対話型で次の段階に行くスマートセキュリティ
Apple、Googleも開発本格化、IoTで家を守る「スマートセキュリティ」とは
IoT(モノのインターネット)の登場により、ホームセキュリティの形が変わりつつある。どのように変わってきているのか紹介する。
スマートセキュリティ/セーフティデバイスの分野における最近の進歩は、一般消費者の不安解消につながる新しい広範なソリューションの登場を促した。こうした取り組みをリードしているのがIoT(モノのインターネット)技術に注力している企業で、これらの企業は住居の安全性を高めるスマートタイプのコネクテッド製品やサービスの開発も進めている。
今のところ、これらのデバイスの市場をけん引する最大の原動力となっているのがホームセキュリティだ。市場調査会社Parks Associatesの調査によると、現在、ブロードバンドを利用している米国家庭の19%が何らかのスマートホームデバイスを所有している。またセキュリティシステムを導入している家庭の半数がスマートホームデバイスを所有している。
従来、ホームセキュリティデバイスの所有を促してきた主要な要因は、侵入防止や脅威の検知、盗難、被害、傷害の防止などであった。意外なことに、米国の住民1000人当たりの窃盗犯罪件数は、ピークとなった1991年以降、25年間にわたって減少している。それでも、近隣で起きた犯罪で不安を感じた自宅所有者から、ホームセキュリティサービスプロバイダーへの問い合わせが殺到することが多い。個人的な体験がどうであれ、財産と愛する人の安全とセキュリティを求める消費者の心理が、ホームセキュリティデバイスの採用を促しているようだ。
犯罪と安全をめぐる懸念が消費者のセキュリティ意識を高める要因であるのは確かだが、ホームセキュリティシステムの導入は、転居やライフステージの変化がきっかけになることが多い。ホームセキュリティシステムを導入した家庭の60%以上が「住宅の購入あるいは転居が導入のきっかけになった」と答えている。そのため、セキュリティ企業は新築もしくは中古住宅の購入者、ハウスメーカー、建築請負業者、別荘所有者などへの売り込みに力を入れている。直接的な因果関係を示すのは難しいが、住宅建設/販売の最近の増加が、ホームセキュリティ市場の新たな成長に貢献している。
スマートセキュリティ/セーフティデバイスの導入を促している要因がもう1つある。それは多数の既存の旧式ホームセキュリティシステムが、ホームコントロール機能を備えた最新のスマートセキュリティプラットフォームへのアップグレード時期を迎えていることだ。旧式ホームセキュリティシステムのコントローラーは、アップグレードしても、対話型サービスやホームコントロール機能を搭載することはできない。つまり、無線接続やリモートアクセス/コントロールなどの新しい機能を追加できないのだ。
こうした旧式ホームセキュリティシステムの所有者およびこれらのシステムに関連したサービスの利用者は、ホームコントロール機能を含む豊富な機能を備えた対話型ホームセキュリティシステムへのアップグレードを見込める主要な顧客層だ。これらの消費者がホームセキュリティシステムをアップグレードするときは、スマートデバイスを追加する可能性が高い。なぜならホームセキュリティ企業がアップグレードを促すときに、人気の高いスマートデバイスを自社の製品にバンドルするからだ。
ホームセキュリティを手掛けるVivintによると、ホームセキュリティを導入済みの家庭の80%が古いシステムを使っているという。ホームセキュリティ企業のADTが2015年9月に公表したレポートによると、同社のディーラーが担当したアップグレードまたは買い替えを検討する顧客の75%が、同社の対話型ホームセキュリティ/ホームコントロールプラットフォーム「Pulse」を採用した。一方、Vivintは、同社の新規顧客の85%が、少なくとも2個のホームセキュリティシステム備えたスマートホームデバイスを選んだとしている。
ホームセキュリティシステムを利用していない73%の家庭でも、ホームコントロールシステムと連係する、あるいは単体のデバイスとして動作する、スマート煙検知器や漏水検知機、ネットワーク接続型カメラなどのセキュリティ機能を備えたスマートホームデバイスの採用が増えている。ユーザー自身による取り付けが可能なセルフインストール型のホームセキュリティデバイスの普及による市場の拡大は、専門企業がモニタリングするホームセキュリティシステム市場の伸び率を約10%上回っている。セルフインストール/セルフモニタリング型デバイスが将来的に専門サービスへの需要に転化するのか、それとも消費者がセルフモニタリング型デバイスで満足するのかどうかは、現時点で不明だ。
ブロードバンドプロバイダーおよび公益企業が専門的セキュリティ分野に参入してきたことで、ホームセキュリティエコシステム市場での競争が激化している。AT&T Digital LifeとComcastは2013年、スマートホーム機能を備えたモニタリング型ホームセキュリティ製品で市場に参入した。巨大な加入者ベースの活用を狙う両社は、それぞれのデバイスパートナーを増やしている。
住宅リフォーム企業のLowe’sは、同社の「Iris」プラットフォームに対応したデバイス群で競争に参入している。Amazon.comやApple、Google、韓国Samsungといった巨大IT企業は、スマートホーム用のアプリケーションやデバイス、プラットフォームの開発を本格化させている。一方、NestやAugust、Ringなどのデバイスメーカーが発売した斬新なスマートセキュリティデバイスは、消費者の間で話題になっている。多くの消費者にとって、用途が明確な単体型デバイスがスマートホーム導入の入り口になるだろう。こうした形での導入は、次第に複雑なホームセキュリティエコシステムを創出し、プロバイダー各社に競争環境と同時に提携の機会をもたらしている。
IoT製品の進化と革新は、今後もスマートセキュリティデバイスの普及を促すだろう。
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