イノベーションを生み出す人材が必須
「AI」は上司? 同僚? CIOが議論する未来の職場とは(1/2 ページ)
最高情報責任者(CIO)の管轄下にある部門などデジタルな職場では、職務上の枠を超えたコラボレーション、社外の貢献者に対する開放性の強化、人工知能(AI)への理解が進んでいる。
未来の職場環境は、協調的なチームを特徴とするようになるだろう。具体的には、従業員が職務上の枠を超えたスキルを巧みに操り、インテリジェントな機器と連携して仕事をするという環境だ。
これは、2017年5月に米国で開催された「MIT Sloan CIO Symposium」に登壇した学者と最高情報責任者(CIO)などの企業幹部による分析だ。デジタルトランスフォーメーションに向けて動いている企業では、より速いペースの革新が必要になる。また、企業はデジタルによる混乱を回避することも望んでいる。この動向によって仕事の本質が変化している。
そして、高度な自動化から急速な進化を遂げている機械学習に至るまで、多数の有力なテクノロジーには、企業で働くIT専門家の役割を再定義することが期待されている。このトレンドにより、IT部門だけでなく、IT部門がサポートしているビジネス部門でも、仕事のやり方が変化するだろう。
General Electric(GE)でバイスプレジデントとCIOを兼務するジム・ファウラー氏は、企業に共通して見られる動きがあると指摘する。それは、従業員が1つの職務に注力するという従来の構造から離れているという動きだ。GEにおける同氏の職務と他の企業で同様のポジションで働く人の職務は、既に従来のモデルから脱却していると同氏はいう。
「人事関連の仕事をする時間もあれば、経理関連の仕事をする時間もある。そして、IT関連の仕事をする時間もある」とファウラー氏は述べ、自身の仕事が以前と比べて職務上の枠を超えたものになっていることを示唆している。
ファウラー氏は、例としてGEの航空事業に言及している。同社の航空事業では、さまざまな分野に最も明るいとされるメンバーと企業幹部が一堂に会して、職務上の枠を超えたチームとして課題に取り組んでいる。また、新しい職場環境に関する別の現状に対処するために、キャリアが5年未満の従業員で構成されたグループも形成している。以前は、将来有望な新人を育てるために、そのような人材を幾つもの部署に異動させていたが、その方法は時間がかかりすぎた。
「新しいビジネスリーダーが、問題やイニシアチブなど、解決にサポートが必要なものを隔週で持ってくる。私たちは、このような自己形成型のチームを多く目にすることになるだろう」(ファウラー氏)
Bank of New York Mellon(BNY Mellon)では、同行が展開する170個のビジネスサービスとこれらのサービスがサポートする金融商品を融合し始めている。同行では、商品ラインごとにデジタル責任者を任命している。デジタル責任者の任務は、デジタル環境で商品がどのような転換を遂げる必要があり、どのようにして利益を生み出すのかを決定することだ。そう語るのは、BNY Mellonでクライアントエクスペリエンスデリバリーとグローバルイノベーションの統括責任者を務めるルシール・マイヤー氏だ。テクノロジーと商品は、以前より密接に連携するようになっている。
職場におけるコラボレーションの未来
職務上の枠を超えた役割を開拓できて、チームで仕事をすることを望む従業員は、長期にわたって雇用される可能性が最も高いと経営幹部はほのめかしている。
職場の未来図が現実のものになるにつれて、職務上の枠を超えたスキルに適合し、スキルを進化および取得できて、分析に関する経験を持った従業員は、職を確保できる可能性が最も高いだろう。そう語るのは、Health Management Systemsでエクゼクティブバイスプレジデントと最高戦略責任者(CSO)を務め、同社の元CIOでもあるシンシア・ナスタド氏だ。なお、Health Management Systemsは、米国を拠点とし、ヘルスケアの費用抑制に注力している企業だ。
最適な立ち位置にいるのは、日常的な作業に縛られていない従業員だとナスタド氏はいう。
ただし職場における未来のチームは、従業員に限定されない。チームメンバーに社外の人材が含まれる可能性もある。
「チームは、従業員ではない社外の人材によって補強される。そのような人材が職務遂行のためにチームを出入りすることになるだろう」(ファウラー氏)
「当社には、次のイノベーションを生み出すために必要な人材がそろっているのかと自分たちに問いかけた」と米国でエンジニアリングと建設を担い、5000人の従業員を抱えるCDM SmithでCIOを務めるデイビッド・ナイツ氏は話す。同社では、問題を解決するためのアイデアをオープンなフォーラムで導き出し、自社が保有する専門スキルを補てんするパートナーの獲得に乗り出すことにしている。そして、CDM Smithは、Object Theoryの協力を得ることが決まっている。Object Theoryは、米国にあるソフトウェア開発のスタートアップ企業で、複合現実(MR)を専門とし、Microsoftの「HoloLens」テクノロジー導入をサポートしている。CDM Smithでは、ビルや橋などの実世界の資産に対してデジタルな変更を重ねて映し出すために、HoloLensを使用している。
他の企業のCIOもスタートアップ企業の協力を得ているが、ベンチャー投資会社の仲介によって生まれた関係も少なくない。
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