ブロック、ファイル、オブジェクトの機能を併せ持つ
統合ストレージ製品ベンダー比較 Dell EMC、Hitachi、HPE、IBM、NetAppの特徴は(1/3 ページ)
ブロック、ファイル、オブジェクトの各インタフェースを統合するストレージ製品を幾つか取り上げ、その機能、長所、短所を見ていく。
IT部門では従来、ブロックストレージ用にSAN、ファイルストレージ用にNAS、オブジェクトストレージ用にクラウドゲートウェイを購入していた。現在では、ブロック、ファイル、オブジェクトの各ストレージインタフェース全てをサポートするソフトウェア定義ストレージ(SDS)製品を選べるようになっている。本稿では、そのようなストレージ製品を幾つかピックアップし、その機能、長所、短所を見ていく。比較対象のベンダーは以下の5社だ。
- Dell EMC
- Hitachi Vantara
- Hewlett Packard Enterprise(HPE)
- IBM
- NetApp
ブロックストレージ
ブロックストレージは、最も古い種類のストレージだ。従来は、物理的な部品(ハードウェアベース)のブロック、セクタ、トラックという機構を使用して、ローカルサーバのHDDにアクセスするために利用されていた。その後、BIOSやOSで設定された物理的な限界を超えてからは、ハードウェアではなくソフトウェアが使われるようになった。
併せて読みたいお薦め記事
ブロック、ファイル、オブジェクトストレージの違い
オブジェクトストレージに注目してみる
ファイルストレージ
70年代後半、ファイルサーバが開発されると、内部のブロックストレージをファイルストレージとして利用できるようになった。これは、Network File System(NFS)やCommon Internet File System(CIFS)などのストレージプロトコルを利用しており、ディレクトリやファイルの階層が表現される。サーバベースのデータセンターの進化に伴い、SANによって、複数のサーバで内部ストレージや直接接続型ストレージの代替として使用できるブロックストレージが登場した。その後、NASシステムによってこの仲介役が不要となり、独立したファイルサーバではなく、ファイルストレージがエンドユーザーに直接提供されるようになった。
オブジェクトストレージ
オブジェクトストレージは、ブロック、ファイル、オブジェクトとストレージが進化する中では比較的新しい概念だ。オブジェクトストレージでは、各ファイルが、ファイル自体、メタデータ、一意識別子を含む独立したオブジェクトとして扱われる。ファイルの種類、作成日、所有者などの情報はメタデータで保持する。
オブジェクトシステムのメリットは、各ファイルをさまざまなシステムでホスト(配置)できることだ。ホスト先は、データセンターであっても、クラウドであっても構わない。ファイルは一意識別子を使用して追跡する。そのため、ファイルの物理場所がローカルファイルサーバ、データセンターのストレージシステム、クラウドストレージシステムのどこであろうと関係なく、エンドユーザーはファイルにアクセスできる。だが、追跡は容易ではない。大規模組織では、世界中に配置された何十ものシステムに何十億ものオブジェクトを格納することさえある。各オブジェクトにIDを割り当てて追跡するには、かなりのリソースを消費する。
データストレージシステムにおけるブロック機能とファイル機能の連携の歴史は長い。当初、オブジェクトストレージシステムでは、ソフトウェアまたはハードウェアゲートウェイを使用して、Amazon Web Services(AWS)の「Amazon S3」やMicrosoftの「Microsoft Azure」といったクラウドサービスの独自のクラウドオブジェクトストレージへのアクセスを実現していた。これらのクラウドサービスがAmazon S3やクラウド環境構築用オープンソースプログラム「OpenStack」などのプロトコルで標準化されると、オブジェクトストレージサービスを、複数のクラウドベンダーやデータセンターのストレージシステムから利用できるようになった。
オブジェクトストレージは仮想的なもので、同じファイルを多数のローカルシステムやクラウドシステムの不特定の場所に保存できる。このときの保存先は、最後にアクセスしたシステム、管理者によって割り当てられた優先順位、定義されたストレージポリシーなどによって変わる。ユーザーがファイルを開くと、ファイルは通常、ローカルストレージに保存される。ファイルを編集、保存するときのパフォーマンスを最適にするためだ。非アクティブな状態が一定時間続くと、ファイルは低コストのクラウドストレージに戻される。また、ホットストレージ、ウォームストレージ、コールドストレージと状態を変えながらクラウドストレージに移されることもある。状態を変えるたびに、ファイルの保存コストは低下する。ファイルに再度アクセスがあると、ファイルはローカルストレージに再び戻る。
オブジェクトを複数のストレージサイロ(独立した環境、地域)に分散させるように、オブジェクトストレージを構成することもできる。例えば、複数地域のサイロに分散させると、いずれかの地域のストレージがオフラインになったり、輻輳(ふくそう)で速度が遅くなったりしても、ファイルを引き続き利用できる。オブジェクトストレージシステムによって、変更が追跡され、コピーが確実に同期される。
オブジェクトストレージのゲートウェイは、ソフトウェアベースである点と特定のハードウェアを必要としない点で、ソフトウェア定義のWAN(SD-WAN)によく似ている。オブジェクトストレージゲートウェイは、PCやサーバで実行できる。オブジェクトストレージを既存のSANやNASシステムに統合するには、既存の仮想化システムにソフトウェアを追加するだけでよく、システムの再設計は必要ない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
8
IT製品の導入に関するアンケート「サーバ&ストレージ」編
-
9
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
10
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー