RightScaleが実現するクラウドマネジメントの世界 ~Amazon Web Servicesとの違いは?次世代クラウド基盤、CloudStackとRightScale(後編)

CloudStackとRightScaleのイベントリポート。後編では、RightScaleの特徴である「サーバテンプレート」機能、RightScaleとAmazon Web Servicesの比較、RightScaleの新しいハイブリッドクラウド製品について紹介する。

2011年07月15日 09時00分 公開
[荒井亜子,TechTargetジャパン]

 雲屋、クリエーションライン、ライトスケール・ジャパンの3社は2011年6月23日、「CloudStackとRightScaleが拓く次世代クラウド基盤の世界」と題したセミナーを開催した。前編「CloudStackを導入したZyngaの事例と北米クラウド最新動向」では、北米のクラウドコンピューティング最新事情をはじめ、CloudStackの導入事例を紹介した。後編ではRightScaleの機能とRightScaleによるクラウドマネジメントの考え方を紹介する。

IaaSのコントローラー、RightScale最大の特徴「サーバテンプレート」

 米RightScaleが開発したRightScaleは、さまざまなIaaS(Infrastructure as a Services)を管理するクラウド運用管理製品である。主に、マルチクラウド管理(クラウド間ポータビリティの実現)やサーバの迅速な構築、運用管理の自動化を可能にする。

 既に米ZyngaやNTTドコモ、インドのTata Communicationsを大口顧客に抱える実績を持ち、RightScaleを通じて構築されたサーバの数は、2010年3月時点の90万台以上から2011年7月時点で270万台以上(2011年7月時点)に急増している。

 当初はAmazon Web Services(AWS)を対象にサービスが展開されていたが、AWSだけに特化した製品というわけではない。パブリッククラウドではRackSpace、プライベートクラウドではCloudStackやEucalyptusにも対応し、さまざまなクラウドを一元管理するマルチクラウド管理が可能だ(Windows Azureも予定)。さらに、VMware ESX、Xen、XenServer、KVMといったハイパーバイザーも統合管理できる。

画像 図1 RightScaleのアーキテクチャ

 RightScaleの最大の特徴といえるマルチクラウド管理は、「サーバテンプレート」機能で実現している。RightScaleでは、“サーバのひな型”“サーバイメージ”であるサーバテンプレートを用いてサーバを構築する。サーバテンプレートの解説は、RightScaleの販売代理店を務める日立ソリューションズ 森田貴司氏の説明が分かりやすかったので引用する。

 「元となるイメージは汎用性のある最小限の構成で保存しておき、サーバを起動するときにスクリプトでソフトウェアのインストールや設定を行います。インストール作業を自動化することで、サーバの起動時にWebサーバやDBサーバのように役割を持ったサーバを作り上げていきます」(@IT:「AWS専用」じゃない、RightScaleの実力

 このサーバテンプレートは、「マルチクラウドイメージ」と「RightScripts」で構成される。マルチクラウドイメージは、「OSがインストールされた『仮想マシンテンプレート』」、RightScriptsは「サーバの構築手順を記録して再利用可能にした、いわば手順書」(同記事)のようなものだ。RightScriptsをマルチクラウドイメージの上で実行することで、LAMPサーバやWebサーバ、データベースサーバといった特定の役割を担ったサーバ環境を構築できる。

 つまり、サーバテンプレートは“サーバ環境構築の定義書”のようなものと考えられる。サーバテンプレートで定義したテンプレートをRightScaleの管理画面で選択すると、RightScaleが管理しているクラウド固有の環境設定が自動的に行われ、サーバが立ち上がる。例えば、複数のクラウドを使っていた場合、異種クラウド間での暗号化通信や、固定IPアドレスの割り当てなど、APIだけでは解決できない問題もある。サーバテンプレートを使うことで、ユーザーがクラウドごとに設定を変更する必要がなくなり、異種クラウド間のポータビリティが実現される。

AWSだけの環境とRightScaleがある環境との違い

関連ホワイトペーパー

サーバ | クラウドコンピューティング | API | 暗号化 | LAMP


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

隴�スー騾ケツ€郢晏ク厥。郢ァ�、郢晏現�ス郢晢スシ郢昜サ」�ス

製品資料 SB C&S株式会社

仮想化環境のモダナイゼーションを加速させる、新しい運用管理方法とは?

さまざまなメリットをもたらす仮想化環境だが、2023年にVMwareが買収されたことで、ユーザー企業は難しい判断を強いられている。そこで、コストメリットも大きい、仮想化環境のモダナイゼーションの方法について解説する。

事例 INFINIDAT JAPAN合同会社

データ利活用基盤を強化:NTTコミュニケーションズのストレージ導入事例

データ分析・利活用のニーズが高まる中、アクションのベースとなるデータも膨大な容量となり、今後も増え続けていく見通しだ。そうなると、各企業はデータ利活用基盤として、信頼性や拡張性の高いストレージを求めるようになるだろう。

製品資料 横河レンタ・リース株式会社

Windows 11への刷新はデータ移行が重荷、作業負荷を大幅に軽減する方法とは?

OSの移行には「データ移行」が付き物だが、その業務負荷の高さに悩まされているIT管理者は多いだろう。Windows 11への移行を進める前に知っておきたい、「データレスPC」の有効性や、導入で得られる“プラスα”のメリットを解説する。

事例 ニュータニックス・ジャパン合同会社

サーバ250台の移行事例、東海理化が仮想環境を刷新した理由とその効果とは?

技術や市場の変化が激しい自動車業界にあって、長年、数多くの自動車メーカーに部品を供給してきた東海理化。同社は変化に柔軟に対応するためのDX推進に当たって、これまで運用してきたレガシー仮想環境からの移行を断行する。

製品レビュー ニュータニックス・ジャパン合同会社

クラウド同士の連携と運用の課題解消、WebスケールITの基準を採用した基盤とは

ハイブリッド/マルチクラウドへ移行する企業のIT環境だが、クラウド同士の連携は複雑な上に、運用も非効率になりがちだ。そこで、この問題を解消するためのハイブリッド/マルチクラウドプラットフォームを紹介する。

郢晏生ホヲ郢敖€郢晢スシ郢ァ�ウ郢晢スウ郢晢ソスホヲ郢晢ソスPR

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

繧「繧ッ繧サ繧ケ繝ゥ繝ウ繧ュ繝ウ繧ー

2025/04/26 UPDATE

  1. 繝ェ繝「繝シ繝医ョ繧ケ繧ッ繝医ャ繝励〒譁�ュ励′謇薙※縺ェ縺��エ蜷医�縲後ョ繝舌う繧ケ繝槭ロ繝シ繧ク繝」繝シ縲阪�菴ソ縺�婿
  2. 縺�∪縺輔i閨槭¢縺ェ縺�€祁Mware Workstation Pro縲阪�蝓コ遉弱€€Hyper-V縺ィ縺ョ豈碑シ��繧、繝ウ繝医�
  3. Citrix縲訓VS縲阪€勲CS縲阪→VMware縲後ヵ繝ォ繧ッ繝ュ繝シ繝ウ縲阪€後Μ繝ウ繧ッ繧ッ繝ュ繝シ繝ウ縲阪�驕輔>縺ィ縺ッ��
  4. 莉ョ諠ウ繝槭す繝ウ��VM�峨r驕�¥縺吶k縲靴PU縲阪�窶憺ァ�岼窶昴↑菴ソ縺�婿縺ィ蟇セ蜃ヲ豕�
  5. 蠕ケ蠎墓ッ碑シ�シ啖DI縺ョ縲檎判髱「霆「騾√�繝ュ繝医さ繝ォ縲阪€∽クサ隕�3遉セ縺ョ謚€陦薙↓驕輔>縺ッ��
  6. Microsoft縺ョ2螟ァ 莉ョ諠ウ繝�せ繧ッ繝医ャ繝励€√€軍DS縲阪→縲軍DSH縲阪�縺ゥ縺。繧峨r驕ク縺カ縺ケ縺阪°
  7. 縲鍬azy Zeroed縲阪€窪ager Zeroed縲阪�驕輔>縺ィ縺ッ�溘€€VMware莉ョ諠ウ繝�ぅ繧ケ繧ッ縺ョ繧キ繝�け繝励Ο繝薙ず繝ァ繝九Φ繧ー
  8. 莉ョ諠ウ繝槭す繝ウ��VM�峨′閾ェ螳�〒蠢ォ驕ゥ縺ォ蜍輔¥縲靴PU縲阪€後Γ繝「繝ェ縲阪€後せ繝医Ξ繝シ繧ク縲阪�驕ク縺ウ譁ケ
  9. 繝ェ繝「繝シ繝医ョ繧ケ繧ッ繝医ャ繝励〒譁�ュ励′謇薙※縺ェ縺�↑繧峨€後い繝励Μ縲阪€後え繧」繝ウ繝峨え縲阪r遒コ隱阪☆縺ケ縺�
  10. DaaS縺ョ2螟ァ譁ケ蠑上r豈碑シ�€€縲後し繝シ繝舌�繝シ繧ケ縲阪→縲後け繝ゥ繧、繧「繝ウ繝医�繝シ繧ケ縲阪�驕輔>縺ッ��

RightScaleが実現するクラウドマネジメントの世界 ~Amazon Web Servicesとの違いは?:次世代クラウド基盤、CloudStackとRightScale(後編) - TechTargetジャパン 仮想化 隴�スー騾ケツ€髫ェ蛟�スコ�ス

ITmedia マーケティング新着記事

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...