Gartnerが公表
消えゆくデータセンター、「ITトレンド10選」が示す“明と暗”
コンテナやIoT(モノのインターネット)、エッジコンピューティングなどは、今後も大きな存在感を示すトレンドだ。これらの技術がITプロフェッショナルの役割やスキルセットを導いていくだろう。
ITプロフェッショナルに課せられている要求は厳しい。将来の変化に備えて新しい技術を評価する一方で、既存のアプリケーションの運用を維持しなければならないのだ。
2017年5月初旬に米国フロリダ州オーランドで開催されたGartner主催の「IT Operations Strategies and Solutions Summit」において、Gartnerのアナリストであるデイビッド・J・カプッチョ氏は、2017年に最も重要な10のITトレンドを紹介した。これらのトレンドは必ずしも新しいものではないが、IT部門とデータセンターに与える影響は次第に大きくなっている。
消えゆくデータセンター
企業がより効率的で費用対効果に優れた代替手法を用いてビジネスワークロードを運用するのに伴い、従来のオンプレミス型データセンターの影が薄くなってきた。カプッチョ氏によると、今日、ビジネスワークロードの約80%がオンプレミスで動作しており、残りの20%はクラウド上あるいは委託先の施設で動作しているという。2021年までにローカルワークロードは約20~25%に減少し、大半のワークロードはクラウドをはじめとするオフプレミス(社外)施設上で動作するようになる見込みだ。
データセンターの相互接続が進む
今日のデータセンター技術の大きな特徴がコネクティビティ(接続性)だ。しかし、クラウドなどのオフプレミス施設の成長は、高速・長距離接続を可能にするファイバーリンクを利用した緊密な接続性を実現するだろう。将来の相互接続はデータセンターおよび各種リソースの融合を促進し、データセンターがピアツーピアネットワークのような形に進化する。その結果、パブリッククラウドやSaaS(Software as a Service)プロバイダーの接続性とレジリエンス(障害復元性)は、オンプレミスのプライベートコンピューティングおよびストレージリソースに匹敵し、より広大な規模で柔軟性と俊敏性を提供するようになる。
コンテナがアプリケーションを変える
コンテナは今後も、企業のITトレンドの上位に位置するだろう。これは、コンテナがアプリケーションの開発と配備の新たな形態を可能にするからであり、仮想化されたデータセンターでそれを実現するのは不可能だろう。この環境は開発者に豊かな開発基盤を提供するが、ITプロフェッショナルはコンテナの導入とサポートだけでなく、コンテナの利用に伴うガバナンスやライセンスといった新たな管理問題にも対処しなければならない。コンテナの寿命は数ミリ秒の場合もある。このため、コンテナの作成、監視、管理、破壊を実行する一方で、コンテナの運用に必要な全てのリソースを管理、追跡するための強固なインフラが必要となる。
ITがビジネスを推進
企業のリーダーは、ビジネスにおけるITの必要性とITサービスの役割を理解しているが、業務部門が利用するアプリケーションやサービス、その他の技術を社内のIT部門が指図する時代は終わった。パブリッククラウドやSaaSなどの強力なサービスの急速な成長で、従来型のITモデルは守勢に立たされている。効果的な選択肢を手軽に素早く個別ビジネスに組み込めるようになったことで、IT部門がサービスやワークロードの評価、推奨、配備してくれるのを待つ必要がなくなった。カプッチョ氏によると、現在、企業のIT投資の20%以上がIT管理以外の分野に支出されており、IT部門が現在の地位を維持するには、イノベーションを進め、競争力を高めなければならない。そのためには、エンタープライズITの唯一の提供者という考え方を捨て、サービスの実現と調整の役割を果たす部門として自身を再規定する必要がある。
データセンターのサービス化
企業の関心がインフラからアプリケーションに向かう中、DCaaS(Data Center as a Service)というコンセプトが脚光を浴びている。だが、クラウドやアウトソーシング、SaaS、PaaS(Platform as a Service)、HRaaS(Human Resources as a Service)、DCaaSなどの選択は「全か無か」ではない。1つのデリバリーモデルで企業のニーズの全てに対応するのは難しく、さまざまな目標を達成するには複数のモデルを採用する必要がありそうだ。
キャパシティーの無駄をなくす
「VMスプロール」(仮想マシンの無秩序な増殖)などに見られるように、使途不明のコンピューティングキャパシティーというのは今に始まった問題ではない。だが、今日のコンピューティングモデルが提供するスピードと俊敏性は、スプロール問題を一層深刻化する。これは大きな出費にもつながる。カプッチョ氏によると、現在、コンピューティングインスタンスの28%はゴーストサーバ、すなわち、リソースを実行、消費するが、ビジネスに何の価値も提供しないインスタンスだという。サーバラックの40%は十分にプロビジョンニングされておらず、サーバの能力の32%しか使われていない。またプロビジョニングされたストレージの40%が必要以上に余分な容量を備えている。こうした状況はいずれもリソースの無駄を意味し、企業にとって余計な支出となる。
IoTはまだ初期段階
膨大なデータを収集し、これらを販売やプロセス制御、分析などで必要なインサイト(洞察)に変換できるIoT(モノのインターネット)は、一気に主要ITトレンドの1つとなった。だがIoTの配備で使用する実際のデバイスとソフトウェア群については、まだ定義中の段階だ。IoTデバイスは、組み込み済みの機能、高い拡張性、ベンダーのサポート、ある程度まで完成されたベンダーのエコシステムなどにより、タイムトゥーマーケットの短縮を可能にする。だが導入の総費用が高いこと、製品が未成熟であること、総合的な標準の不在など、IoTに残された課題は多い。
リモートデバイスの管理
IoTは選択、配備、ストレージの各面で難問を突きつけるだけでない。IoTの導入に伴い、IT部門はリモートデバイス、つまりあらゆる「モノ」を管理する必要がある。これは運用管理の面で深刻な問題につながる恐れがある。ITスタッフは自社環境のあらゆるデバイスの導入と構成、運用と保守、更新と廃棄といった作業を行わなければならないのだ。そのためには、デバイスのバッテリー交換時期やIPアドレス、設置場所といった詳細を把握する必要もある。デバイスの定期監査も必要になるかもしれない。
マイクロ/エッジコンピューティングをめぐる課題
多くの企業は高価なネットワーク帯域に投資する代わりに、実際の業務を行う場所の近くに小規模なコンピューティング/ストレージリソースを配備している。これは「エッジコンピューティング」という手法だ。
例えば、各種のセンサーデータを集約する遠隔地の製造現場では、データの収集と前処理を行う場所(あるいはその近く)に小規模なコンピューティングインフラを配備するといった具合だ。そして予備的な正規化と分析を行った後、結果をメインデータセンターに送る。だが、こうしたリモート/エッジコンピューティング方式にはレジリエンスやメンテナンスといった問題が伴う。このため企業は、リモートコンピューティングプラットフォームの要件と脆弱(ぜいじゃく)性を考慮しなければならない。
ITの新たな役割を見据える
上記の主要ITトレンド、そしてビジネスとITの関係の変化は、以下に示すようなITの新たな役割を生み出した。これらの新しい役割の全てを1つの組織だけで実現するのは恐らく不可能だが、今後数年間でこれらの役割の1つ以上が一般化するだろう。
- IoTアーキテクトは、IoTシステムのコンポーネントの選択、配備、管理、ならびに他のデータセンターインフラ/ソフトウェアと連係を担当する。
- クラウドスプロールの担当者は、パブリック/プライベートクラウドのリソース利用を監視することにより、リソースのライトサイジングを図り、無駄を最小限にするためのポリシーを導入、適用する。
- 戦略アーキテクトは、既存のインフラを見直し、ビジネス目標に合致するインフラを最適化するためのガイダンスを提供するとともに、目標を達成するのに必要な技術を特定する。
- キャパシティーとリソースの担当者はビジネスに必要なリソースを分析、予測し、可能であれば費用対効果に優れた代替リソースを活用する。
- ブローカーとプロバイダー関連の担当者は、多数のプロバイダー候補が提供するビジネスサービスを検討し、他のビジネスプラットフォームとの連係が可能で費用対効果に優れたサービスを自社に提案する。
- パフォーマンスとエンドツーエンド分野の担当者は、ワークロードを最大効率で運用し、ユーザーの満足が得られるようにアプリケーションパフォーマンスを管理する。
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