ITインフラを変える新潮流【前編】
徹底解説:ハイパーコンバージドインフラ(HCI)を構成する新技術をチェックする(2/2 ページ)
パフォーマンスの観点から言うと、任意のアプライアンスのローカルにあるドライブは、内部で非常に高速な書き込み読み出し処理と高帯域幅を実現する。例えば、8台のNVMe接続ストレージドライブは、80Gbpsまたは1千万IOPSを実現できる。これは、一般的なサーバが使用する量をはるかに超えており、余剰帯域幅を共有できる。
ただし、ネットワークアクセスには困難が伴う。追加の遅延がほとんど発生しないネットワークが理想だが、現実にはそのような理想的ネットワーク規格がない。ハイパーコンバージドクラスタでは、10または25ギガビットイーサネットリンクなど複数の高速なネットワークを使用する。さらに高速な接続でも問題ない。追加のコストは確実に掛かるが、キーデータを局所化することでデータ管理の複雑さを軽減し、全てのサーバが高速に機能できるようにする。
現在、多くのハイパーコンバージド製品では、リモートダイレクトメモリアクセス(RDMA)またはInfiniBandネットワークを採用している。これは、オーバーヘッドを90%程度削減しながらスループットを大幅に増やし遅延は大幅に低減する。
ハイパーコンバージドテクノロジーの実情
小型のストレージアプライアンスには2種類ある。1つはオブジェクトストレージに対して「レゴ」ブロックの手法を採る。この手法は、ストレージ容量が比較的少ない仮想デスクトップインフラストラクチャ(VDI)などの単体製品またはリモートオフィスの完全なストレージプラットフォームで採用している。もう1つはより最近登場した種類で、ハイパーコンバージドテクノロジーというコンテキストにおいて興味深い形態をとっている。
このアプライアンスは、アプリケーションインスタンス、ストレージサービス、SDNサービスを仮想化するために構築したものだ。一般的に搭載するCPUは強力で、中にはデュアルCPU構成のケースもある。そして、大容量のシステムメモリを搭載している。そのため、特にDockerコンテナが3つ全てのサービスクラスで完全にサポートしている場合は、1台のアプライアンスでより多くのインスタンスをサポートできる。
全体的に見て、ハイパーコンバージドテクノロジーのメリットは使いやすさにある。ストレージとサーバ用の独立した1つのハードウェアボックスがあり、これをこのまま購入できる。そしてSDNに対応したハイパーコンバージドインフラ(HCI)スイッチ機器が持つ「不必要なハードウェア持たない」特性により、ネットワークスイッチはずっと効率的な状態を維持する。これにより、予備機材のコストを節約し、インストールを簡略にできる。準備時間をさらに短縮するために、HCIソフトウェアは事前にプリインストールしていることが多い。また、HCIは単独のサプライヤーがサポートするため、メンテナンスリスクが軽減し、その結果としてそのために割り当てる社内スタッフを削減できる。
主要なITプラットフォームベンダーはこぞってHCIを提供しているが、ほとんどの場合、クラスタリングにはサードパーティー(Nexenta SystemsまたはSimplivity:現在はHewlett Packard Enterpriseの一部門)の仮想SANツールを使用している。サービス強化のために、管理ツールやプロビジョニングツールなど、その他の機能を含むこともある。現在、ハイパーコンバージドテクノロジーベンダーの大半は、すぐに運用できることとトップクラスのサポートを保証する目的で、提供する構成の数を制限している。
以上のことから、現時点でハイパーコンバージドテクノロジーを選択するリスクはほとんどない。特にRAIDと比較すると、そのカスタム構成よりコストは低くなる。さらに、現在主要ベンダーからスタートアップ企業に至るまで多くのハイパーコンバージドテクノロジーを取り入れるサプライヤーが存在している。ソフトウェア定義のサービスや製品の進化により、多くのサービスオプションが追加され、今後数年間で機能が新しいレベルに到達するだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
2
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
5
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
6
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
7
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
-
10
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー