役立つツールも紹介
クラウドアプリの性能とセキュリティを確保するための5つのテストと主要製品
高いパフォーマンスが発揮されていることを確認し、クラウドアプリのセキュリティを確保する上で重要な5種類のテストの概要を説明する。
エンドユーザーを常に満足させるためには、クラウドホスト型アプリケーションのパフォーマンスとセキュリティを開発チームが定期的にテストする必要がある。それには、クラウドプロバイダーやサードパーティーベンダーが提供するツールが役に立つ。
クラウドアプリのパフォーマンスは、神頼みや幸運を祈るだけでは不十分だ。開発チームは、定期的かつ徹底的にテストを実施して、エンドユーザーや企業の期待にアプリが応えていることを確認する必要がある。
テストは退屈だが、やるだけの価値はある。テストしなければパフォーマンスが不十分になり、セキュリティの脆弱(ぜいじゃく)性が解消されない。それは収益に悪影響を及ぼす可能性がある。本稿では、高いパフォーマンスが発揮されていることを確認し、クラウドアプリのセキュリティを確保する上で重要な5種類のテストの概要を説明する。併せて、テストを実施する上で役立つツールも幾つか紹介する。
負荷テスト
クラウドアプリは、数百(場合によっては数千)の同時接続ユーザーをサポートする必要に迫られることが多い。それを考えれば、安定性は重要な要素だ。さまざまな負荷がかかり、さまざまなユーザー要求が発生する状況でクラウドアプリがどのように動作するかを判断するには、負荷テストが適している。負荷が高い状態でこのテストを定期的に実施し、アプリの応答時間を正確に測定する必要がある。
パブリッククラウドプロバイダーは、負荷テストの実施に役立つツールを用意している。例えば、Microsoftの「Microsoft Azure Portalr」は同社の「Visual Studio Team Services」と統合され、クラウドアプリケーションのパフォーマンスをテストできるようになっている。数回クリックするだけで、Webサイトにアクセスするユーザーのワークロードをシミュレーションして、失敗した要求の数や応答の遅い要求の数をレポートできる。テスト結果はリアルタイムダッシュボードで確認できる。
IBMは自社のクラウドプラットフォームに、Load Impactの「Load Impact」というサードパーティー製ツールを統合して負荷テストを実行できるようにしている。ユーザーはアカウントを作成して、Load Impactの「Load Impact Dashboard」を通じて負荷テストとストレステストの両方を実施し、結果を追跡できる。
ストレステスト
ストレステストは、パブリッククラウドにホストされるアプリケーションが、過負荷状態などの不都合な状況下でも継続して機能することを確認する。例えば、小売企業は、ブラックフライデーなどの重要なイベントの前にストレステストを実施して、アプリがトラフィックの急激な増加に対応できることを確認する必要がある。ほとんどの場合、DevOpsチームがストレステストを実行して、負荷シミュレーションのプロセスを処理する。
パブリッククラウドは、ユーザーがインフラを共有するマルチテナント環境であるため、負荷テストやストレステストは、パブリッククラウドでは特に重要となる。一般に、クラウドはこのようなテストを、複雑なオンプレミスのテストラボよりもコスト効率良く実施する方法も用意している。
Hewlett Packard Enterpriseの「HP LoadRunner」は何千人もの同時接続ユーザーのシミュレーションを実行できる著名なストレステストツールだ。他にも、Apache Software Foundationの「Apache Jmeter」というツールがある。これは、開発者がトラフィックの急増を自らシミュレーションして監視できる。
機能テスト
機能テストでは、ユーザーエクスペリエンス全体をテストする。パブリッククラウドにホストされるアプリがビジネス要件を満たしており、意図通りに機能するかどうかを判断する。一般的な機能テストには、システム単体テストとユーザー受け入れテストの2種類がある。
システム単体テストでは、アプリの個々のモジュールが適切に機能するかどうかを開発者がチェックする。一部のハードウェアやソフトウェアコンポーネントに対するテストもここで行われる。ユーザー受け入れテストでは、アプリケーションが意図通りに動作するかどうかを、実際のユーザーが評価する。ユーザー受け入れテストの実施は、開発者がユーザーエクスペリエンスを考慮していることの表れでもある。そのため、この種のクラウドアプリケーションパフォーマンステストへの参加を依頼すると、ユーザーは通常、喜んで協力してくれる。
機能テスト中には、適切な相互運用性があることを確認し、アプリが異なるプラットフォームで効率良く実行されることや、アプリケーションを別のクラウドプロバイダーに移動できることをチェックすることも必要だ。
ネットワーク待機時間テスト
この種のテストは主にネットワークチームが実施し、エンドユーザーの要求からクラウドアプリケーションの応答までの待機時間が許容範囲内であることを確認する。例えば、「Azure Latency Test」のようなサービスを使用して、アプリケーションのIPの場所と地球上の任意のAzureデータセンターの間の待ち時間をテストできる。CloudHarmonyなどのサードパーティーが提供するツールも待ち時間の評価に役立つ。
セキュリティテスト
クラウドアプリケーションのパフォーマンスに直接的な影響はないが、ユーザーに悪影響を与える脆弱性を防ぐ上で、セキュリティテストも重要だ。例えば、侵入テストでは、悪意のあるユーザーの行動のシミュレーションを行い、クロスサイトスクリプティングなどの脆弱性を特定する。
このようなテストは実際の攻撃と区別できないこともあるため、場合によっては、パブリッククラウドプロバイダーから許可を得てから実施する必要がある。例えば、Amazon Web Servicesでは、テストの前に、AWS脆弱性/侵入テストリクエストフォームに記入する必要がある。Amazonの「Amazon Inspector」サービスを通じて、Amazonにセキュリティ脆弱性評価を代理で実行してもらうこともできる。
開発者がこの種のテストを始める場合は、必ずセキュリティチームにも参加を要請しておきたい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[株式会社キーエンス] PCが苦手でも自動化できる ポポラマーマなど4事例に学ぶ「ナビ搭載型RPA」活用 -
製品資料
[株式会社クレオ] IT部門を“価値創造組織”へ転換 IT管理プロセスの改革で戦略的リソースを確保 -
製品資料
[株式会社クレオ] Excel管理が限界に――ITサービス管理の脱・属人化と運用高度化を実現する方法 -
製品資料
[株式会社クレオ] 西武グループやイオングループも実践 事例に学ぶ「ITサービスデスク業務」改善 -
製品レビュー
[株式会社クレオ] 「使われないITシステム」から脱却 現場が求める業務改善を実現する方法
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
生成AIが普及しても「技術書」を手放せないエンジニアの本音
-
2
IT製品の導入に関するアンケート「サーバ&ストレージ」編
-
3
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
4
世界PC出荷数が20%急減 情シスを直撃するPC先行調達の反動と価格高騰
-
5
326のIPアドレスで1200超のアクセス AIエージェント関与が疑われる攻撃の中身
-
6
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
7
「企業におけるAI導入検討度とIT投資優先度」に関するアンケート
-
8
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
9
IT業界の女性は9割が10年で消える 人材枯渇を招く“見えない壁”の正体
-
10
「企業内サーバ環境の利用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
4
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
5
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
6
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
7
東大教授と考える、AI時代の「データ主権」「信頼性」「ガバナンス」の在り方
-
8
Linux初心者でも知らないとまずい「RHEL」「SLES」の違いとは?
-
9
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
10
ランサムウェア攻撃“究極の対策”はこれだ
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー