トヨタなど既存メーカーにどう対抗?
Google、Apple、Uber、Tesla――自動車ビジネス“新ビッグ4”の戦略を探る
10年後、自動車産業の業界勢力図はがらっと変わり、Google、Apple、Uber、Teslaの4社いずれかの自動車を運転するようになっているかもしれない。業界を破壊する“四騎士”それぞれの戦略の違いを探る。
Google、Apple、Uber、Tesla。私たちは10年後には、この4社いずれかの自動車を運転するようになっているかもしれない。次世代自動車での成功がもたらすものは大きい。IT大手は次なる成長分野として交通輸送事業に照準を定め、政府も巻き込みながらさまざまな取り組みを進めている。米労働統計局(BLS)が最近発表したデータによると、米国では交通輸送費が個人消費支出に占める比率は17%と、住居費の33%に次いで2番目に高くなっている。
Google、Apple、Uber、Teslaの4社を合わせると、既存の自動車メーカーにとっては極めて大きな脅威だ。4社は事業提携やエンジニアリングチームの構築などを積極的に推進し、自動車業界にとって何十年ぶりとなる技術革新をけん引している。
Google:膨大なデータを武器に多様なプロジェクトに参画
Googleは自動運転車の開発に力を注いでいる。ここで大きな強みとなるのが、人類史上最も積極果敢ともいえる同社の地図製作の取り組みだ。Googleは最近、クラウドソーシング型地図サービスを提供する傘下のWazeとともに米国で新しい相乗りサービスをスタートさせている。
Apple:自動車でも独自の美学とスタイルを追求
Appleの自動運転車プロジェクトをめぐっては、以前からうわさが飛び交っている。最近では、Appleは英国の名門スポーツカーメーカーMcLarenの買収を検討中とも報じられた。自動運転電気自動車でも究極のデザインを追求するAppleにとって、McLarenのエンジニアリングチームで培われた炭素繊維やアルミニウムといった軽量素材の技術は大きな後押しになると指摘する声もある。
Uber:交通輸送分野の一大勢力となるべく買収で技術や人材を確保
Uberは常にビジネスモデルを改革しており、自動運転関連のニュースで一番に名前が挙がることも少なくない。2016年8月には、米国ペンシルベニア州ピッツバーグで自動運転車の試験運用を開始した。同じく8月に自動運転トラックを開発するOttoを買収するなど、Uberは積極的なペースで新規市場への参入を進めている。
Tesla:エネルギーと交通輸送のサプライチェーンを構築
Teslaも自動運転技術の開発を加速させ、家庭用蓄電池の開発、巨大リチウムイオン電池工場の建設、充電ステーション網の拡大など、ブレークスルーの実現を目指している。2016年8月には太陽光発電ベンチャーのSolarCityを買収し、総合エネルギー企業としての進化を図っている。以上4社の中では、自動車の出荷台数はTeslaが最多だ。ただし時価総額ではTeslaはまだAppleやGoogleには遠く及ばず、自動車の出荷台数も世界の自動車メーカーには到底及ばない。
今後この分野の競争に加わりそうなその他の企業には、Amazon、Microsoft、Facebookなどがある。現時点ではいずれも、4社ほど積極的には自動運転に取り組んでいない。中国のDidiも競争相手の1つとなるだろう。アジアが世界の自動車販売台数の33%を占めることを考えると、なおさらだ。
だが時価総額だけで判断することはできない。既存の自動車メーカーの売上高や自動車出荷台数と比べると、4社の数字はまだごくわずかだ。
世界トップスリーの自動車メーカーであるトヨタ自動車、Volkswagen、General Motors(GM)の3社を合わせた2015年の売上高は約6760億ドルだ。AppleとGoogleの売上高は合わせて3000億ドルを超えるが、両社とも交通輸送事業からの利益は少ない。Teslaの2015年の売上高は約40億ドル、Uberは約15億ドルとなっている。
世界でのトヨタ自動車とVolkswagenとGMの自動車出荷台数は今のところほぼ互角だ。各社とも2016年の最初の7カ月間に600万台近くの自動車を出荷し、通年では1000万台を予想している。Teslaは2016年の上半期に3万台を出荷しており、年末までに8万台の出荷を目指すという。2015年には世界で約7200万台の自動車が出荷されている。
形勢が完全に変わるまでには、まだやるべきことがある。
Google、Apple、Uber、Teslaの4社が既に自動車業界を揺るがしつつあることは確かだ。この先しばらくは、この4社が交通輸送分野のイノベーションをリードしていくことになるだろう。ただし世界で何百万台もの自動車を製造し流通させる既存メーカーの力がすぐに弱まることはないはずだ。
新規参入組にとって1つ好機といえるのは、自動車稼働率の低さだ。現在、自動車の稼働率はわずか1%にまで下がっている。自動運転技術によって、必要なときに必要な場所に自動車を向かわせることができるようになれば、稼働率が向上し、今の100分の1の台数で需要を満たせることになるかもしれない。
AppleがMcLarenの買収を検討しているのも、おそらくこうした好機があるからだろう。そして、だからこそ、コネクテッドカーや自動運転車といった次世代自動車の将来には、そうした車を実現するためのソフトウェア技術だけでなく、車両を製造し流通させるためのグローバルサプライチェーンの構築あるいは入手が必要となる。
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