「統合エンドポイント管理」(UEM)のインパクト
「Windows管理とiPhone管理は別物」という時代はもう終わった
モバイルデバイスだけでなく、クライアントPCや仮想デスクトップも統合管理する「統合エンドポイント管理」(UEM)の登場で、Windows管理は大きな変化を遂げようとしている。
VMwareは、同社の「VMware Workspace ONE」を統合エンドポイント管理(UEM)製品として位置付けようと躍起になっている。同社は2015年、Workspace Oneの一部であるモバイルデバイス管理(MDM)製品の「AirWatch」に、Microsoftの「Windows 10」の管理機能を追加した。その後12カ月の間に、VMwareはUEMを実現するために、さまざまな要素に手を加えてきた。IT部門はUEMにより、従業員が業務の遂行に使用する全てのデバイスを一元管理できるようになる。
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「MDM」の時代は終わったのか
“同じ屋根の下”のMDMとWindows PC管理
2016年8月末に米ラスベガスで開催した「VMworld 2016」でVMwareは、AirWatch、さらにはWorkspace Oneで、Windows 10クライアントPCの完全なライフサイクル管理が可能になると発表した。Workspace Oneには、VMwareのID管理ツール「Identity Manager」やDaaS(Desktop as a Service)の「VMware Horizon Air」が同梱されている。デスクトップ仮想化を利用している企業は、Workspace OneとAirWatchのUEM機能について詳しく知ることをお勧めする。これらのツールによって既存の仮想デスクトップと並行して、Windows 10を搭載した物理的なクライアントPCを管理できるようになるからだ。
WindowsクライアントPC管理の土台作りは、Microsoftのモバイルデバイス管理ツール「Microsoft Intune」のβ版が2010年に登場したときまでさかのぼる。IntuneによるクラウドベースのWindowsクライアントPC管理に対する評価は当初、“ITの未来”と“ばかげた考え”とのはざまに立っていた。現在、MicrosoftはWindows 10にMDM用API(アプリケーションプログラミングインタフェース)を追加しており、IT部門はモバイルデバイスの管理と同じツールを使用してWindows 10デバイスを管理できる。
WindowsクライアントPCの管理手段を選定する際、現時点ではMicrosoftの「Microsoft System Center Configuration Manager」やDellの「Dell KACE」などのIT資産管理製品を比較検討していることだろう。またはWindowsのディレクトリサービス「Active Directory」の設定管理機能である「グループポリシー」で可能な作業と比較しているのではないだろうか。
ネットワークでは全ての要素がActive Directoryの「ドメイン」(ユーザーやコンピュータの管理単位)を中心に展開されている可能性が高いので、このような比較は適切だ。ドメイン内では各エンドユーザーについて、ファイルやアプリケーション、メール、プリンタへのアクセス可否をドメインにひも付けて管理できる。そのためWindowsクライアントPCの設定や管理についても同じようにするべきだろう。
ドメインは、運用に特殊なスキルを必要とする複雑な仕組みだ。新しいネットワークを一から設計する必要がある場合、オンプレミスのアプリケーションサーバやデータベースが備わったドメインを使用する必要性があるのかどうか検討した方がよい。
できる限り、クラウドのアプリケーションやサービスを使用するという選択肢もある。ただしクラウドの使用によって、多くの新しい問題が浮上する。その中でも重要な問題がユーザーIDの確認だ。VMware Identity ManagerなどのID管理製品は、IT部門にID管理の負荷を掛けることなく、ユーザーに対して必要なアプリケーションやサービスへのアクセスを可能にする。
クライアントデバイスには、WindowsやGoogleの「Android」、Appleの「iOS」「OS X」といった主要なOSの一部または全てが含まれている可能性がある。これらのデバイスに特定の設定を強制するには、IT部門はWindows用にドメインをセットアップし、OS X用にJamf SoftwareのApple製品管理製品「Jamf」、モバイルOS用にMDM製品を導入する。またはMDM製品によってはもっとシンプルに、1つの製品から全てのデバイスを管理することもできる。
転換期を迎えたWindows搭載デスクトップ管理
ここまでが現在の状況の説明だ。ベンダーは、WindowsクライアントPC管理の市場が重要な岐路に立っていることを認識している。IT部門がWindowsクライアントPCを管理する方法を変えることは可能であり、変える必要があると考えているのだ。だが従来の方式で物事を進めてきた企業が、その方式を切り替えるのは容易ではない。ドメインに依存したサービスやアプリケーションが多い状況では、管理方法の移行が、多くの段階を踏む長期プロジェクトとなるからだ。物理デスクトップPCは最後に着手する部分になるだろう。
そのため、現時点でできることはそれほどない。唯一あるとすれば、WindowsクライアントPC管理において魅力的な選択肢となるほどに、MDM製品が成熟している事実を認識することだ。オンプレミスのアプリケーションやサービスをクラウドへ移行し始めると、WindowsクライアントPCを管理するためだけに、ドメインを不必要に運用している状況が明るみに出るかもしれない。
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