「Oracle CloudWorld Tokyo 2017」レポート
箱根湯本の老舗ホテルが考える、顧客満足のためのデータとAI活用(1/2 ページ)
IT活用で挑む顧客満足向上施策とはどのようなものか。創業60年を超える老舗ホテルの取り組みに学ぶ。
日本オラクルは2017年12月7日、最新のクラウドサービスを紹介するイベント「Oracle CloudWorld Tokyo 2017」を開催した。本稿ではこの中から、「老舗ホテルとオラクルコンサルが語る!CS向上にむけたデータ活用」と題したパネルディスカッションの内容を紹介しつつ、リアルの接客業における機械学習やチャットbotの活用の方向性を探る。
併せて読みたいお薦め記事
顧客満足度向上にITができること
AIはビジネスを変えるか
パネルディスカッションのゲストに招かれたのは、神奈川県箱根町のホテルおかだ取締役営業部長、原 洋平氏。元ITエンジニアという経歴を持つ原氏は、ITを活用してCS(顧客満足)向上に取り組んでいる。司会は日本オラクルSaaSコンサルティング事業本部の多賀直太氏が務めた。また日本オラクルのクラウド・テクノロジーコンサルティング事業本部に所属する石川 雄一朗氏と同SaaSコンサルティング事業本部の熊澤直哉氏が参加した。
Oracle Service Cloud導入でどのページからもFAQ参照が可能に
ホテルおかだは1953年創業。従業員数は約130人で客室は122室、収容人数は667人で、年間宿泊者数は約12万人に上る。同ホテルは従来、団体客の利用が大多数を占めていたが、訪日インバウンド需要の増大などもあって、ここ数年は個人客が増えている。それに伴い、問い合わせも増えて内容も多岐にわたるようになった。自社のWebサイトには100件程度のFAQ(よくある質問)集を用意していたが、それでも十分ではなかったという。
そこで、Webサイトのリニューアルを機にFAQの在り方を大きく変えた。これまでのようにFAQを特定のページに集約するのをやめ、トップページのナビゲーションタブにある「客室」「温泉」「料理」「宴会」などのカテゴリーごとにプッシュ形式でFAQを表示するようにしたのだ。
現在のホテルおかだのWebサイトでは、ページを見ていると、しばらくしてから「こんなことでお困りではございませんか?」とFAQがポップアップ表示される。この仕組みを支えるのが、問い合わせから解決まで、顧客に対して一貫した対応をさまざまなチャネルから実現できる「Oracle Service Cloud」だ。Oracle Service Cloudでは人工知能(AI)技術を活用し、顧客一人一人の行動履歴から、最も価値があると考えられる情報を個別に判断して自動的に表示するようにしているのだ。例えば、客室のページを回遊していると備品の内容や無線LANの提供有無を、料理のページでは食事の場所や時間についての情報を提供している。季節によって滞在スタイルが変わることを考慮し、冬になると「箱根湯本は雪が降るか」という質問を上位に表示することもあるという。
Oracle Service Cloud導入により、顧客満足度は飛躍的に向上した。FAQ参照者のセッション数は導入前と比べて379%、FAQページの参照数は570%増えた。のみならず、新規の流入も増えている。公式サイトの参照数は111%増加した。FAQの内容を充実させた結果として、検索エンジンがコンテンツの価値を高く評価するようになり、SEO(検索エンジン最適化)の効果が高まったからだと考えられる。インターネットからの予約件数も8%増加した。
セッション数や参照数の増加については、日本オラクルからの提案時に予想したのとほぼ同程度の水準であったが、意外だったのは電話やメールでの問い合わせも増えたことだという。問い合わせの内容自体も変化した。以前は、客室や食事の違いについてなど一般的な質問が多かったが、Oracle Service Cloud導入後は、客室や食事の内容についての希望、乳児を連れていくに当たってお願いしたいことなど、具体的な依頼が増えた。
これは悪いことではない。ホテルとしては、事前に顧客のニーズを知ることができ、顧客を迎える準備の効率が向上する。具体的な依頼が増えたということは、FAQがきちんと見られていることの証左といえるだろう。定量的に把握することは難しいが、顧客満足度は上がっているというのが原氏の実感だ。
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