優れたビッグデータ分析ツールの特徴とは?
Tableau、Qlik Sense、Power BIの競合は? 「ビッグデータ可視化」の11大ツール
データドリブン志向の企業は、可視化ツールを使用してビッグデータに潜む結論を読み解き、その結論から有益な情報を導き出す。本稿ではビッグデータ分析に適した可視化ツールと選び方のポイントを紹介する。
ビッグデータ分析用の可視化ツールは、ただ絵を描くよりもはるかに多くのことを実行する。このような分析支援ツールを使うことで、データのパターンを素早く特定し、重要なデータを見つけやすくなる。
備え持つ特性と実用的な応用分野の点において、ビッグデータと可視化は両極端に位置する。「ビッグデータは、さまざまな領域の幅広いデータを収集して集約したものだ。これに対して可視化は、要求に応じて簡潔かつ明快で、要点を押さえた、体系化されたインサイト(気付き)を得るために利用する」。ITコンサルティング企業Brillioでデータおよび分析部門の責任者を務めるナレシュ・アガーワル氏はそう話す。
可視化ツールを利用する従業員の職種は、技術職であるデータサイエンティストから非技術職である基幹業務担当者まで幅広い。従来のデータウェアハウス(DWH)は、主に企業のITチームが管理していた。一方で「データは主にビジネス機能を向上させるための資産」という考えを持つ経営層が、ビッグデータ革命を推進している。そのため近年のビッグデータ業界では、ビジネスを推進するためのデータセットの収集ないし統合管理に重点が置かれている。
NTT DATA Servicesでビジネスインテリジェンス(BI)および分析部門のディレクターを務めるニティン・バジャジ氏は、次のように語る。「可視化ツールのエコシステムが成熟するにつれ、データをインサイトに変えるフロントエンド層(システムで利用者が直接操作する部分)の開発が注目されるようになっている」
人気のビッグデータ用可視化ツールとは
「ここ5~10年の可視化ツールの大きな傾向として、IT部門が開発した全社規模のツールから、アナリストが開発・保守するセルフサービス型のツールへと移っている」。そう話すのは、分析に特化した経営コンサルティング企業aspirentでビジュアル分析部門のプラクティスリーダーを務めるダン・ガスティノー氏だ。
データ分析ベンダーKyvos Insightsでテクニカルアーキテクトを務めるプラティーク・ジャイン氏は「ビッグデータの対話型分析手法のうち、データのフィルタリングやスライス&ダイス(視点を切り替えながら分析すること)ができるツールを探すとよい」と助言する。ユーザーが大量のデータを調べ、疑問に対する答えを即座に得られる速さで分析できるツールだ。
インサイトを社内外で簡単に共有できるコラボレーション機能も必要となると、ジャイン氏は指摘する。「優れたデータ分析ツールとは、さまざまな種類のデータを適切に表現できる図的要素を備え、ビッグデータの特徴を人が苦もなく思い描いて理解できるようにするツールだといえる」(同氏)
主要なBIおよび可視化ツールには次の3つがある。
- Tableau Softwareの「Tableau」
- Qlik Technologiesの「Qlik Sense」
- Microsoftの「Power BI」
Power BIには、Microsoftのクラウドサービス群「Microsoft Azure」と間でデータを適切に同期できるメリットがある。Office 365の企業向け最上位プラン「Office 365 Enterprise E5」を契約している企業は、利用に当たって追加コストが必要ない。
Qlik Senseの強みは、複数ソースのデータを統合して整形する機能だ。Webアプリケーションなので、複数のユーザーについてデスクトップアプリケーションを管理する手間が省ける。
Tableauはこの市場をリードする。エンドユーザーにダッシュボードを共有しやすいWebアプリケーション版と、可視化のためのダッシュボード作成機能を充実させたデスクトップアプリケーション版を用意する。
他にも、以下のようなビッグデータ用可視化ツールが普及している。
- Sisense
- 複数ソースからデータを集約して調査できる
- Datawrapper
- プログラミングなしで図や地図を生成できる
- Dash(提供元:Plotly)
- Webサイトやダッシュボードに視覚的分析を組み込める
- D3.js
- オープンソースソフトウェア(OSS)のJavaScriptツール。Webアプリケーションでデータを可視化できる
- Google Charts(提供元:Google)
- Webアプリケーションやモバイルアプリケーション向けの対話型グラフを作成できる
- Kibana
- OSSの可視化ツール。分散型データ分析ツール「Elasticsearch」(提供元:Elastic)のデータを可視化できる
- Domo
- さまざまな業種のユーザーが活用できるBIとデータ可視化を提供する
- Shiny
- 統計分析用プログラミング言語「R」のOSSの拡張パッケージ。Rを使った対話型Webアプリケーションを開発できる
データドリブンなコミュニケーションが大切
専門家は、データ可視化ツールを選ぶ際は柔軟な姿勢を持つことを勧める。そうしたツールの開発に携わる研究者は、絶えずビッグデータから知見を得るための新たな方法を探しているからだ。
このような例の一つに「Vega」がある。ワシントン大学のジェフ・ヘーア氏が指揮を執る「可視化文法」プロジェクトで、可視化表現を取り扱うための開発用フレームワークだ。共同作業用のデータカタログ作成ツールを提供するAlationで、設計および戦略的構想部門のバイスプレジデントを務めるアロン・カルプ氏は、Vegaに良い印象を抱いている。理由は、技術レベルや分析に費やせる時間が異なる人々が、対話型の可視化を簡単に構築できることにある。
規模が大きな、多次元のデータセットを扱う場合を考える。その際、パラメーターを変えて再読み込みする必要があるダッシュボードを使っても、データが意味することを静的イメージで簡潔に示すのはかつてないほど難しくなっている。Vegaなどの可視化ツールを使えば、データが時間とともにどう変化するかを個人でも簡単に表現できる。大人数の開発者チームを必要とすることなく、分析者はデータをさまざまな角度から詳しく調べ、異常値を削除したり、時間やデータ空間全体を通じて観察したりできる。
最終的に、ビッグデータ分析用の企業向け可視化ツールでは、洗練された目新しい視覚的表現を作成することではなく、データについてのコミュニケーションを向上させることが重要になるだろう。賢明な企業はそうしたツールを使って、スキルや専門分野が異なる人々の共同作業を促進する方法を探っている。可視化ツールや人間の知覚、心理学、デザイン/レイアウト、ビジネスについて、それぞれ専門知識を持つ人々が関わり合うだろう。
「真の課題はコミュニケーションだ。正しい色と形を使い、それを正しいラベル、タイトル、コンテキスト、前提、ビジネス環境と組み合わせて、インパクトを強める必要がある」(カルプ氏)
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