動き始めた「ラーニングアナリティクス」【第1回】
AIブームが後押し? 「ラーニングアナリティクス」が教育界の“熱い話題”になった理由(2/3 ページ)
なぜ今「ラーニングアナリティクス」が注目されるのか
さまざまな学習履歴を分析し学習に役立てること自体は新しいコンセプトではなく、ラーニングアナリティクスという言葉が生まれる前から多くの教育機関が取り組んできました。例えばeラーニング黎明(れいめい)期の1990年代や普及期の2000年代においても、学習履歴の分析やその利用は、eラーニングシステムが持つ基本的な機能の1つでした。
ではなぜ今、ラーニングアナリティクスがあらためて注目されているのでしょうか。これには幾つかの理由があります。
理由1:コンピュータの進化
データの分析にはコンピュータの強力なマシンパワーを必要とします。昨今はCPUやストレージ、メモリなどの性能が飛躍的に向上し、データ分析に利用できるスペックの高い環境が安価に入手できるようになりました。
このことは処理速度向上やコストメリットだけでなく、取り扱うデータの種類にも影響を与えています。これまでのデータ分析の対象は構造化された数値データが主でした。それがコンピュータの性能が向上するに連れて、構造化されていない数値データやテキスト、音声、動画などの非構造化データまで分析対象とすることができるようになりました。
扱うデータの量や種類が広がり、従来は理論としてのみ存在していたさまざまな分析が、ここにきて初めて実現できるようになっているのです。
理由2:データ分析のトレンド
近年、膨大なデータを分析してビジネスに役立つ知見を引き出す「データサイエンティスト」という職業が脚光を浴びています。マーケティングを中心に、小売業、サービス業、金融業、運送業など、活躍のフィールドは多岐にわたり、それぞれの領域で成果を発揮しています。今やデータサイエンティストは、最も人気のある職業の1つだといわれるまでになりました。データサイエンティストを目指す人も増え、多彩な勉強会が開催されています。また教育機関がデータサイエンティスト養成の教育プログラムを提供する動きも広がりつつあります。
このデータ分析のブームに伴って、データ分析用の開発環境やライブラリ、ツールなどの整備が進み、データ分析を行いやすい環境が整備されてきています。
ラーニングアナリティクスは、この流れをくむものだという捉え方もできます。
理由3:学習の多様化
教育現場でのIT活用の普及に伴い、教育システムが対象とする学びは、オンライン学習にとどまらず教室での授業や家庭学習など、多様な学習の場に広がりつつあります。またスマートフォンアプリの単語帳や教材などを併用することも増えてきています。そのため1つの教育システムで全てを充足することは難しく、さまざまな学習アプリや教育サービスを併用しながら学習を進めるスタイルが広まっています。
こうした状況を踏まえると、もはや単一の教育システムに蓄積した学習履歴のみを分析する従来のやり方では不十分で、複数の教育システムの学習履歴を統合的に分析する必要があります。幅広い学習履歴や活動履歴をラーニングアナリティクスで分析することで、学習の全方位の分析ができ、より精度の高い有意な分析が可能になります。
理由4:「AI」ブーム
自動運転を実現する一部の技術を備えた自動車が市販されたり、Googleの開発した囲碁プログラム「AlphaGo」が人間の囲碁チャンピオンに勝利したりと、人工知能(AI)の発展には著しいものがあります。AIを適用することで、これまで人間が担ってきた業務を代替したり、さらに高度化したりすることが可能になるでしょう。
こうした強力なAIの力を教育現場に適用すると、どのような教育が可能になるのか。ラーニングアナリティクスに対する期待は、こうしたAIブームが加熱しているところもあるようです。
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動き始めた「ラーニングアナリティクス」
教育や学習活動から生まれる教育ビッグデータを生かす「ラーニングアナリティクス」。その実態を明らかにする。
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