医療ITの未来はどうなる
IoTデバイスを体内に組み込む実験が増加、「ミクロの決死圏」は夢物語ではない?
IoTの進化とデバイスの小型化によって、人体にIoTデバイスを取り入れる実験が増えている。便利になる一方、さまざまな問題もある。
2017年は、診断と治療の目的で「モノのインターネット」(IoT)デバイスを人体に組み込む実験がますます増えるだろう。IoTが急速な進化し、医療IoTとデバイスの小型化が進歩したことで、私たちは人体とテクノロジーの接続性について探求に乗り出している。その結果、人体に組み込まれたテクノロジーインプラントについての多くの議論が巻き起こるだろう。
筆者は、顕微鏡がないと見えないくらい人間が小さくなる映画にいつも魅了されてきた。例えば、1996年に公開されたSF映画「Fantastic Voyage(邦題:ミクロの決死圏)」だ。この映画では、数人の乗組員が乗った潜水艦がミクロ化され、生死をさまよっている人の血管の中に入り込むシーンがある。公開当時は、このようなシーンは幻覚または夢の中でしか起きない出来事と思われていたかもしれない。だが現時点では、このようなことが現実味を帯び始めている。
体内にIoTデバイスを取り入れる実験が増えている。医療用のIoTインプラントは、病気を発見したり、痛みを管理したりすることができる。さらに、脳からの信号を解読して他の臓器に伝達することもできるので、まひの治療方法となる可能性がある。
医療IoTと接続可能な体に関する他の3つのトレンドを以下に紹介する。
1.インプラントとの通信
IoTが組み込まれた医療デバイスによって、インプラントとの直接的なやりとりが可能になる。ペースメーカーはその機能を既に搭載している。だが、絶え間ない進歩によって、現在は神経回路と直接やりとりが可能になり、可能性が大きく広がっている。体がまひしたサルに、コンピュータと通信する脳インプラントを埋め込んだ実験がある。コンピュータは、体を動かせという脳からの信号を解読して、サルの腰椎に適切な指示を送信する。現在、このような実験は動物でする段階にとどまっているが、筆者の直感では、すぐに人体で実験がするようになるだろう。
2.IoTとアルツハイマー病
もう1つの興味深い分野は、アルツハイマー病治療への応用だ。患者の思考をコンピュータにアップロードすることで、失われた記憶を補うものだ。
このようなことが可能になったら、どんなことが起こるだろうか。例えばペースメーカーをハッキングできるようになる可能性があるので、セキュリティに関する議論が加熱するだろう。もし脳を操作できるようになったら、人を侵食して操れる人工頭脳生物を作っていることを危惧する真剣な議論が巻き起こるだろう。
3.バイオハッキング
このトレンドは、今後も物議を醸すことになるだろう。というのも、医療目的以外でテクノロジーを体内に取り込もうとする人がいるからだ。これは、動物に対して何年も前から実施されている。犬や猫に追跡目的で埋め込む非接触型ID(RFID)チップがその例だ。動物の体内にテクノロジーを埋め込むことは、人間にとって便利または自分のスタイルを示すもの以外の何ものでもない。近距離無線で通信するデジタルウォレットのチップを体内に埋め込めば、クレジットカードを持ち歩く必要はなくなる。最近の実験の事例としては、皮膚の下にLEDライトを埋め込んでタトゥーを光らせる人がいる。
医療革新を遂げた一部の医療IoTが広く採用されるまでには、数十年という歳月を要するだろう。だが社会に新しい分断が生じることが予想される。「持てる者と持たざる者」という分裂のように、「体内に接続機能を持つ者と持たない者」とでもいうべき対立によって分断される社会に向かう可能性がある。
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