コンバージドとの違いを明確に説明
“ハイパー”って何? 注目IT製品「ハイパーコンバージドシステム」の謎
ハードウェアのコンバージドシステムとハイパーコンバージドシステムは、何が同じでどこが異なるのか。異なるユースケース、メリット、デメリットを解説。
データセンターにおけるコンバージドシステムとハイパーコンバージドシステム、これらのインフラがストレージにもたらす意味については、情報が氾濫しているせいか混乱している読者は多いかもしれない。このような状況に陥っているのはあなた1人ではない。コンサルタントのスコット・ロウ氏が、米シカゴで2015年5月中旬に開催された「Modern Infrastructure Summit」でコンバージドシステムのアプローチへの賛否と、ハイパーコンバージドシステムと異なる点について取り上げた。
ロウ氏は、同カンファレンスで「コンバージドシステムが注目を浴びているのは、ストレージの複雑さと拡張の問題に対する反応だ」と語った。コンバージドシステムは、従来のデータセンターのハードウェア製品を組み合わせたものの場合もあれば、ハイパーコンバージド設定におけるコモディティハードウェアと「Software Defined Storage」(SDS)を融合したものの場合もある。
コンバージドシステムは、仮想化がもたらしたストレージの複雑さの解消に役立つかもしれない。具体的には、I/Oブレンダーやサイロを生み出すアプリケーション層とストレージ層だ。仮想化によってストレージではスケーラビリティが大きな問題となったが、この問題はコンバージドシステムが解決できるとロウ氏はいう。
「スケーラビリティは、事象ではなく、機能にならなければならない。現時点では事象で、拡張するためにはダウンタイムをスケジュールする必要がある。購入する全てのものにスケーラビリティが組み込まれるべきだろう」(ロウ氏)
ハードウェアのコンバージドシステムは、既存の製品を1つのユニットに組み込んで、調達/導入/サポートを合理化する。その対象となるのは、SANアレイ、スイッチ、コンピュータだ。また、概念実証(PoC)テストの必要性が少なくなる。その最たる例は、米EMC傘下の米VCE Companyが提供する「Vblock」だ。Vblockは、EMC、米Cisco Systems、米VMwareの製品を組み合わせている。ハードウェアのコンバージドシステムは、購買とセットアップの簡略化を促すが、費用は高額だ。Vblocksの価格帯は10万~100万ドルだとロウ氏は指摘する。ハードウェアのコンバージドシステムでは、機器を購入および導入しても、運用プロセスは変わらない。
ハイパーコンバージドシステムは、従来のストレージアレイとネットワークを組み合わせるのではなく、ストレージ管理ソフトウェアとコモディティハードウェアを包括している。また、仮想ストレージアプライアンスを使用していることも少なくない。ストレージ、データ保護、ネットワークを1つの筐体の中で管理するためのVMを中心としたポリシーを可能にする。ハイパーコンバージドシステムは、テクニカルタームというよりも"勝手に作られた言葉"で、その定義については議論の余地があるとロウ氏は語る。
「金曜日の夜に暇を持て余している場合は、Twitterにアクセスして、ハイパーコンバージドシステムに関する議論に参加されたい。ハイパーコンバージドシステムに関する個人的な基本定義は、1台のアプライアンスにストレージとコンピューティングが含まれており、仮想ストレージアプライアンスと隣り合わせでワークロードが実行されることだ」(ロウ氏)
言い換えると、ハイパーコンバージドシステムとは、「SANに別れを告げてDAS(Direct Attached Storage)の時代に逆行することだ。仮想マシンは各ノードのローカルストレージを管理している」
ハイパーコンバージドシステムをソフトウェアとして購入する場合、購入元は限られる。例えば、VMware(Virtual SAN)や米Maxtaなどだ。一方、ソフトウェアがインストール済みのアプライアンスとして購入する場合は、米Nutanix、米SimpliVity、米Scale Computing、VMwareの「EVO:RAIL」パートナーなどのベンダーから購入可能である。
導入コストは、それほど高くないとロウ氏はいう。1万ドルで購入できることもある。システムは、中小企業向けのものからエンタープライズ向けものがある。顧客は、別のアプライアンスをクラスタに差し込むことでシステムを拡張する。
ハイパーコンバージドシステムは、運用効率を向上するものだとロウ氏はいう。また、集約型ポリシーを設定することが重要で、コストが大きな要素となる場合にハイパーコンバージドシステムを使用することを提案している。顧客はデータを複製して、VMの移行先ハイパーコンバージドクラスタに付いて回るVMポリシーを設定することができる。
ハイパーコンバージドシステムは、仮想デスクトップインフラ、リモートオフィス、中小企業のプライマリストレージなどのユースケースに適している。だが、全てのストレージのニーズに適しているわけではない。
サミットの参加者が、ハイパーコンバージドシステムの拡張に関する制限についてロウ氏に尋ねた。ハイパーコンバージドシステムでは容量とコンピューティングを個別に拡張することができない。ロウ氏は、それが問題になる可能性については同意したが、次のように語った。「運用面の向上は、この問題を相殺できる。ハイパーコンバージドシステムは、全てのユースケースの特効薬になるわけではない。だが、選択肢の1つにはなり得る」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
10
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー