プロフェッショナル向けから家族向けへと変貌か
徹底レビュー:新型「MacBook Pro」は、僕らが知っている“Pro”ではない(4/4 ページ)
MacBook Proのベンチマーク
以下に主要なベンチマークツールでのベンチマーク結果を示す。
MacBook Proのバッテリー持続時間
従来のMacBook Proは、すばらしいバッテリー持続時間を実現してきており、WindowsノートPCにおける一般的な記録を常に上回ってきた。これはAppleのMacBookと、その専用OS「macOS」(旧バージョンは「OS X」)が、最初の段階から両者の組み合わせを前提に構築されてきたからだ。macOSの開発チームは、ハードウェアの消費電力を最小限に抑えるために、コードのどの部分を変更する必要があるかを理解している。ハードウェアチームも、OSが作業を完了するために、どのようなシステムリソースを必要とするかを把握している。その最終成果が、感動的なバッテリー持続時間だった。ただし「これまでは」である。
Appleの公式発表によると、新型MacBook Proは無線LANに接続した状態で、バッテリーが「最大10時間」持続するという。だが本稿のテストでは、画面の明るさを最低設定にまで落とした場合でさえ、6時間を越えるバッテリー持続時間を引き出すことはできなかった。バッテリーアイコンを押すとTouch Barにバッテリーの残り時間が表示されるが、この推定値が非常に激しく変動する。これまでにレビューしてきたMacBookは、どれも値の動きがもっと小さかったと記憶している。理由は分からない。新しいRetinaディスプレイでバックライトが大幅に明るくなったことによるものかもしれない。現在のアクティビティー要件に基づいて、Coreプロセッサの消費電力が上下する仕組みに原因があるのかもしれない。あるいは最新のMacBook Proシリーズの内部に、非常に大きな電源管理の問題が潜んでいることも考えられるかもしれない。
本稿の公開準備中に、AppleはmacOSを「macOS Sierra 10.12.2」に更新した。実はこの更新によって、新型MacBook Proではバッテリーの残り時間の推定値が表示されなくなる。バッテリー持続時間のテストを何度か実行したが、この更新によってもその結果に目立った改善は見られなかった。本稿執筆時点では、バッテリーの残り時間を示す視覚的な目安を取り除くことによって、Appleは芳しくないバッテリー持続時間と変動の激しいバッテリー残量表示の問題を修正したようだ。これはTechTarget編集部が考える「修正」とは異なるが、Appleがこれまでに提供してきた解決策に非常に近いものがある。
MacBook Proは変わった
結局、かつてApple製品の根幹を成していた考え方を、Appleのエンジニアが忘れてしまっている印象を拭い去ることはできなかった。操作は直感的かつ「自然」に感じられるものであれ、という考え方だ。Touch Bar内の表示シンボルは、古めかしいファンクションキーの刻印よりも直感的だと考えることはできる。だがTouch Barには、「自然」に使える要素はほとんどない。Touch IDとApple Payの組み合わせは便利だ。だがTouch IDが巨大なタッチパッドに組み込まれているか、専用の指紋スキャナーがタッチパッドの隣に配置されていれば、Touch IDはさらに直感的で自然なものになるだろうと感じる。
Touch Barによるストレスに、短いバッテリー持続時間、2015年製のハードウェア、端子の不足、SDカード未搭載といった要素が積み重なると、MacBook Proは「プロ仕様」のツールというよりも、割高なMacBookのように感じられる。恐らくそれが新型MacBook Proの最大の欠点だ。MacBook Proシリーズは、機能満載で、標準MacBookよりも大幅に優れていることが求められる。それは、MacBook Proはプロフェッショナルが仕事に使うために設計されるためだ。MacBook Proは見掛け倒しの家族向けデバイスになってはならない。だが2016年モデルのMacBook Proは、正にそういう製品になってしまっている。
必須のUSB Type-Cアダプターを購入するまで、業務で使う一般的な周辺機器を何1つMacBook Proに接続できない。互換性のある外付けカードリーダーがなければ、画像や動画をメモリカードから転送することもできない。Adobe Systemsのクリエイター向けサービス群「Adobe Creative Cloud」やMicrosoftのオフィススイート「Microsoft Office」のような普及しているアプリケーションの標準キーボードショートカットも使用できない。さらに問題なのは、安価なMacBookよりも、MacBook Proのバッテリー持続時間が短いことだ。
家族向けノート型デバイスを求めている一般ユーザーなら、新型MacBook Proの魅力である美しい画面、高品質スピーカー、全体的に軽快なパフォーマンス、前モデルのMacBook Proを上回る薄型軽量設計を気に入る可能性はある。要するにAppleが作り出したのは、ほんの少し優れたMacBookであり、ほんの少し見劣りするMacBook Proだ。
長所:
- 美しいRetinaディスプレイ
- 便利な大型タッチパッドとTouch ID
- 薄型軽量
- 高品質内蔵スピーカー
- 標準タスク向けの適度な高速パフォーマンス
短所:
- 不十分なバッテリー持続時間
- 不適切なTouch Bar(ファンクションキーの方が適切)
- 端子の不足(USB Type-Cのみ)
- SDカードリーダー非搭載
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
10
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー