ハードウェアは上々だけど……
徹底レビュー: 新2-in-1「YOGA BOOK」、“未来感”漂うパネルキーボードの使い勝手は?(2/3 ページ)
キーボードとデジタイザ
伝統的な観点で見ると、YOGA BOOKに物理キーボードは存在しない。その代わりに、大きなワコムのデジタイザの表面に、フルサイズのQWERTY配列が表示される。どちらもアンチグレアフィルムとCorningの「Gorilla Glass」で覆われており、キーはバックライトで表示されるアイコンとなっている。微弱な振動による触覚フィードバックを返すが、キーストロークはない。
LenovoはこれをHaloキーボードと呼んでいるが、物理キーボードの代替としては物足りない。まず、入力速度は遅くて、ぎこちない。物理キーがないため、キーがあるはずの位置をやみくもにタップすることになる。ある程度慣れて作業に集中すれば十分正確に文字を入力できるが、他のキーよりも小さい句読点のキーや「Shift」キーと同時入力はやりづらい。タッチ入力は不可能で、人差し指でせっせと入力した方がスクリーンキーボードを使用するより若干ましという評価になる。
Android版のYOGA BOOKには、便利なソフトウェアが同梱され、予測変換、修正、キーの誤入力対応をサポートしている。だが、“物理キーのないキーボード”というハードウェア上の根本的な問題を解決するには至っていない。
ディスプレイまたはキーボードパネルにあるペンアイコンを押すと、キーのアイコンが消え、ワコムの技術が採用された「Create Pad」が現れる。Haloキーボードと異なり、これは非常にすばらしい機能だ。この機能により、YOGA BOOKの下半分は写真家やデジタルアーティストが使う従来型のワコムタブレットのように動作する。また、ワコムのReal Penの2048段階の筆圧検知もサポートしている。
この機能は、ディスプレイを開いたまま、作業を妨げることがないためアーティストにとって重要だ。360度対応の腕時計バンド型ヒンジによって、これまで不可能だった位置でディスプレイとCreate Padを配置できるようになっている。例えば、120度に開いた状態を維持したり、180度開いて平らな状態にして使ったり、メモを取る人は360度開くこともできる。メモを取る作業については後述する。
この機能が頻繁にメモを取る人に歓迎されるのは間違いない。なぜなら、ワコムのReal Penは、実際のペンとしても使えることで有名だからだ。ゴム製の先端部分をインクが充填された先端と簡単に交換して、デジタルスタイラス機能をそのまま維持できる。YOGA BOOKには、インクが充填された先端部分が3つ同梱されており、追加購入することも可能だ。
ここには、YOGA BOOKで最も巧妙な仕掛けがある。Create Padの上に紙のメモ帳を置いて、Real Penを使用すると、物理的なインクとデジタルインクの両方を使用して同時にメモを取ることができる。YOGA BOOKには、マグネットで取り外し可能なLenovoの「BOOK Pad」と書きやすくて頑丈な紙が付属している。だが、BOOK Padの使用に関わらず、どんな紙でも使用することは可能だ。BOOK Padを実際のメモ作成に使うのであれば、下敷き代わりにして、ひっかき傷のリスクも軽減できる。
パフォーマンス
Windows版とAndroid版のYOGA BOOKは、どちらもIntelの1.44GHzクアッドコア「Atom x5-Z8550」(バースト2.40GHz、キャッシュ2MB)、4GBのRAM、64GBのストレージ、8500mAhのバッテリーを搭載している。
2016年の第1四半期にリリースされたAtom x5-Z8550プロセッサは、これまでのAtomシリーズで最後の製品となるだろう。というのも、IntelはAtomシリーズの開発停止を発表しているからだ。実際、YOGA BOOKはAtomプロセッサを搭載してリリースされる最後の主要デバイスになるかもしれない。
Atomプロセッサは電力をほとんど必要とせず発熱も少ないため、薄型軽量デバイスに最適だ。さらに、AtomプロセッサはTechTargetがレビューしたYOGA BOOKに搭載されているGoogleの「Android 6.0.1」を処理するのに十分な性能も備えている。また、Android版のYOGA BOOKの使用経験を踏まえれば、Windows版のYOGA BOOKに搭載されているMicrosoftの「Windows 10 Anniversary Update」や負荷が軽度から中程度までの生産性アプリやタスクも問題なく処理できるだろう。
Android版のYOGA BOOKをテストした際に、不具合、クラッシュ、低速現象などの問題は発生しなかった。どの動作もスムーズで安定しており、他の主要なAndroidデバイスと比べても遜色ない。Gameloftの「Modern Combat 5」といった多くのリソースを消費するゲームやアプリもIntelの「Intel HD Graphics 400」のおかげで快調に動作した。実際、タッチ画面のAndroidタブレットはディスプレイが広いため、スマートフォンよりもゲームがプレイしやすい。
Lenovoは、Samsung Electronicsの極薄タブレットである「Galaxy TabPro S」やHuaweiの「HUAWEI MateBook」が採用しているもっと強力なIntelの「Core M」プロセッサをYOGA BOOKに搭載することもできたであろう。だが、その場合、価格は大幅に高くなっていたことが予想される。また、Core iプロセッサを採用していたら、冷却ファンといった何かしらの冷却手段を備え、もっと厚みのあるデバイスを作らなければならなかっただろう。
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