きっかけは「オムニチャネル」と「IoT」
今まで使っていたのは「ERPもどき」? クラウドで実現する本当のERPとは(1/3 ページ)
IoTやビッグデータなどをビジネスに生かす「デジタル産業革命」が日本でも叫ばれる中、ERPシステムを見直す動きが広がっているという。その理由を探る。
クラウドが日本のビジネス現場に浸透し、新聞やWebなどのニュースで「IoT」(モノのインターネット)や「ビッグデータ」という単語を見ない日はほとんどない。日本でもIoTやビッグデータなどを活用する「デジタル産業革命」が起きつつある。
日本オラクルでERP事業を統括する桐生 卓氏は、「日本でデジタル産業革命が起きている昨今、ERPシステムに関する問い合わせが増えている」と話す。デジタル産業革命の中で、なぜERPシステムが見直されているのだろうか。クラウドに関する企業向けイベント「第8回クラウド コンピューティングEXPO」の桐生氏の講演を基に考える。
2016年上半期「ERP」記事ランキング(2016年1月1日~2016年6月20日)
1位 46カ国同時! ロールス・ロイスのクラウド人事システム導入記
2位 マルチデバイス対応だけでは不十分、デジタル時代にあるべきERPの形
3位 SAPユーザーが思い悩む「SAP S/4HANA」への移行時期、リアルタイム処理をいつ手にする?
アプリケーションのクラウド化が今後どうなるのか
デジタルの力でビジネス環境に変化をもたらすデジタル産業革命。その具体例として桐生氏は、実店舗からモバイルデバイスまで複数のチャネル(顧客への到達経路)の情報を連係させて顧客にアプローチする「オムニチャネル」と、身の回りのモノがインターネットに通じて情報を相互にやりとりする「IoT」を挙げる。
オムニチャネル
モバイルデバイスやソーシャルメディアの登場により、企業が利用できるチャネルが多様化している。従来は店舗やコールセンターなどが商品購入や問い合わせ窓口の主流だった。最近では、それらに加えてECサイトやメールマーケティングなどWebを介するチャネルが登場した。一方、その後工程を担うバックオフィスのシステムは、こうしたオムニチャネル化に対応できているのだろうか。
オムニチャネル時代に対応したシステムを作る上で重要になることが2つある。まず、受注データや顧客からの問い合わせなど複数のチャネル(フロントエンド)から届く情報を一元管理するシステムを構築すること。もう1つが生産工場や物流センター、店舗在庫など、商品を生産し、管理するサプライヤー側(バックエンド)の情報を一元化することだ。
例えばチャネルごとに受注や請求などのデータをバラバラに管理していた場合、正確な受注件数や未処理件数がリアルタイムでは分からなくなり、業務に支障が発生してしまう。そのため、フロントエンドから届く情報を全て一元化することが必要になる。
一方でバックエンドの情報がバラバラでも業務に支障を来す。フロントエンドからの情報の一元管理が進み、製品の在庫や納期などの問い合わせがリアルタイムで届いても、在庫数や納期に関する情報が分散していると、即座に返答することが難しくなるのだ。
オムニチャネルで成功するために必要なのは、このようにフロントエンドの情報とバックエンドの情報をそれぞれ一元化すること。そして、それぞれのシステムをリアルタイムでつなぐ「統合されたバックオフィス」を構築することだ。「オムニチャネルの実現を考えれば考えるほど、『在庫システムはどうなっているのか』『受注データはどのようにすれば一元管理できるのか』といったERPシステムが絡む話になる」と桐生氏は話す。
統合されたバックオフィスを構築して、利益を最大化するには2つのアプローチが必要だと桐生氏は言う。1つ目が、顧客向けサービスをより早く、より多く提供することだ。昨今では、PaaS(Platform as a Servicd)やIaaS(Infrastructure as a Service)など、クラウド環境を使うことで、新たな顧客サービス用システムの素早い開発やテストができ、迅速な収益化が見込めるようになった。
一方で、バックエンドのシステムの費用は最低限に抑えることが重要だ。パッケージのERPシステムをカスタマイズすることなくそのまま使い、ヒト、モノ、カネ、情報を一元管理する。パッケージ製品をそのまま使えばバージョンアップの作業も比較的容易かつ迅速になり、ビジネスへの影響を最小限に抑えることができる。グローバル対応のERPシステムなら海外拠点を含めたビジネスプロセスの共通化も容易になる。
このように、クラウドを使って開発した顧客サービス用システムとパッケージのERPシステムを使い、双方のシステムを連係することで、統合されたバックオフィスを素早く構築でき、利益が上がるオムニチャネルを実現することができるだろう。
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