動き始めた「ラーニングアナリティクス」【第3回】
九州大学でも実践中、「ラーニングアナリティクス」が“空論”ではないこれだけの根拠(2/3 ページ)
応用先の最有力株「アダプティブラーニング」が活発化
学習者の理解度に合わせて学習すべき内容を選び出し、一人一人に合った内容で学習を進める「アダプティブラーニング」(適応学習)の提供は、ラーニングアナリティクスの注目すべき価値の1つです。アダプティブラーニングは、教育ビッグデータとラーニングアナリティクスを活用して個別指導を実施します。あたかも経験豊富な教員のように、学習者の学習状況を判断して弱点補強のためのポイントを指し示したり、次に学習すべき箇所を提示したりすることで、一人一人の理解度に合わせた学習を促します。
アダプティブラーニングの草分けとして世界的に知られる企業がKnewton(ニュートン)です。Knewtonは2008年設立の米国企業で、教育機関や教材会社などにアダプティブラーニングエンジン(以下、Knewtonエンジン)を提供しています。Knewtonエンジンを活用した教育サービスの総ユーザー数は1300万人以上に上ります。
Knewtonエンジンは、他社製アプリケーションからAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)を介して呼び出すことで動作します。各学習者に適した教材を提示するレコメンド機能、学習内容の理解度や学習の進行状況を管理・予測するアナリティクス機能、教材の学習効果を分析する「コンテンツ・インサイト」といった機能を提供しています(図2)。
日本でも大手教育企業の採用で普及期へ
ベネッセホールディングスとソフトバンクが共同で設立した教育サービス企業のClassiは、大手教育系出版社5社の高等学校向け問題集から選んだ5万問を提供する「問題集パック」にKnewtonエンジンを採用し、生徒の理解度に合った問題を出題できるようにしています。本格提供に先駆けてClassiが2015年に全国8校、1500人を対象にした実証研究では、偏差値換算で1~5ポイントの学力向上や学習時間の増加、学習満足度の向上が見られたといいます。
Z会グループは「TOEIC」(国際コミュニケーション英語能力テスト)対策のオンライン通信教育「TOEICテストAdaptie」にKnewtonエンジンを採用。学習者一人一人の苦手/得意の傾向に合わせて問題を出し分け、効率的なスコアアップを図ります。2017年3月に開始する、中学生から社会人を対象とした無学年制のオンライン通信教育「Z会Asteria」でもKnewtonエンジンを活用。解答の正誤や学習履歴、理解度などのデータを総合して、学習者が次に学ぶべき課題を提示します。
Knewtonに限らず「Cerego」「すらら」など、アダプティブラーニングエンジンを活用した教育サービスは急速に充実しつつあります。電通国際情報サービス(ISID)が立命館守山中学校・高等学校と共同でアダプティブラーニングの実践を進めるなど、教育現場での活用を模索する動きもあります。大手教育企業がアダプティブラーニングを取り入れ始めたことで、今後この領域でのアダプティブラーニングの活用、ひいてはラーニングアナリティクスの普及に弾みがつくと予想できます。
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動き始めた「ラーニングアナリティクス」
教育や学習活動から生まれる教育ビッグデータを生かす「ラーニングアナリティクス」。その実態を明らかにする。
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