テレワークの運用ルールと評価制度を考える【第4回】
雇用型テレワークを始める前に確認しよう――業務の向き不向き、人事評価や労務管理(2/2 ページ)
人事評価制度
常時型テレワーカーは上司との対面時間が少なくなることから、人事評価をどのように実施するかが問題になる。しかし、これは何もテレワークに限ったことではない。例えば、複数の拠点を任されているマネジャーと同じである。対面時間が少ない部下の人事評価のポイントは、部下の業務内容を把握する方法にある。2015年度「テレワーク人口実態調査」(国土交通省)では、在宅勤務時の作業内容やアウトプットを事前に評価者と被評価者間で共有することで評価は可能としている。「前日までに実施予定の業務を上司に伝え、終了後アウトプットを報告。在宅勤務は成果を出すための手段」という、ある企業の事例報告もある。
費用負担
通信機器などの費用を企業が負担するのか、従業員が負担するのかについて事前に明確にしておく必要がある。なお、労働基準法第89条第1項第5号では、「労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項を就業規則に定めなければならない」とあるので注意が必要だ。
連絡体制・コミュニケーション
連絡体制
企業で発生した緊急時の連絡体制だけでなく、大規模災害時を想定した連絡体制作りが望まれる。
テレワークの頻度が高い従業員は、社内の情報不足により疎外感を受ける場合がある。このようなことのないように、社内情報の伝達時期と方法をあらかじめ決めることが必要である。また、不測の事態をある程度予測して、その緊急度や重要度のランク付けをし、内容に応じた連絡先(担当者)や連絡方法を決めることで、テレワーカーが安心して業務に専念できる。
コミュニケーション
2015年度「テレワーク人口実態調査」(国土交通省)において、コミュニケーションに配慮している企業の事例として「会社貸与のスマートフォンのソーシャルネットワーキングサービスを利用し、画像付きで会話」「メールやインターネット電話サービス(ビデオ通話も可能)を活用」といった報告がある。
安全衛生
労働契約法第5条では「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」とされているので、テレワーク勤務時においても社員の安全衛生に配慮する必要があり、「生命、身体等の安全」には「心身の健康」も含まれるとされている。
テレワークのうち固定場所で働く、「立ち寄りオフィス勤務」「顧客先オフィス勤務」「在宅勤務」「サテライトオフィス勤務」は作業環境に配慮が必要であり、法律に従った作業環境を整えなければならない。ただし、「顧客先オフィス勤務」においては施設の管理権が使用者にないため、作業環境に問題がある場合は顧客先と話し合って改善策を検討していくことになる。
作業環境で考えなければならないものは、例えば机、椅子、あるいは照明設備、照度などである。さらに、在宅勤務のテレワーカーはPCのディスプレイを見て仕事をすることが多いので、「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン(2002年4月5日、基発第0405001号)」に留意する必要がある。
労働災害
どのような形態のテレワークにおいても、テレワーカーが労働者である以上、通常の社員と同様に労働者災害補償保険法(以下「労災保険法」という)の適用を受ける。
業務上災害だと認定するためには「業務遂行性」と「業務起因性」の2つの要件を満たさなければならない。これは業務と傷病等との間に一定の因果関係があることが必要であり、私的行為中や恣意(しい)的行為でないことをいう。また、外勤型テレワーカーには通勤災害も考えられ、通勤災害だと認定するためには、就業に関し、住居と就業の場所の往復などを合理的な経路および方法で行わなければならない。
教育・研修
社員教育は、社員の能力アップや仕事の質を高めるために不可欠である。
事業場外で働く機会が多くなるテレワーカーは、直接対面でのOJT(On the Job Training)などを受ける機会が少なくなることから、教育訓練について配慮することが必要だ。また、テレワークを誤った認識(例えば「テレワーカーは楽をしている」「内勤者が割を食っている」など)を持っている従業員に対して、テレワークを理解させる研修が必要だ。
日本テレワーク協会
2000年の設立から一貫してテレワークという新しい働き方の調査研究・普及推進活動を展開してきた国内唯一のテレワーク普及推進活動団体。ワークスタイル変革には欠かせない、多様な働き方を実現するツールであるテレワークの普及によって持続的発展が可能な社会の実現を目指す。
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テレワークの運用ルールと評価制度を考える
本連載ではTechTargetジャパンの読者である情報システム部門の読者に対して 、中堅・中小企業におけるテレワークの導入をテーマに、ICT以外も含めた包括的な情報をお届けする。「日本の現状」「企業事例」「導入までのプロセス」「労務管理上の留意点」「行政の支援制度」「関連製品/サービス」と、全6回の連載で各項目を解説する。
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