攻撃側と防御側の両方が利用
ネットワークセキュリティにおける機械学習の光と闇
機械学習による予測は、ネットワークセキュリティ戦略において役立つ。しかし同時に、ネットワークセキュリティを脅かす勢力も機械学習の恩恵を受けられる。
機械学習はネットワークセキュリティ製品の重要な構成要素になっているが、その恩恵には二面性がある。セキュリティ対策に利用できると同時に、残念ながらハッカーも機械学習を利用できる。
ネットワークセキュリティにおける機械学習は、正当な動作と攻撃の両方について特徴をルール化する。このルールを基に、正当なネットワークやアプリケーションの動作と攻撃を区別する。一方攻撃者は、機械学習を使用してネットワーク防御手法を調査し、判別ルールをかいくぐる方法を見つけ出し、攻撃を実行する。
機械学習の善用と悪用
ネットワークセキュリティにおける機械学習のメリットの一つは、ゼロデイ攻撃(未知のセキュリティホールを利用した攻撃)を識別できることだ。シグネチャベースの新しい攻撃を識別して分析するには時間がかかるが、機械学習を使えば正当な操作と攻撃を区別するルールを活用できる。そのルールによる判別に基づいて新しい形式のマルウェアを検出できるため、過去の観察結果や分析結果を参照する必要はない。
組織が機械学習ソフトウェアを使うための準備方法は幾つかある。ソフトウェアに「攻撃」とラベル付けした一連の入力と、それ以外の「正当な動作」としてラベル付けされた入力をあらかじめ与える。その後、攻撃と正当な動作を区別する特徴群を分析することによって学習させる。
分かりやすい例としてスパムフィルターがある。管理者はスパムフィルターを使い、スパムメール中に出現する典型的な単語のリストを作成する。「スパム」として識別されたメールと「正当なメール」として識別されたメールのセットを機械学習ソフトウェアに提供するというアプローチもある。機械学習ソフトウェアは、両方のメールに出現した単語に基づいて一連のルールを作成できる。ソフトウェアの動作中に、スパムとの関連性が高い単語やメールアドレスが見つかると、それらに基づいて継続的にルールを拡張する。
機械学習ソフトウェアは、ネットワークやアプリケーションで観察された動作に基づいて一連のルールを構築することもできる。例えばトランザクションベースのアプリケーションを監視し、重要なデータベースにアクセスする方法を判別するルールを構築できる。データベースへのアクセス試行の繰り返しなど、通常のパターンと異なる動作はブロックされる。
残念ながら、ネットワークセキュリティにおける機械学習の手法に関する学術的および業界的な情報は攻撃者に丸見えだ。攻撃者は機械学習を利用してネットワーク防御手法を繰り返し調べることにより、マルウェア対策ソフトウェアが攻撃を識別するために使用するルールを特定できる。
攻撃者は、攻撃を成功させることに価値を見いだすため、防御を突破する方法の開発をやめないだろう。同様に、研究者も防御の改善を継続する必要がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
3
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
8
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
9
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
10
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー