IT担当者の働き方すら変える
2020年のITを決定的に変える“もう無視できない10大トレンド”(1/2 ページ)
データセンターとクラウド市場の急速な進化には、ハイブリッドインフラ、モノのインターネット(IoT)、スマート管理など、各種のITトレンドが関係している。こうしたトレンドはIT部門に新たな役割を追加している。
ITアーキテクトやIT管理者など、ITプロフェッショナルは皆、日々のオペレーションの課題に直面している。だが、将来を見据え、IT業界で起きている多くのトレンドに目を向けることで、そうした日々の課題に効果的に対処できる。
調査会社Gartnerが2016年10月中旬に米国フロリダ州オーランドで開催したITイベント「Gartner Symposium/ITxpo」では、同社の副社長で著名アナリストのデイビッド・カプッチョ氏が講演した。同氏は会場満員の観衆に対し、今後5年間でIT業界に大きな影響を及ぼすであろう戦略的、戦術的、組織的な10のトレンドについて語った。
1. データセンターは姿を消しつつあるが、完全に消えるわけではない
(クラウドやアウトソーシングなどの)“オフプレミス”へのリソースの移行が進み、オンプレミスのデータセンターが姿を消しつつあることは、以前から多くのITプロフェッショナルの知るところだ。カプッチョ氏によれば、2020年までに企業のオンプレミスのワークロードはわずか20%に減る見通しという。ワークロード自体が消えるわけではなく、アウトソーシングやクラウドサービスに移行するということだ。最終的にはそうしたオフプレミスサービスの利用がかなり増えることが予想される。
オンプレミスとオフプレミスが混在するこうしたハイブリッド型のソリューションは、企業のアジリティ(敏しょう性)を高める一方で、新たな課題ももたらす。「ワークロードがオフプレミスに移るからといって、IT担当者が楽になるわけではない」とカプッチョ氏は語り、こうして外部のサービスがますます複雑に絡む環境下においても、IT管理者や最高情報責任者(CIO)は依然、重要業績評価指標(KPI)を管理、監視しなければならないと指摘する。
混在環境を実装し拡張するためには、スタッフを徹底的にトレーニングする必要がある。オンプレミスとオフプレミス間のワークロードの移行は、費用のかかる難しい作業になりかねない。サーバやストレージなど、使われずに遊んでいるリソースは、移行を機に稼働を停止するなり、別の目的に再利用するなりすべきだ。これは見落としがちな点だ。さらにこうした移行の過程では、新たにサービスブローカー(仲介役)が大きな役割を担い、サービス事業者やKPI、サービスレベル契約(SLA)などに関して継続性と一貫性の確保にあたることになる。
2. インターコネクトファブリックが拡大
レジリエンス(回復力)が高いデータセンターは通常、ファイバーを使って、さまざまなIT資産をマルチテナントファブリックにピアリング(相互接続)する。カプッチョ氏によれば、この考え方を土台にリモートサイトをもピアリングしようとしているのが、近年発展中のインターコネクトファブリックだという。その狙いは、「アプリケーションの可用性を確保し、顧客やユーザーの体験を向上する」というおなじみのものだ。従来の「事業継続性」に対し、こうした考え方は「サービス継続性」と呼ばれる。Amazon Web ServicesやMicrosoft Azure、Google Cloud Platformといったクラウドサービスの間では、ワークロードの性能を改善し、レイテンシを減らすための方法として、直接接続も広がりつつある。
「ITインフラという考えには、オンプレミスのシステムだけでなく、顧客に提供する全サービスが関係する」とカプッチョ氏は語る。そこで重要となるのが、集中型の管理によってIT担当者が多様なプロセスを一元的に管理し、オーケストレーションや自動化を行えるにすることだ。サーバやストレージ、ネットワーク、データセンター、サービス事業者のリソースなどを集中的に管理することによって、企業アプリケーションのワークロードとトラフィックパターンを改善できる。
「サービスは適切な場所から、適切な価格で、適切なプラットフォームから提供するのが理想的だ」とカプッチョ氏は語る。
3. コンテナ技術はさらに普及
IT分野で最も顕著なトレンドの1つに、コンテナ技術がある。コンテナ技術はアプリケーションをマイクロサービスに分割することで、新しい形のアジャイルアプリケーション開発を支援する。マイクロサービスは物理システムや仮想マシンに導入し、運用を拡大、縮小できる。「コンテナはアプリケーション開発者にとって主要なツールになるだろう」とカプッチョ氏は指摘する。ただし、IT部門はコンテナの実行をインフラと運用面でサポートしなければならない。これは難しい課題になるはずだ。コンテナは高いスケーラビリティを備えた一時的な環境だからだ。物理サーバの稼働年数が5年、仮想マシンが数週間から数カ月だとすれば、コンテナはミリ秒単位で役目を終えることもある。コンテナはオーケストレーションや自動化など、きめ細かなワークロード管理を必要とする。
4. ビジネス部門主導のITの取り組みが拡大
IT部門はビジネスの問題を解消するために存在する。だがIT担当者は、対処すべきビジネスの問題を常に正しく把握しているわけではない。従来のITプロセスはスピード感に欠けるため、社内のIT部門に頼らずに外部のITサービスを利用するというビジネス部門も増加傾向にある。カプッチョ氏によれば、企業のIT支出のうち29%はIT部門以外で使われているという。クラウドの利用が広がり、ITコストが上昇する中、こうした傾向は今後、ますます強まることになりそうだ。IT部門はこの流れを止めることはできないし、止めるべきでもない。ただしIT部門は社内のユーザーに対し、ビジネスへのITの活用方法をアドバイスしたりサポートしたりはできるはずだ。
5. サービスとしてのデータセンター
IT部門の目標は、ビジネス部門が必要とするアプリケーションを提供することであって、インフラを提供することではない。近年、IT部門の役割はサービス提供者としてのものに変化しつつある。カプッチョ氏は、この先もこの傾向が続くとの考えだ。「私はデータセンターをビジネス部門へのサービスの提供者と捉えている」と同氏は語る。
「サービスとしてのデータセンター」とは、ビジネスのニーズを最大限に満たせるよう、さまざまな要因を考慮した上で、オンプレミスとオフプレミスのリソースを選択するということだ。考慮すべき要因には、コンプライアンス、セキュリティ、リカバリタイム目標、ワークロードレイテンシ、サービス持続性、パフォーマンス、データ保護/復旧の他、企業の評判などが含まれる。最終的には、企業はさまざまな必要性に応じて、何社もの選択肢からサービスを選び、PaaS(Platform as a Service)だけでなく、ヒューマンリソース(HR)や給与計算といった業務についてもサービスとして社内のユーザーに提供できるようになるだろう。
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