「2016 Imagine Cup World Finals」レポート
筑波大生が「奥歯をかむとズームするスコープ」で世界の学生と勝負、気になる結果は?(3/3 ページ)
プログラミング教育は小学生から始めるべきか
昨今、グローバルでプログラミング教育やコンピュータサイエンスを義務教育課程に導入する動きがある。これについてImagine Cupに参加した世界各国の学生に意見を聞いた。
結果は、Imagine Cupに参加した学生ということもあり、質問を投げかけた学生全員が「小学生からプログラミングを学ぶことに賛成」と話した。その理由として最も多かったのが、「これだけITが普及した世の中だから、ある程度のプログラミングはできて当たり前。そのためには小学生から学んでおいた方がよい」という意見だ。そうした考えの背景にあるのは「テクノロジーは課題を解決するためのツール」という考え方だ。学生の多くは、ITを使うメリットとして「身近な課題を解決できること」を挙げており、「こうした考えを小学生のころから持つことが将来の役に立つ」と語っていた。
Microsoftのゼネラルマネージャーで、長年Imagine Cupに関わってきたカート・シュテック氏も、小学生からプログラミングを学ぶべきだと考える。「プログラミングを学ぶことについては、専門的な知識を学ぶイメージではなく、外国語を学ぶのと似た感覚を持ってほしい」とシュテック氏は話す。外国語を学ぶと、その国の人の考え方が理解できたり、新たな思考に気付いたりする。「プログラミングを学ぶこともそれに近い」というのが同氏の考えだ。「早くからプログラミングを学んで、さまざまな考え方に出会ってほしい」(同氏)
小学生からプログラミングを学ぶ一番大切な理由としてシュテック氏は、「コーディングはチームスポーツのようなものだから(Coding is a Team Sport)」と述べる。チームの一員としてどのように動くのか、どのように協力するのか。異なる考えを持つチームメイトをどのようにまとめていくのか。多様な考え方をどうやって引き出すのか。コーディングを学ぶ過程には、チームスポーツと似たような要素があるというのだ。
1人で黙々とコーディングに没頭するのではなく、目的を達成するために他者と関わったり、より良い製品/サービスを生み出すために多様な意見を取り入れたりと、チームスポーツを体験するような感覚でコーディングに取り組む。そのことが、将来必要なスキルの育成に役立つというのがシュテック氏の考えだ。
ITは柔軟なテクノロジーだからこそ、さまざまな課題解決に活用できる。だが目的を実現するためには、他者との関わりが大切になる。故にプログラミング学習の経験を通して、IT社会で生まれた“新しい協力のカタチ”を学ぶことも大切だ。日本の教育機関で本格化し始めたプログラミング教育でも、子どもにとって将来必要となる新しい価値観に触れられる内容であることを願う。
執筆者紹介
神谷加代(かみや かよ)
教育ITライター。「教育×IT」をキーワードに教育機関で進むタブレット導入事例やIT活用、子ども向けプログラミング教育、EdTech関連の話題などを、Webメディア、書籍、雑誌などで執筆。著書に『iPad教育活用 7つの秘訣』(共著、ウイネット)、『こどもプログラミング読本――「未来をつくる力」を育てる』(共著、技術評論社)、『子どもにプログラミングを学ばせるべき6つの理由 「21世紀型スキル」で社会を生き抜く』(共著、インプレス)。
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