CloudStackとRightScaleのイベントリポート。後編では、RightScaleの特徴である「サーバテンプレート」機能、RightScaleとAmazon Web Servicesの比較、RightScaleの新しいハイブリッドクラウド製品について紹介する。
雲屋、クリエーションライン、ライトスケール・ジャパンの3社は2011年6月23日、「CloudStackとRightScaleが拓く次世代クラウド基盤の世界」と題したセミナーを開催した。前編「CloudStackを導入したZyngaの事例と北米クラウド最新動向」では、北米のクラウドコンピューティング最新事情をはじめ、CloudStackの導入事例を紹介した。後編ではRightScaleの機能とRightScaleによるクラウドマネジメントの考え方を紹介する。
米RightScaleが開発したRightScaleは、さまざまなIaaS(Infrastructure as a Services)を管理するクラウド運用管理製品である。主に、マルチクラウド管理(クラウド間ポータビリティの実現)やサーバの迅速な構築、運用管理の自動化を可能にする。
既に米ZyngaやNTTドコモ、インドのTata Communicationsを大口顧客に抱える実績を持ち、RightScaleを通じて構築されたサーバの数は、2010年3月時点の90万台以上から2011年7月時点で270万台以上(2011年7月時点)に急増している。
当初はAmazon Web Services(AWS)を対象にサービスが展開されていたが、AWSだけに特化した製品というわけではない。パブリッククラウドではRackSpace、プライベートクラウドではCloudStackやEucalyptusにも対応し、さまざまなクラウドを一元管理するマルチクラウド管理が可能だ(Windows Azureも予定)。さらに、VMware ESX、Xen、XenServer、KVMといったハイパーバイザーも統合管理できる。
RightScaleの最大の特徴といえるマルチクラウド管理は、「サーバテンプレート」機能で実現している。RightScaleでは、“サーバのひな型”“サーバイメージ”であるサーバテンプレートを用いてサーバを構築する。サーバテンプレートの解説は、RightScaleの販売代理店を務める日立ソリューションズ 森田貴司氏の説明が分かりやすかったので引用する。
「元となるイメージは汎用性のある最小限の構成で保存しておき、サーバを起動するときにスクリプトでソフトウェアのインストールや設定を行います。インストール作業を自動化することで、サーバの起動時にWebサーバやDBサーバのように役割を持ったサーバを作り上げていきます」(@IT:「AWS専用」じゃない、RightScaleの実力)
このサーバテンプレートは、「マルチクラウドイメージ」と「RightScripts」で構成される。マルチクラウドイメージは、「OSがインストールされた『仮想マシンテンプレート』」、RightScriptsは「サーバの構築手順を記録して再利用可能にした、いわば手順書」(同記事)のようなものだ。RightScriptsをマルチクラウドイメージの上で実行することで、LAMPサーバやWebサーバ、データベースサーバといった特定の役割を担ったサーバ環境を構築できる。
つまり、サーバテンプレートは“サーバ環境構築の定義書”のようなものと考えられる。サーバテンプレートで定義したテンプレートをRightScaleの管理画面で選択すると、RightScaleが管理しているクラウド固有の環境設定が自動的に行われ、サーバが立ち上がる。例えば、複数のクラウドを使っていた場合、異種クラウド間での暗号化通信や、固定IPアドレスの割り当てなど、APIだけでは解決できない問題もある。サーバテンプレートを使うことで、ユーザーがクラウドごとに設定を変更する必要がなくなり、異種クラウド間のポータビリティが実現される。
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