人事が技術講習を受けることも成功要因に
人材管理(HCM)システムを扱う上で必要な人事部スキル9選
人事部のシステム管理者は、人事部の活動の戦略性を高める上で重要な役割を担う。本稿では、人事部のシステム管理者に求められる9つのスキルを解説する。
効果的な人材管理環境を運用するには、HCM(人材管理)システムの管理者に求められる人事スキルが重要になる。適切なシステムのサポートがあれば、人事部運営の戦略性を高め、ビジネスの成功への貢献度も高まるだろう。
意欲的な人事の専門家を育成するコースやトレーニングの選択肢は無数に存在している。だが、HCMのスキルを持った学生を育成するプログラムは少ない。従来の人事専門家育成プログラムの多くは、採用、新人教育、従業員との関係、雇用解除といった従業員のライフサイクルに重点を置いたタスクに注力している。HCM管理者求められるスキルは従来とは異なる。この仕事に関心を寄せる人は、好奇心を持ち、それでいて感覚ではなく正確な数値を基にしたデータ分析ができる有能な人であることが少なくない。
HCM管理者の役割は、新入社員がするようなデータ収集とデータ入力の担当者と混同してはならない。HCM管理者は、人材管理を成功に導くために柱となる業務分野を持ち、その分野を強化する必要がある。ここからは、HCM管理者に必要な9つの人事スキルについて解説する。
1.要件を取りまとめる能力
ソフトウェア開発会社におけるプロダクトマネジャーと同様、HCM管理者は、人事システムに対する全ての変更要件と機能強化を取りまとめる中心的な役割を担う。必要な機能や解決を試みる問題を理解していれば、要件を文書にして、ニーズを満たす解決策を提示できるだろう。要件の取りまとめ範囲は、実にさまざまだ。パフォーマンス管理のフォームやワークフローに関する小さな変更もあれば、新しいモジュールや製品の実装といった大きな変更もある。
2.専門知識
HCM管理者がチームから支持され、信頼されるためには、しっかりとした専門知識が欠かせない。ビジネスニーズを解決する新しい人事システムを探したり、ソフトウェアの機能や製品を評価したりするときには、深い専門知識が役に立つ。また、IT部門と共同作業をするときにも専門知識は重要な役割を果たす。ただ、HCM管理者が、ソフトウェア開発者である必要はなく、高度なITスキルを持ち合わせている必要もない。ただし、技術講習を受講したり、ハイテク業種で働いたりした経験があるとプラスに働くだろう。
3.細部に気を配る考え方
HCM管理者は詳細な情報を正確に入力する必要がある。細かく見ていくとデータが正しく入力されていることや、システムのデータに一貫性があることを保証するために一層の努力が求められる。人事データやレポートにおいて、「大体同じ」というレベルでは不十分だ。HCM管理者が提供する情報を経営陣が信頼して、ビジネス上の判断材料とするには、その情報が正確でなければならない。例えば、社員数の変化に関する報告で数値が合わなければ、人事部に対する信頼は地に落ちるだろう。
4.プロジェクト管理のスキル
HCM管理者は、多くのプロジェクトを管理することになる。フォームに新しいフィールドを追加するという小さなプロジェクトから、人事環境に新しいモジュールや製品を追加するといった大きなプロジェクトに至るまで、その規模は多岐にわたる。このようなプロジェクトとプロジェクトに付随する人材関連のタスクや進捗(しんちょく)を管理できることは、成果物を期日までに予算の範囲内で完成させる上で欠かせないスキルだ。
5.ベンダー管理能力
既存のベンダーと将来関わるベンダーとの主要な窓口として、HCM管理者に求められるスキルがある。それは、問題を提起し、ベンダーと協力して解決策を見定め、プロジェクトが計画通りに進むようにする能力だ。また、自社の財務情報と機密情報を確実に保護するビジネス感覚も持ち合わせていなければならない。このような関係を育むために時間を使い、その関係を先送りにするタイミングを把握することは、双方にとって良好な関係構築を保証することにつながる。
6.コミュニケーションスキル
コミュニケーションスキルが重要な役割を果たす分野は少なくない。例えば、同僚に改善フィードバックの提供を求める、技術的な専門知識を持っていない人に複雑な問題を説明する、従業員に新しい機能やシステムに関するトレーニングを行う、現在進行中のプロジェクトについて報告するといった場面がある。
7.スプレッドシートソフトウェアに関する詳しい知識
現在、HCM製品には多くの機能が用意されている。にもかかわらず、スプレッドシートのニーズがなくなることはない。例えば、1回限りの報告依頼、インポートやデータ分析を行うためのデータの整形依頼に対応するといった場合だ。HCM管理者は、スプレッドシートソフトウェアで利用できる機能を十分理解して、スプレッドシートソフトウェアを効率的かつ効果的に使用できる必要がある。
8.報告スキル
HCM製品には、何かしらのレポート機能とそのひな型が組み込まれている。ただし、既存のレポートを変更したり、依頼に対応するために新しいレポートを作成したりすることは必ず生じる。それから、報告には次の4つの重要な要素がある。
- ニーズを把握する。データを依頼している人がニーズを明確に把握しているとは限らない。HCM管理者は、依頼者に質問を投げ掛け、その回答から必要な情報を見極める必要がある
- データを把握する。HCM管理者は、自社のHCMソフトウェアに現在取り込まれているデータ、そのデータを取得する方法、そのデータが何年分収集されているかを把握しておく必要がある
- 分析に関心を持つ。HCMの管理者は、概要データを報告するタイミングと詳細データを報告するタイミング、依頼に完璧な対応をする上で追加のコンテンツを盛り込むタイミングを判断できる必要がある
- レポートを作成およびカスタマイズするスキルを持つ。組み込みレポートはたたき台としては優秀である。だが、人材管理者は、人材管理への投資を活用できるようレポート作成ツールに精通していなければならない
9.サービス配信の考え方
従業員とマネジャーにHCM製品と関連機能を使用してもらうには、HCM管理者は、彼らからの依頼に迅速に対応しなければならない。例えば、パスワードのリセットに数時間や数日かかると、従業員が再度パスワードリセットを依頼することはなくなるだろう。それから、従業員にフィードバックの提供を依頼して、フィードバックに耳を傾ける必要もある。HCM製品を見直す際には、人事部と協力して幾つかのフィードバックの反映を検討しなければならない。この対応により、従業員は自分たちの考えが評価され、HCM製品が人事部のためだけではなく自分たちの作業を楽にするために存在していると認識するようになるだろう。
企業においてどのポジションであっても例外なく「特定の役割に適したスキルセットを持つ人材を配置する」ことが成功の鍵を握る。HCMの管理者についても同じことがいえる。適任者であれば、必要なものを理解して解決策を見つけ、IT部門と協力して、従業員と経営陣に大きな価値を提供してくれるだろう。この成果を受け取るには、過去の慣習にとらわれず、HCM管理者に必要な人事スキルを把握することが重要だ。
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