次のブルーオーシャンはどこか
創造的破壊が起きつつある5つの市場 次の「Airbnb」「Uber」はどこで生まれる?
近年、民泊サービスの「Airbnb」、タクシー配車サービスの「Uber」、不動産取引の金融サービス「HomeAdvisor」などのサービスが勢いを増している。次はどの市場にシェアリングエコノミーが参入するだろうか。
近年勢いを増している、民泊サービスの「Airbnb」、タクシー配車サービスの「Uber」、不動産取引の金融サービス「HomeAdvisor」など、インターネットを通じてモノやサービスを共有するシェアリングエコノミーサービスには、既存の業界を破壊的に変革する力がある。本稿では、デジタルディスラプション(デジタル時代の創造的破壊)の次なる最前線となりそうな5つの市場の概要を、カーシェアリング、自動車修理・整備、セルフストレージ、テクニカルサポート、中古教科書販売・レンタルの順に紹介する。
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カーシェアリング
タクシー会社に代わって利用者とドライバーを直接結び付ける配車サービス「Uber」は、既に一部の自動車業界にとって大きな破壊的要因となっている。カーシェアリングサービスは、自動車業界を破壊的に変革する“次の大きな波”となるかもしれない。車を所有せずに必要なときだけ使いたいという一般消費者にとって、カーシェアリングは魅力的なサービスだ。一方には、車を空港の駐車場に停めていたり、自宅のガレージに置いていたりと、自分が使っていない間だけ他人に貸し出したいという人たちがいて、もう一方には、柔軟な移動手段として一時的に車を必要としているビジネス旅行者や観光客がいる。こうした人たちを結び付けるのが、カーシェアリングサービスの役割だ。カーシェアリングのアプリケーションを使えば、レンタル条件を柔軟に設定し、需要と供給に応じてリアルタイムで料金を変動させることができる。
カーシェアリングは遊休状態にある自動車を活用するサービスであり、レンタカー会社にとっては直接の脅威となる。カーシェアリングを利用すれば、車を所有することで生じる諸経費を負担する必要がない。さらにカーシェアリングサービスは、自動車メーカーにとってもある程度の脅威となる。カーシェアリングという便利な移動手段の利用が広がれば、新車販売台数に影響が及び、レンタカー会社の自動車購入台数が減少することになりかねないからだ。
自動車の修理・整備
自動車修理・整備のシェアリングエコノミーは、まだあまり開拓されていない市場だ。この市場の拡大を促すためには、アフターマーケット向け車載ドングルベンダーとの提携が得策だろう。ドングルベンダーと提携すれば、既存の顧客ベースを獲得できるだけでなく、ドングルが収集する車両データを活用して、整備に関するアラートやエンジン診断データを提供したり、地元の修理業者を推薦したり、車の問題箇所を修理業者に事前に知らせたりできる。
セルフストレージ
セルフストレージ(個人向けのレンタル収納スペースのこと。日本ではトランクルームとも呼ぶ)のシェアリングエコノミーは、収納スペースを必要としている人と、ガレージや屋根裏、地下室、トランクルームなどに遊休スペースを持つ人とを引き合わせる役割を果たす。追加の収納スペースを必要としている一般消費者にとって、セルフストレージのシェアリングは非常に便利なサービスとなるだろう。整理収納サービス業者Miller Organizingによれば、車2台用のガレージを持つ米国民のうち、32%は実際に車を駐車するスペースが1台分しかなく、25%は1台分のスペースすらないという。これは、ガレージを収納スペースとして利用する人が多いからだ。空きスペースをシェアするサービスの裾野を広げるためには、「Handy」や「TaskRabbits」といった家事雑用代行サービスや「Airbnb」などの空き部屋共有サービスとの連係を図るのも手だ。
テクニカルサポート
自動車修理・整備と同様、テクニカルサポートのシェアリングエコノミーは一般消費者が近所またはオンラインで最も適任の技術者を見つける手助けとなる。ルーターの修理から、消失ファイルの復活、ウイルスの駆除、ランサムウェアへの対応まで、急を要するさまざまな問題の解決に利用できる。
テクニカルサポートのシェアリングサービスは、常に迅速な対応を提供することで、競争上の優位を獲得できる。消費者調査データによれば、ブロードバンド接続を利用する米世帯のうち約22%が有料のテクニカルサポートサービスを利用しており、こうした顧客にとって最大の不満は、技術者の到着までに長く待たされることだという。テクニカルサポートのシェアリングサービスを使えば、技術者とのチャットを介して通常のメンテナンスを実行したり、スマートフォンのカメラを使って問題箇所を説明したり、技術者の指示に従って必要なタスクをステップバイステップで実行したりといったことが可能だ。こうしたテクニカルサポートは遠隔地からネットワーク経由でサービスを提供することによって、料金を低く抑え、より多くの利用者を引き込むことができる。
中古教科書の販売・レンタル
中古教科書販売・レンタルのシェアリングサービスを使えば、学生は使い終えた教科書をリスト化して、販売やレンタルや交換ができる。レンタル契約の場合は、履歴を記録することも可能だ。学生間の支払いもアプリケーション経由で円滑に済ますことができる。中古教科書のシェアリングエコノミーは、大学生の経済的負担の軽減に役立つことが期待される。米国の大学生は年間で平均1200ドルを教科書の購入に費やしているが、使い終えた教科書を学内の書店に売却しても、受け取る額はわずか200ドル程度だという。
中古教科書販売・レンタルアプリケーションを使えば、特定の教科書を検索したり、バーコードをスキャンして手持ちの教科書の一覧表を作成したりできる。近くで中古教科書を探している学生を見つけたり、アプリケーション経由で支払いを済ませたりといったことも可能だ。購入希望者が入札する仕組みにすれば、売り手側は入札額を地元書店のリアルタイムの買い取り価格と比較し、一番の高値で売ることができる。
以上、5つの分野のシェアリングエコノミーは、いずれも既存業界の非効率性とビジネスモデルの脆弱(ぜいじゃく)性を突くことで、業界を破壊的に変革する可能性を秘めている。ユーザーの利用体験は、アプリケーションの設計を改良し、顧客サービスを充実させ、提供できる価値を明確に示すことで、さらに強化できる。ただしシェアリングアプリケーションを成功させるためには、具体的で実現可能なビジネスプランを立案し、市場の障壁を克服し、ある程度の事業規模を実現する必要がある。アプリケーションがお粗末で、成長を果たせず、競合相手との差別化を図れないようであれば、当然、成功する保証はない。それでも、これら5つの新しいシェアリングエコノミー市場には、創造的破壊と成長の大きなチャンスがある。
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