データ分析を選手育成に活用するラグビーフットボールリーグスポーツ界に進出するデータ分析

英国ラグビーフットボールリーグは、全選手をデータ化し、選手の起用や育成に活用している。知られざるラグビーリーグ界の舞台裏とは?

2016年03月07日 08時00分 公開
[Brian McKennaComputer Weekly]
Computer Weekly

 英国ラグビーフットボールリーグ(以下RFL)は、パフォーマンスの向上と選手の安全性確保を目的に、Qlikのデータ分析ソフトウェアを使用している。

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 RFLヒューマンパフォーマンス部門のトップ、リチャード・ハンウィックス氏によると、ラグビーリーグは最先端のスポーツ分析を取り入れている競技の1つだという。「あまり知られてはいないが、(RFLでは)選手個人、チーム、代表経験など、細部にわたる膨大なデータを収集している」と同氏は話す。

 ラグビーユニオンはチェスに例えられるが、ラグビーリーグはチェッカーに似ている(これはリーグの選手ジョン・ウィルキン氏が英BBCの『BBC Radio 5 live』でよく話していることだ)。そのため、データ分析を応用するのに適したスポーツといえる。

 ハンウィックス氏は次のように話している。「ラグビーリーグは、他のスポーツに見劣りすることはない。世界的に見れば巨大とはいえないが、それでも大きなスポーツだ。最先端の取り組みを行っているRFLについて、ぜひ知ってもらいたいと願っている」

 ラグビーリーグはラグビーユニオンと異なり、歴史的には英国北部の労働者階級を中心とするスポーツだ。ラグビーリーグは、密集体系でボールを運ぶ(モールやラック)がなく、ボールがインプレーになる時間が長い。選手の数もユニオンの15人より2人少ない13人なので、より高い身体能力が求められる傾向がある。

 「(リーグには)考え方が柔軟で、問題解決力が高く、科学的に思考するコーチ陣がいる」とハンウィックス氏は話す。同氏によれば、データ分析は「最重要」ではないとしても、重要な位置を占めていることは間違いないという。

 データ分析が用いられるのは、肉体にかなりの負担が掛かる一連の動き(タックルして立ち上がり、後ろに回ってタックル、また立ち上がって後に回るといった動き)における選手の能力の限界を測るときだけではない。血液検査など、生理現象の測定も用いている。

 RFLはQlikから「データの表示と分析のプラットフォーム」を得ており、これは「全選手とチームに対する採点システム」だとハンウィックス氏は話す。

 2015年、イングランド代表チームの小規模なデータサイエンス部門が、データを分析してさまざまな試合における選手起用の情報を提供するアプリを開発した。このアプリは、ピッチ上での走行距離、得点、トライ数、アシスト数、平均走行速度など、最新の試合やトレーニングにおける全選手のデータを目に見える形にする。

 このような統計データはその後、対戦相手の技術力や最新パフォーマンスのデータと擦り合わされる。

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