クラウド時代のアプリケーション移植【前編】
コンテナ技術「Docker」がアプリケーション移植を得意とする理由
クラウド間でのアプリケーションの移植をサポートする選択肢として仮想マシンとコンテナがある。どちらが最適なのだろうか。
パブリッククラウドやハイブリッドクラウドを検討しているIT組織にとってのフラストレーションの1つは、ホスティング環境やクラウド事業者が異なると、アプリケーション要件も異なる場合がある点だ。つまりアプリケーションインスタンスの作成に当たって、クラウドごとにインスタンスを作成する必要があるかもしれない。また異なるホスティングニーズを反映するため、デプロイするためのスクリプトとマシンイメージの両方に変更を加えることになりかねない。
コンテナを使えばクラウド間のアプリケーション移植の問題は解決できるのだろうか。それを探るためには、移植に関してコンテナと仮想マシン(VM)との違いを理解する必要がある。コンテナの導入によって移植の問題を解決できることを確認した上で、コンテナが管理性の強いVMやマシンイメージと比較して移植への対応に関して同程度、あるいは優れているのかどうか検討する必要がある。
「Docker」のようなコンテナ技術と仮想マシン、IaaS(Infrastructure as a Service)を比べた場合、コンテナの主な利点が移植性にあるわけではないという認識が重要だ。コンテナは、コンポーネントごとに必要とされるリソースを大幅に削減できる。つまりVMを使うよりもコンテナを使う方が、多くのアプリケーションコンポーネントをサーバに実装できる。アプリケーションの移植というメリットは、コンテナの仕組みの副産物として存在する。
VMやIaaSは、OSやミドルウェア、デバイスの仮想バージョンを含め、アプリケーションのホスティング環境にある全てをマシンイメージに含める。一方コンテナは、ホストOSや一部のミドルウェアが共有される。アプリケーションに関しては、それぞれ独自のアプリケーション専用リソースを持つ。コンテナ用に設計されたアプリケーションは、コンテナを共有するためだけに、ほとんどのバージョンに互換性を持つことを強いられる。そうしたアプリケーションの厳格なバージョン管理は、アプリケーションの移植において重要な1要素である。
もう1つの要素として、Dockerのようなコンテナ管理システムがある。Dockerは、どんなプラットフォームでもアプリケーションをコンテナにデプロイできる。通常そうした環境では、IaaSやデータセンター向けの仮想スタックにそれぞれ独自の管理システムがあり、互いに互換性はない。コンテナは、共通の管理フレームワークのおかげで、複数のクラウドやデータセンターで簡単にホスティングでき、アプリケーションを移植しやすい。
厳格なアプリケーションバージョン管理と互換性のあるデプロイ管理が組み合わさることで、コンテナはアプリケーションの移植に寄与する。必然的に、クラウド間のアプリケーションの移植を目標にしたコンテナ計画では、そうしたコンテナの特徴を保持しなければならない。後編では、コンテナの特徴を保持するための、手順について紹介する。
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