「2016 Imagine Cup World Finals」レポート
筑波大生が「奥歯をかむとズームするスコープ」で世界の学生と勝負、気になる結果は?(2/3 ページ)
筑波大生は「筋肉の動きでズーム操作可能なウェアラブルデバイス」で勝負
筑波大学チームが発表したのは、「Bionic Scope」と名付けたスコープ型視覚拡張ウェアラブルデバイスだ(写真3)。Bionic Scopeは、コンサート会場やスポーツ観戦などで遠くのものを見るときに、見たいポイントを瞬時に拡大して焦点を合わせることができる。
光学30倍ズームが可能で、奥歯をかみしめるとズームイン、意図的に大きなまばたきをするとズームアウトする。双眼鏡のようにレンズを合わせる必要もなく「ハンズフリーで直感的に、近距離と遠距離をシームレスに見ることができる」と、チームリーダーの村田耕一さんはBionic Scopeの魅力を説明する。
Bionic Scopeは特別なセンサーを使い、脳から神経を通じて目の周りの筋肉へ送られる生体信号を皮膚の上から読み取り、その信号をもとにカメラを制御する。市販のセンサーでは感度が足りないと判断し、独自にセンサーの開発にも着手して成功した。既に特許も出願中だという。
筑波大学チームはプレゼンテーションで、Bionic Scopeの魅力を渾身の英語で伝えるとともに、自然災害における行方不明者の捜索や、空港など人が多い場所での警備強化に活用できるとアピールした(写真4)。またコア技術の部分は、ヘッドマウントディスプレイや顕微鏡、双眼鏡など幅広いデバイスに応用が可能であると説明し、Bionic Scopeが持つ可能性を強調した。
ルーマニアが「医療用ウェアラブルデバイス」で優勝 500人以上の実証実験が鍵に
最終決勝には、ゲーム部門1位のタイ、ワールドシチズンシップ部門1位のギリシャ、イノベーション部門1位のルーマニアの3国が進出した。残念ながら筑波大学チームは入賞できなかった。村田さんは「フィージビリティ(実現可能性)に関する検証が足りなかった」と敗因を分析する。Bionic Scopeのニーズや社会で広く普及する可能性について、より現実味のあるデータや数値が必要だったとの考えだ。
最終決勝では、医療用ウェアラブルデバイス「ENTy」を開発したルーマニアがワールドチャンピオンに選ばれた(写真5)。同チームは、患者の姿勢を24時間リアルタイムにデータ化できるセンサー付きのベルトと、専用アプリケーションを組み合わせたシステムとしてアピールした。目まいなどバランス感覚が影響する病気の診断に役立てることを想定している。既に500人以上の患者で実証実験を進めており、説得力あるデータをプレゼンテーションで披露した。
プログラミング初心者が多数派? Imagine Cup参加者の意外な横顔
Imagine Cupの大会期間中は、参加国の学生チームが開発した製品/サービスを展示するShowcase(見本市)も開催された(写真6)。各国のブースでは、参加者の学生とじかに話をすることもできる。そこで世界中から集った学生にプログラミング歴やプログラミング教育に対する考えを聞いて回った。グローバルでSTEM教育が盛り上がりを見せる中、世界最大のITコンテストに出場する学生のITスキルがどれくらいのレベルなのか、興味を持っていたからだ。
さぞプログラミング経験が豊富な学生ばかりが集まっているのだろうと予想していたが、実際に尋ねてみると反対に「プログラミングを始めて1年くらい」「大学に入ってからコンピュータサイエンスで学んだ」などと話す学生が多かった。小学校でプログラミングを習ったことがあると話したのは、話を聞けた限りではハンガリーとインドの学生だけ。全体的な傾向としては、高校生から大学生の間にプログラミングを始めたという声が多かった。
各チームの内情を聞くと、チームの全員がプログラミングスキルに長けているわけではないことも分かった。韓国の学生は「プログラミングは大学で少し学んだだけで、自分はゲームのキャラクターやデザインを担当している」と述べた。開発を手掛けるプログラマーの他に、デザインやディレクションなどさまざまな能力を持つ学生が集まって、チームとして協力していたのが印象的だった。
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