事例でRPAの導入効果を確認
「RPA」で社員を本当に幸せにするには? 自動化歴10年の企業が語る
企業はRPA導入で解決すべき業務課題をどのように特定しているのか。RPA導入を担当するIT部門と事業部門の連携の方法は。RPA導入を経験した企業幹部の話を基に、これらの疑問を解き明かす。
人事(HR)およびITビジネスプロセスのアウトソーシング事業を展開するOneSource Virtualは最近、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)ベンダーAutomation Anywhereが提供する新たなタイプのbotのβ顧客になった。Automation Anywhereが「Digital Workers」と呼ぶこのbotは、業務の自動化というより、さまざまなビジネスプロセスで人間の能力を補うことを狙いとする。
本稿では、人間とbotが混在する労働力を管理した経験について、OneSource Virtualのマーケティング部門でシニアバイスプレジデントを務めるケイ・グリービー氏に話を聞いた。グリービー氏によると、同社は自動化に関して10年以上の実績を持つ。
―― OneSource VirtualがDigital Workersを導入するときに取ったアプローチを教えてください。
ケイ・グリービー氏(以下グリービー氏) 3つのアプローチを取った。1つ目として、財務部門にDigital Workersを配置した。人事部と経理部への配置も検討している。
2つ目は、反復作業の多い顧客向けの技術関連タスクと、RPAへの指示方法の改善だ。これらの中からRPAの導入に着手できそうなさまざまな要素を、既に87件特定している。
3つ目は、この導入計画を広げていくことだ。「botの導入ハードルが高く、手に負えない」と感じている事業部門を支援する。例えば事業部門向けに、botの開発設計用インフラを用意する必要なく、登録だけで業務にRPAを導入できるようにするためのDigital Workersライブラリを作成することを考えている。
―― botの用途は1つですか。1つのbotは1つのプログラムやタスクに相当しますか。
グリービー氏 それぞれのbotの用途を1つに絞る必要はない。いつ作業を完了する必要があり、完了をどれだけ待てるかを基準に考えるとよい。自宅で寝ている間に、自分に代わってbotに一晩中レポートを調査してもらいたいとする。その場合、botはほぼ年中無休で非常に多くのことを実行できるようにする必要がある。
RPAの導入では、必要な作業と、その成果がいつ提供されれば納得できるかを定義することが肝心だ。bot自体は多くのプロセスを実行できる。複数のbotを同時実行する必要があるのかどうか、プロセス完了のタイミングに基づいてbotの実行に順序を付けるべきかどうかを検討することが重要だ。
―― RPAを導入して、すぐに実感できたメリットにはどのようなものがありますか。
グリービー氏 財務改善が進んだ。RPAの導入で業務の処理能力が高まり、社員を増やさなくても顧客数を増やせるようになったからだ。社員が各自の抱える仕事の種類に満足しているため、会社としては社員が疲弊しないように支援することが大事になる。
当社の社内には刺激が多い。若手社員にとって、こうした刺激には大きな意義がある。RPAの利用には先進性を感じることができ、若手社員にとって新たな刺激になるはずだ。
―― Digital Workersを導入する際に留意すべき点を教えてください。
グリービー氏 どこから着手すべきかを把握し、適切なガバナンスを設定することだ。そうしないと、RPAを始めたときに面倒な事態が起きかねない。
当社のITチームには葛藤がある。RPAの後押しによって、社員はビジネスプロセスを遂行しやすくなる。一方でITチームがRPAの導入を担当すると、要対応の仕事を非常に多く抱えることになる。その結果、事業部門がITチームに不満を感じたり、別の技術を使ったりする。このような状態を防ぐためにRPA開発の専門家がいた方が良い。開発を担当するIT担当者と、インフラ管理をするIT担当者の連携も必要だ。
―― Digital Workersと社員はどのように関係しますか。
グリービー氏 社員から作業価値が低いと感じられている一部の作業では、RPAが非常に大きな刺激になっている。社員は、こうした作業が日常業務から取り除かれ、自身がすべきだと考えている仕事に、高いレベルで専念できることに大いに心を躍らせている。当社は、全ての事業グループで3週間のうちに合計32回のワークショップを開催し、社員が日常業務から取り除いてほしいと考える作業のアイデアを70件受け取った。そうしたアイデアはひっきりなしに浮かんでくる。会社で自動化の利用を増やして、ビジネスモデルの原動力が変わるように後押しすれば、多くの場合、社員は新しいことに取り組みやすくなる。
―― RPAを導入したことで社員の定着率に影響がありましたか。
グリービー氏 事業が大きくなるほど、人員削減のためにRPAを検討する機会は増えていく。企業が社員の定着率を考えるなら、RPAを導入すべきだ。そうすれば残業コストを削減しながら、高度な技術を備えた社員の仕事満足度を高く維持できる。
RPA導入では、当社の成長を促し、大量の仕事を効率的に処理できるように心掛けている。残業をなくし、データエラーが起きないようにすることが肝心だ。当社は仕事を海外に振り分けようとは考えていない。ロボティクスは当社の地域内で、かつ適切なコストで業務を遂行するための、次の大きなステップになる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
9
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー