怪しいサードパーティーアプリを遮断
Google「G Suite」にホワイトリスト機能、「Office 365」との差は縮まるか
クラウドサービスにアクセスできるサードパーティーアプリを制限する手段として使われるホワイトリスト。Googleの「G Suite」もこの機能を追加し、信頼できないサードパーティーアプリから重要なデータを保護した。
Googleの「G Suite」などのクラウドサービスでは、アプリのホワイトリスト機能を提供している。これを使うと、信頼できないサードパーティーアプリからは重要なデータにアクセスできなくすることができる。
ホワイトリスト機能は、IT管理者が企業データとクラウドサービスにアクセスできるサードパーティーアプリを制限する手段として登場した。
企業にとって情報漏えいは重大な問題であり、規制の厳しい業界ではなおさらだ。「Box」や「Salesforce」、Microsoftの「Office 365」のようなクラウド型ビジネスアプリのセキュリティ基準は高い。だが、サードパーティーアプリはそうとは限らない。そうしたアプリが企業データにアクセスするとセキュリティの弱点になる可能性がある。今回、G Suiteも他のサービスに倣い、アプリのホワイトリスト機能を追加した。これによって、IT管理者は信頼できるサードパーティーアプリだけを許可できるようになる。
「データフローの制限は必要だ。制限しなければ、たちまち廃業に追い込まれることになる」とUnited Bankでメッセージングとコラボレーションを担当するウィレム・バッカス氏は「アプリが企業データに何をするかは予測ができない。だから、どんなアプリも無条件に実行を許すのは危険だ」と語る。
併せて読みたいお薦め記事
Office 365 vs. G Suite
- やはり強い「Office 365」――対抗する「G Suite」の巻き返し策は?
- なじみ深い「Office 365」――後れを取る「G Suite」に待ち受ける2つの課題
- Office 365 vs. G Suiteの戦いが熱い、クラウドオフィスの最終勝者は?
危険なアプリからデータを守る
G Suiteのホワイトリストの仕組み
G Suiteの新しいホワイトリスト機能を使うと、IT管理者は特定のアプリにのみG Suiteのデータへのアクセスを許可できる。これには多くのクラウドサービスが使う「OAuth」を使っている。OAuthはトークンを用いた認証規格であり、サードパーティーアプリにクラウドサービスのデータへのアクセスを許可するために、パスワードなどのユーザー資格情報を渡す必要がない。
従業員がサードパーティーアプリをG Suiteと併用することは妨げず、OAuthデータ共有だけをブロックすることができる。Office 365など他のビジネスアプリスイートも同じ仕組みを採用する。
「これは正しい方向性だ。相互接続性の時代にはデータを保護することが重要だ」とITコンサルタント会社Five Nines IT Solutionsのプレジデント兼CEOのダグ・グロスフィールド氏は評価する。
アプリのホワイトリストの重要性
企業ではこれまでも、IT管理者が認可したアプリ以外のアプリの使用を封じるためにホワイトリストを利用してきた。
United Bankは、従業員が業務に関係のないゲームなどのアプリを会社のデバイスにダウンロードすることや、サードパーティーアプリがOffice 365にアクセスすることを防ぐために、Office 365のホワイトリスト機能を利用している。インタフェースは使いやすく、許可するアプリを簡単に選ぶことができる、とバッカス氏は語る。
Office 365には膨大な数の連携アプリがあるため、使用を許可しないアプリを全てブラックリストに登録しようと思ったら大変な時間がかかる。許可するアプリをホワイトリストに登録する方が従業員に認める操作を制限でき、理にかなっている、とバッカス氏はいう。
ホワイトリストの作成はIT管理者の重要な仕事だ、と同氏は話す。「システムに何を追加できるかは制限しなければならない。それをしないと困った問題が発生することになる」
セキュリティもバランスが重要
アプリのホワイトリストは一般的なセキュリティ対策ではあるものの、完璧ではない、とグロスフィールド氏は指摘する。「これは単なるオンオフスイッチだ。アプリをホワイトリストで許可しても、そのデータフローで何が起こるかまでは把握できない」
社内ネットワークへのデータの出入りを完全に把握して、不適切なデータの流れを排除する手段が必要だ、とグロスフィールド氏は付け加えた。「今できるのはサードパーティーアプリからのアクセスを遮断することくらいだが、実際に何が起こるかまではコントロールできず、予測もできない」
どんなセキュリティソフトウェアを使うにしても、IT管理者は制限の必要性と利便性の維持の間で板挟みになる。従業員の仕事の効率が上がるようなアプリでも、規制やセキュリティガイドラインに従うためにはブロックしなければいけない場合もある。便利なアプリを使えなくなると従業員から不満が出るかもしれないが、セキュリティ上の理由があることを理解してもらわなければならない、とバッカス氏は話す。
調査会社J. Gold Associatesの創業者でプリンシパルアナリストのジャック・ゴールド氏も同じ意見だ。「規制の厳しい業界ではホワイトリストは非常に重要だが、従業員は嫌がるだろう。PCやモバイル端末に好きなアプリを入れたいのに、ホワイトリストのせいでできなくなるからだ」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
2
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
3
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
肥大化した「SFA」の沼 4カ月でBigQuery×AppSheetの新システムを構築した方法
-
6
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
7
次世代RPA「ハイパーオートメーション」が急成長か Gartnerが予測
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
昭和大学病院がeICUを導入、ICUの患者情報を遠隔地で一括管理
-
10
「何から始めればいい?」 情報漏えい対策で悲鳴を上げる中小企業のリアル
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
4
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
5
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
6
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
10
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー