企業の事例で集まった“使える”知見
「Windows 10」移行、担当者の背筋が凍った5つの出来事(1/2 ページ)
誰にでも怖いものはある。高い所、飛行機、ヘビやコウモリなど人によってさまざまだが、多くのIT管理者にとっては「Windows 10」への移行が最も怖いものかもしれない。
Windows 10への移行に着手しようとするとアプリケーションの互換性確認は当然として、アップデートや修正プログラムの適用方法の見直しなど企業が取り組まなければならない厄介な問題が浮上する。こうした複雑な問題を考えれば、IT担当者がWindows 10への移行に不安を抱くのも無理はない。それを乗り越えた企業はどのような対策を講じたのか。実例を紹介する。
7GBのアップデートが大きな問題に
更新プログラムと修正プログラムの自動アップデートは、Windows 10で大きく変わった点の1つだ。Windows 10は利用者に合わせて機能更新のタイミングを分けた「Current Branch」「Current Branch for Business」「Long Term Servicing Branch」という3つの「サービシングモデル」を用意した。
Current Branch、Current Branch for Businessは基本的に常に最新機能を提供するモデル、Long Term Servicing Branchは機能追加がなく、セキュリティ更新とバグフィックスのみ提供するモデルである。
このアップデート方式の変更により、Microsoftがアップデートをリリースする回数は少なくなり、前月の修正プログラムを累積することでアップデートのサイズが大きくなった。米物流企業のNeovia Logistics Servicesでグローバルインフラストラクチャマネジャー兼アーキテクトを務めるヘクター・コルテス氏は、この変更は大きな問題だったと話す。
「Windows 10のパッチはOSレベルで考えられており、長い目で見た時にどんな機能が必要かといった実験的な部分があるようだ。そのためか、更新内容はそれほど細分化されていないので自動アップデートではなく個別にチェックするやり方で十分だという結論に至った」(コルテス氏)
同社は自動アップデートを使わず、個々のアップデートを随時テストして管理することにした。
累積的なアップデートのサイズ増大が引き起こす問題は他にもある。最大7GBにもなるアップデートを保管して従業員に配布するには、それだけ大きなストレージと帯域幅を用意しなければならない。そう話すのは、米金融機関Chemical Bankでバイスプレジデント兼デスクトップエンジニアリングマネジャーを務めるクリス・コッブ氏だ。
「250の支店でこれに対応し、生産性やネットワーク接続に悪影響を及ぼさないようにするのは、これまで経験がない難題だった」(コッブ氏)
この問題に対処するため、同行は2017年に「Adaptiva」というソフトウェア配布ツールを導入した。このツールの帯域幅ハーベスティング(収穫)機能を使うと、Windowsアップデートを支店に配布するとき、その時点で使用していない帯域幅だけ使用することができる。それ以前は、アップデートをダウンロードするたびにネットワークの待ち時間が発生し、顧客対応に支障が起きていた。
「パッチとの戦いには苦労した。ネットワークが遅くなったという苦情が毎日のように来ていたものだが、今では支店にテラバイト規模のデータを送っても苦情は来ない。何も気付くことなく完了する」とコッブ氏は語った。
移行前のアプリケーションインベントリの収集
ある情報分析企業では、何千人もの従業員が使用するオンプレミス仮想デスクトップのクラウド移行を進めており、2018年にそれが完了したらすぐWindows 10への移行に取り掛かる予定だ。
同社では、使用するアプリケーションがクラウドデスクトップで動くことを確認するとともに、Windows 10での動作もテストしなければならない。こうしたアプリケーションインベントリ(構成情報管理)作業の難しさは、開発者や人事担当者、経理担当者などがそれぞれの作業に特化した社内用のカスタムアプリケーションを数多く使っていることでますます深まる。
取材の公式許可を得ていない同社ITマネジャーは、匿名を条件に次のように語った。「古い方法だが、従業員に直接会って何がどのように動いているのか聞く方がいい。あらゆる情報を集め、見落としのないようにする必要がある」
この会社では、システム移行ソフトウェアを提供する企業MigrationStudioのアプリケーションワークフロー管理ツール「AppTracker」をアプリケーションインベントリに利用することにした。このツールのダッシュボードを使うと、全てのアプリケーションの情報に加え、Windows 10への移行にかかわる重要な情報を追跡できる。例えば、各サイトのユーザー数とデバイス数、移行前に新しくする必要のあるデバイスなどを確認できる。
前出のITマネジャーは「これを『Microsoft Excel』でやろうとしたら大変だ。1カ所で全てを把握できるので助かる」と語った。
MigrationStudioの同名ソフトウェアは、従業員のWindows 10アプリケーションテストのスケジューリングも支援する。IT担当者が「VMware ESX」や「Microsoft Hyper-V」の仮想マシン(VM)を展開し、Windows 10デスクトップにアプリをインストールしたら、予定した時間に従業員にVMにログインしてもらい、アプリケーションをテストする。
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