0.5歩先の未来を作る医療IT
「診療所探しは検索サイトで」な時代の診療所経営に必要なIT
新規開業する診療所にとって重要な課題が「多くの患者に診療所の存在を知ってもらい、来院してもらえること」、つまり「集患」です。診療所経営において、マーケティングにITを活用するポイントとは?
新規に開業する診療所にとって最も重要なテーマは「多くの患者に診療所の存在を知ってもらい、来院してもらえること」、すなわち「集患」です。これは、診療所が開業してから一定の軌道に乗る(安定患者数を確保できる)までは常に意識するテーマです。
「立地」が最も重要であった時代
集患に大切な要素を考える「4P」というキーワードがあります。次の要素の頭文字を取った言葉です。
- 価格(Price)
- サービス(Product)
- 立地(Place)
- 販促活動(Promotion)
「価格」については、診療所という業種は(医療保険であれば)一律であるために差別化が難しく、「サービス」も医療の質や患者への配慮など、受診してみなければ分からない面があります。そのため改善の余地があり、かつ改善による効果が比較的見込みやすいのは「立地」と「販促活動」になります。
かつては、立地が良く周囲に競合(同じ診療科)がなければ、あまり販促を気にせずとも患者は集まりました。そのような時代は、駅前の立地や、たとえ郊外でも目立つ立地を開業地として選び、大きな案内看板を立てて誘導するという戦略が主流でした。今ほどマーケティングを意識しなくてもよい時代だったのかもしれません。
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「インターネット」の検索エンジン対策(SEO)が重要な時代に
そのような診療所の環境は、インターネットの普及により大きく変わりました。いまでは多くの方がスマートフォンを保有しており、いつでもWebサイトにアクセスできる時代です。受療行動(医療機関を探して診療を受ける患者の、通院や服薬といった行動)を分析してみると、以下のような流れになっています。
- Attention(注意):病気・異変に気付く
- Search(探索):検索サイトで調べ、ランキング上位からWebサイトを見ていく
- Interest(興味):診療所のWebサイトの内容を確認する
- Action(行動):受診する
- Share(共有):口コミなどで情報を共有する
簡潔に言えば、検索エンジンで「地域+診療科」を調べ、それから来院するという流れが主流になったのです。その結果、診療所のオフィシャルページを持つのはもちろんのこと、SEO(検索エンジン最適化)の一環として「Google AdWords」などのWeb広告を積極的に利用することも多くなりました。
今後はSNSを通じたマーケティングが大切に
現在は「Facebook」「Twitter」「Instagram」「LINE」などSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の普及が進んでいます。例えば国内の月間アクティブユーザー数は、Facebookは約2800万人(2017年9月14日発表時点)、Instagramは2000万人以上(2017年10月3日発表時点)といわれています。
インターネットは従来の「一方的に発信するメディア」から、誰もが発信者になり、シェアを繰り返し、増大を続ける「双方向メディア」へ変化してきています。
SNSの普及により診療所と患者が直接つながることも可能になり、インフルエンザなど感染症のワクチンの情報や、臨時休診日の情報などを患者にダイレクトに届ける試みも増えてきました。患者同士で診療所の評判を交換することも日常的になっています。こうした状況を踏まえると、今後さらにSNSを活用したマーケティングが重要になっていくものと考えられます。
診療所と患者、患者と患者同士のつながりがSNSを通じて生まれ、そのつながりによって集患やリピートが生まれる時代になるのではないかと考えます。
患者目線のファン獲得戦略
このように、診療所にとって集患のためにWebサイトを開設し、検索エンジンでランキング上位に表示されるようなSEOを実施し、受診を促す内容にする、といった“IT武装”が必要となっています。もちろん来院した患者の期待を超える良質なサービスを提供するのは、医療機関として当然のことです。この満足感がなければ、口コミは生まれません。
今後の戦略はSNSを意識して、FacebookやLINE、Twitterなどで定期的に情報を発信し、フォロワーというファンを増やすことで、安定した患者数を確保していくものになっていくはずです。
ここで重要なのは、発信する情報がいかに患者の視点に立った内容なのか、ということでしょう。インターネットが定着すればするほど、見る方の目は鍛えられますから、ファンに喜ばれるような「差別化情報」の発信が大切なのです。
次回は、医療機関のIT武装による集患効果の第2弾として「待ち時間と診療予約システム、そして集患の関係」を解説します。
著者紹介
大西大輔(おおにし・だいすけ)MICTコンサルティング
一橋大学大学院MBAコース修了。医療コンサルティング大手に入社。2002年に医療IT機器の常設展示場「MEDiPlaza」を立ち上げ、企画運営、スタッフ指導、拠点管理などを担当。2016年10月に医療ICT専門コンサルタントとして独立し、MICTコンサルティングを設立。医療機関向けシステムの開発アドバイス、導入アドバイス、医療IT人材の育成などを行う。過去2000件を超える医療機関へのシステム導入の実績から、公的団体を中心に講演を多数実施している。
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