プロフェッショナル向けから家族向けへと変貌か
徹底レビュー:新型「MacBook Pro」は、僕らが知っている“Pro”ではない(2/4 ページ)
MacBook Proの端子と機能
AppleはMacBook Proに対して、これまで端子と機能を適切に選んで装備していた。新型MacBook Proも装備する端子は多い。ただし、その端子の選定が適切ではない。ヘッドフォン、マイク、ヘッドセットオーディオジャックの3役を兼ねた単一の端子の他には、USB Type-C端子(IntelとAppleが共同開発したThunderbolt 3の端子)しかない。Appleはこれらの端子さえあれば、エンドユーザーは他に何も必要としないと信じきっているに違いない。
写真家や映画撮影者なら欲しがるであろう、メモリカードリーダーも組み込んでいない。フルサイズUSB端子も、イーサネット端子も、HDMI端子も、Mini DisplayPort端子でさえ用意していない。USB Type-C端子は電源への接続にも使用する。
意図的ではないかもしれないが、こうした端子の選択は奇妙な結果を生む。MacBook Proと組み合わせて利用されることが多いと考えられるAppleのスマートフォン「iPhone」には、USB Type-C端子と「Lighting」端子をつなぐケーブルが付属していない。そのためアダプタードングルを購入しない限り、iPhoneとMacBook Proを接続する手段がないのだ。
もう1つ注目すべき点は、充電にUSB Type-C端子を使用するのに伴い、MacBookシリーズの象徴ともいえる電源アダプター「MagSafe」を廃止したことだ。この事実はエンドユーザーにとっては好悪両面がある。移動機会が多いエンドユーザーであれば、混雑した空港や喫茶店で、他人が自分の電源コードに足を引っ掛けるたびにMagSafeの有難みを何度も感じてきただろう。MagSafeなら、MacBookから乱暴にケーブルが引き抜かれることはなく、安全にケーブルが外れる。一方で電源コードを少し引っ張るだけでバッテリーの充電が止まることに頭を悩せる必要はなくなった。個人的な見解としては、どちらかと言えばMagSafeの採用を希望していた。誰かが電源コードに足を引っ掛かけても、自分のMacBookや電源アダプターケーブルが傷つかないと分かっている方が安心できる。
MacBook Proの画面とスピーカー
本稿のテストで使用した13インチMacBook ProのRetinaディスプレイは、解像度が2500×1600ピクセル、ピクセル密度が227ppiになる。これは従来モデルと同じだ。大きく変わったのは画面のバックライトで、新型モデルのRetinaディスプレイは最大500ニト(輝度の単位)の輝度を実現する。従来モデル(300ニト)と比べて非常に明るくなっており、これは印象的だ。
Appleの発表によると、MacBook Proの2016年モデルは「DCI-P3」という色空間をカバーし、標準的なRGBと比べて色域が25%広がっている。これは一般ユーザーにとってはそれほど興味を引かれる話ではないが、色の管理が重要になる仕事をしている場合は大きな違いになる。写真家、ビデオカメラマン、印刷管理者などがその例だ。一般ユーザーなら、2種類のオレンジ色の微妙な違いには気付かないかもしれない。だが顧客のアルバム用に何百枚もの結婚写真を編集する人、新しい野球チームのロゴとユニフォームの色合わせをする人などには、色のわずかな違いが極めて重要になる。
ディスプレイが感動するほどのものではなくても、オーディオが決め手になることもある。Appleはステレオスピーカーを完全に作り直し、キーボード両側の薄いスピーカーグリル内部に配置した。新型MacBook Proのスピーカーは、音を直接届ける上で完璧な位置にあるだけではない。ダイナミックレンジが従来モデルと比べて倍になり、音量も58%増強した。要するに、この内蔵スピーカーは並外れて鮮明な音を大音量で再生できるわけだ。ミュージックトラックを再生したり、Netflixの同名サービスやAmazon.comの「Amazon Prime」のようなストリーミングビデオサービスの音声を流したりしてみたが、はっきりとしたひずみや細かいノイズは確認できなかった。オーディオ愛好家には高音質ヘッドフォンや外部スピーカーの使用をいつも勧めている。だが大半のユーザーは、MacBook Proの内臓スピーカーから流れる音に非常に満足できるだろう。
MacBook Proのキーボード、Touch Bar、タッチパッド
Appleのキーボードは20年以上にわたってテクノロジーの象徴のようになっている。最新キーボードも非常に独特な仕上がりだ。これは、キー押下時の物理移動距離がゼロに近く、キーの動作にほとんど奥行きがないことに起因している。MacBook Proのキーボードを快適と感じるかどうかは、エンドユーザーの入力方法によって変わってくる。キーを軽く押してタッチタイピングするエンドユーザーであれば、正確なタイピングに十分なフィードバックを感じることができる。だがデスクトップPCの従来型のメカニカルスイッチやゲーム用キーボードに慣れているエンドユーザーの場合は、キーストロークの浅さが大きなストレスになる。ところが、浅いキーストロークにもかかわらず、Microsoftの「Windows」搭載ノートPCでフラットキーボードを使用した場合に通常耳にするキー操作音と比べて、MacBook Proは個々のキーの操作音が大きめだ。MacBook Proのキーボードは「うるさい」ほどではないが、キーの動作はDellのXPS 13のキーよりもはっきりしている。
キーボードのすぐ上に新たに配置されたTouch Barは、見た目が印象的だ。だが過去数年、同様のタッチ部を採用したWindowsノートPCは複数存在した。だがAppleのエンジニアは、そのようなノートPCに注意を向けなかったに違いない。というのも、Touch Barでも同じ過ちが繰り返されているのだ。まずTouch Barがキーの最上列に近過ぎる。数字キーやバックスペースキーを押そうとするだけでTouch Barを押してしまう事態が非常に起きやすい。加えて従来のファンクションキーの列をTouch Barに置き換えているため、これまで通りのキーボードショートカットを利用できない。メール送信ボタンなど、Touch Barのボタンの中には利便性に優れたものもある。それでも、従来のファンクションキーの方が素早く操作できることも多いだろう。
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