ハードウェアは上々だけど……
徹底レビュー: 新2-in-1「YOGA BOOK」、“未来感”漂うパネルキーボードの使い勝手は?(3/3 ページ)
スペック
本稿で使用したYOGA BOOKのスペックは以下の通りだ。
- 10.1インチのFHD IPS AnyPenタッチディスプレイ(解像度1920×1200、表面はグレア)、タッチ対応ワコムデジタイザのCreate Pad(EMRペン技術搭載)
- Android 6.0.1(Marshmallow)
- IntelのAtom X5-Z8550プロセッサ(1.44GHz、バースト2.40GHz、キャッシュ2MB)
- Intel HD Graphics 400内蔵グラフィックス
- 4GB LPDDR3 RAM(拡張不可)
- 64GB内蔵容量(microSDにより拡張可能)
- 802.11 a/b/g/n/ac Wi-Fi
- Bluetooth 4.0
- 200万画素の正面Webカメラ、800万画素の背面カメラ
- 寸法:256.6×170.8×9.6ミリ(幅×高さ×奥行き)
- 重量:約690グラム
- 本稿使用モデルの価格:499.99ドル(日本での販売価格は3万9800円/税別)
ベンチマーク
Primate Labsの「Geekbench 4」はパフォーマンス全体を測定するクロスプラットフォームベンチマークだ。スコアが高いほど、性能が高いことを示す。
同社の「Geekbench 4 Compute」はグラフィックのパフォーマンスを測定するクロスプラットフォームベンチマークテストだ。スコアが高いほど、性能が高いことを示す。
バッテリー
YOGA BOOKに搭載の8500mAhバッテリーは、普段使いなら丸1日は十分持続する。画面の明るさを最大に設定してNetflixの「Netflix」をWi-Fi接続でストリーミングするという耐久テストを実施した結果、バッテリーは7時間20分持続した。大半の主力スマートフォンは同様のテストで8~10時間のバッテリー持続時間を記録している。一方、タブレットでは4~12時間と結果に幅がある。
ソフトウェア
Androidは、ノートPCのOSとして優秀とはいい難い。なぜなら、AndroidはノートPCというフォームファクター向けに最適化されていないからだ。それどころか、タブレット用のOSとしても最適化はほとんどなされていない。
Lenovoは、AndroidをデスクトップPCに合わせるための調整に最善を尽くし、タスクバーを追加して、マルチウィンドウのサポートも部分的に有効にしている。ただし、このサポートは機能していないも同然だ。例えば、マルチウィンドウのサポートにより、アプリがスマートフォンで表示するような向きで並んで表示されるが、これはGoogleの「Chrome」と「Gmail」、Microsoftの「OneNote」、Evernoteの「Evernote」を始めとする数種類のアプリにしか対応していない。Googleの「Googleドライブ」や「Googleスプレッドシート」、Microsoftの「Microsoft Word」や「Microsoft Excel」といった生産性アプリは、本稿執筆時点ではマルチウィンドウに対応していない。
最新バージョンの「Android 7.x Nougat」では、ネイティブなマルチタスクが導入されている。これがマルチウィンドウのサポートに役立つことを願いたい。
さらにAndroidでは、ネイティブな書き込みのサポートも不足している。一方、Windows 10 Anniversary Updateでは書き込みのサポートが強化されており、WindowsやOneNoteに書き込みのサポートを組み込んでいる。だが、Android版のYOGA BOOKでは、同製品に最初からインストールされている「Note Saver」などのアプリにサポートがほぼ限定されている。
面白いことに、ノートアプリのNote Saverには必要最低限の機能しか用意されていない。このアプリは基本的な描画、テキスト入力、筆圧検知などをサポートしているが、検索機能や手書き文字をテキストに変換する機能は備わっていない。これらの機能は、まともなメモアプリに欠かせない機能である。また、メモはPDF形式で保存したりPDF画像として他のメモアプリにインポートしたりできるが、書かれたものは全て非常に低画質でブロックノイズが発生する。また、Note SaverがメモをPDF画像として送信するため、もっと堅牢で手書き文字をテキストに変換する機能を備えたMyScriptの「MyScript Smart Note」などのメモアプリにメモをインポートしてもテキストに変換することはできない。
前述のNote SaverやGoogleの「Google Handwriting Input」のようなメモアプリでもワコムのReal Penを使用できるため、全く無意味というわけではない。YOGA BOOKでは、Note Saverをバックグラウンドで実行して、他のアプリを開きながらメモを取ったり、ディスプレイの電源がオフの状態でもメモを取ったりすることができる。これは素晴らしい機能だ。この機能により、Googleの「YouTube」で動画を視聴しながら同時にメモを取ることができる。また、バッテリーの消費を抑えるために、インクが充填されたペンで手早くメモを取りながら、デジタルで記録することも可能だ。
Note Severに限定されていなければ、この機能は強力な武器となっただろう。実際のところ、Windows版のYOGA BOOKはデフォルトでOne Noteを使用するが、このアプリにはディスプレイがオフの間にメモを記録する機能はない。だがTechTargetが考える限り、このトレードオフはわずかなものである。
メモを真剣に取るのであれば、Windows版のYOGA BOOKをお勧めする。
デジタルアーティストに対するYOGA BOOKの評価は多少異なる。Android版のYOGA BOOKには、Ambient Designが開発したすばらしい「ArtRage」アプリが同梱されている。また、Google Playストアには、試す価値のある描画アプリが幾つも提供されている。デジタルアーティストにとって、ディスプレイをフルに活用でき、筆圧検知機能のあるアクティブデジタイザを使用できるのは喜ばしい点だろう。
本稿で使用したYOGA BOOKに内蔵されている64GBのストレージのうち、約3.5GBはプリインストールアプリが占有しており、使用可能な領域は52GBだった。このアプリの中には、McAfeeの「McAfee Security Scan Plus」などのアプリやLenovo製のアプリが含まれている。だが、ありがたいことに、これらは全てアンインストール可能だ。また重複しているアプリは、電子メールクライアントとGoogleの「Gmail」のみである。
結論
Lenovoの「YOGA BOOK」は、本格的な画家やデジタルアーティストをターゲットとし、秀逸なアイデアに基づいて作られている。Lenovoがハードウェア部分に力を入れたことで、YOGA BOOKはTechTargetがこれまでにレビューした中で最も魅力的でデザイン性に優れたデバイスの1つとなっている。腕時計バンド型のヒンジや、ワコムの技術を使ったCreate Padは卓越した出来栄えだ。
ただし、本稿のレビューに使用したAndroid版のYOGA BOOKはソフトウェア面でその期待を裏切る結果となった。本稿のレビューではテストしていないが、WindowsはAndroidよりもずっと物書きに特化したデバイスに適したOSだと断言できる。これはMicrosoftが最新のWindows 10 Anniversary Updateでデバイスへの書き込みを重視したことに起因する評価だ。
どちらのOSをインストールしているかに関係なく、Lenovoの予測変換機能をもってしても、Haloキーボードはスクリーンキーボードに辛うじて勝っているとしかいえない。このキーボードが原因で、YOGA BOOKはニッチなデバイスの域を出ず、普段使いに向いたデバイスにはなっていない。
Windows版のYOGA BOOKは549.99ドル(日本での販売価格は5万2800円/税別)で適正価格といえる。Atomを搭載しているデバイスとしては高額だが、Atomを搭載したタブレットやデバイスで、YOGA BOOKに匹敵する性能と外観を兼ね備えたものはない。
Android版のYOGA BOOKは499.99ドルだが、Androidの制限を考慮すると価格はあまりに高い。描画アプリが搭載されているというメリットはあるものの、Androidはどう調整しても現実的なデスクトップPC向けOSにはならない。それを踏まえると、追加料金を支払ってWindows版を購入することをお勧めしたい。
長所
- 素晴らしい設計と優れたヒンジ
- 驚きに満ちたCreate Pad
- 十分なパフォーマンス
短所
- スクリーンキーボードと大差のないHaloキーボード
- 書き込み向けに設計されていないAndroid
- シンプルすぎて使いづらいNote Saverアプリ
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