手元に残すべきデータとは
「医療ビッグデータ」でもクラウド移行は“じわり”と進行、その最新事例とは(2/2 ページ)
クラウドストレージに対する慎重な姿勢
がんセンター、外傷センター、脳卒中センターを運営するUC Irvine Healthは、クラウドにデータを保存することに対して慎重な姿勢を取っており、EHRや財政システムといった重要なアプリケーションはデータセンターで運用している。
多くの医療機関は、データをゆっくり、慎重にクラウドに移行している。
現在、Amazon Web Services(AWS)のクラウドプラットフォームにアプリケーションを移行中なのは、Beth Israel Deaconess Medical Centerだ。同院はハーバード医学大学院の主要な教育実習病院で、約1250人の常駐医が勤務している。学術研究も行っている同院は3P(ペタ)Bのデータを保有し、生成されるデータの種類によって1年で増えるデータの量は25~100%になるとBeth IsraelのCIOであるマニュ・タンドン氏は語る。
タンドン氏によると、現在Beth Israelはどのアプリケーションをデータセンターに残し、何をどのような順番でクラウドに移行するかを決定しているところだという。同院はいずれ重要なテクノロジーもクラウドで順調にホストできるようになるかもしれないが、まだその時は来ていないようだ。
「Beth Israelは、かなり慎重にクラウドに移行している。当院は、保管されている研究プロジェクト、昔の患者の画像、昔のホームディレクトリといった類いのストレージは、クラウドに移行するのに適した候補だと考えている。だが、EHR、人材管理、財務アプリケーションなどのミッションクリティカルなアプリケーションは、現時点ではデータセンターに残す予定だ」(タンドン氏)
タンドン氏によると、インフラへの投資削減、安定性、稼働時間、全般的なデータの可能性など、AWSを利用する利点は明確だという。だが、Beth Israelは、クラウドにアップロードした情報に全ての責任を負う考えを持っている。
AWSモデルのセキュリティに関して、同院はコンサルタントを雇い、AWSプラットフォームで安全なフレームワークをデザインする方法を十分に理解することを目的としてIT担当者を教育している。
「AWSが情報を管理するからといって安心するわけにはいかない。当院は、確実にデータを保護して、HIPAAの規則に準拠できるように率先して行動してきた」とタンドン氏は述べる。
Beth Israelは、オンプレミスとAWSの両方に保管したデータを活用するためのストレージインフラの構築に注力している。また、データがクラウドと同院のデータセンターの間で行き来できるように、高帯域幅の接続にも投資している。
そして、タンドン氏は次のように語る。「臨床データの保管は、医師が効果的に職務を遂行する上で非常に重要なことだ。当院では、EHRは当院のストレージシステムで実行しており、当院のセキュリティシステムは患者情報の保護を目的として設計している」
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