きく4種類あります。
ユーザー管理
誰がどのような権限でクラウド上のシステムや情報にアクセスしたり、変更を加えられるかを管理します。
“運用担当者は状態の確認のみ”、“経理担当者は利用料金の確認のみ”というような権限の設定や、所属している部署またはプロジェクトで管理できるシステムを分けるような場合を指します。
特別な契約をしなくても操作ログなどを提供しているサービスも多いため、サーバの作成などの操作ログが集中的に管理できます。
各部署で個別に契約していたクラウドサービスを集約して、情報システム部で一括契約・管理をして、部署ごとに権限委譲をするようなケースも出てきています。また、外注先に環境を提供する場合などにも便利です。
構成管理
構築するサーバやネットワークなどの設計や設定、アクセスルールを管理します。
構成情報は、物理環境では帳票などで管理するケースが多いですが、クラウド環境ではコードやGUIで管理・共有することで、サーバやネットワークの構築・変更を自動化する事例も増えています。自動化することで、設定漏れや変更漏れなどの事故も少なくなるため、信頼性の向上につながります。
クラウドサービスの中には自動化の機能が標準で付いているものもありますが、「Chef」や「Puppet」などソフトウェア、「RightScale」「SCALR」「QliCr」などサービスが出てきたことが、この流れを加速させています。
性能管理
性能管理では、構築したサービスのKPIや、システム・各サーバなどの性能や死活状況を監視・管理します。
基本的には物理環境の性能管理と変わりませんが、クラウドは一般的に共有環境で提供されているので、何か障害が起きたときには通常時の状態と比較しつつ、クラウドサービス側の問題か自社のシステム側の問題かを判断する必要があります。
クラウドサービスとの連携を特徴にしている「newrelic」などの監視サービスもあります。これらのサービスを使うと監視データの収集や監視項目の設定および結果の確認が簡便にできるなど、自身で監視サーバを立てて設定するのに比べて生産性が高くなります。
また、クラウドサービスにはCPUのコア数やクロック性能の目安などが明示されていますが、実性能には違いがあります。
「CloudHarmony」など、第三者として性能の比較情報を提供しているWebサイトを活用することはもちろんですが、利用後も他社サービスとの比較を続けることも重要だと思います。
コスト管理
クラウドは、サーバを簡単に作成できてしまうだけに、コストの管理がより重要になります。
単純に総額を管理するだけでなく、前述のユーザー管理で権限委譲した組織ごとに管理したり、ログや性能管理などの情報で無駄なサーバを指摘するケースもあります。利用金額に対してアラートを出す機能を提供しているサービスもありますので、活用してみても良いかもしれません。
本格的にコストを管理する場合は、「Cloudability」や「CloudVertical」のようなサービス、構成管理で紹介したRightScaleなどの機能を利用することも考えられます。
これら4つの管理手法を組み合わせることで、さらにユーザー主導型のサービス選択ができるようになります。
例えば、いつでも望んだ構成でシステムを構築できるレベルの構成管理ができた上で、利用しているサービスのコスト情報と性能情報が分かっていれば、都度、最適なクラウドサービスへ乗り換えるようなことも将来も実現するかもしれません。
課題と展望
クラウドの特性を生かしつつ、クラウド運用をするためには、事前の設計が重要です。しかし、現時点では各クラウドサービスの仕様を利用者側で意識しつつ、対応する部分が少なくありません。
そのため、こういった問題を軽減するための標準化の動きやクラウドサービスの違いを吸収するサービス、性能情報の公開などさまざまな動きがあり、今なお発展途中です。
それでもクラウドの利用が進んでいるのは、現時点でも活用するメリットが大きいということに他なりません。運用に100%確実という言葉はありませんが、常に進歩していることは確かです。
今回は4つの項目で説明しましたが、本来、セキュリティ対策などは個別に切り出して説明する必要があったかもしれません。より多くの方にクラウドを最大限活用していただけるよう、今後も情報発信をしていきたいと思います。
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