データの場所をどう捉えるか
「アプリケーション仮想化」の2大方式 サーバベースとクライアントベースの違い
アプリケーション仮想化製品は一般的に、仮想アプリケーションの配信方法に応じてサーバベース方式とクライアントベース方式の2種類がある。その主な違いはデータの場所だ。
「アプリケーション仮想化」製品は、アプリケーションの配備や管理を効率化するために、仮想化したアプリケーションを配信する。アプリケーション仮想化製品は、仮想アプリケーションの配信方法によって、大きく2種類に分類できる。一般的なのが、サーバベース方式とクライアントベース方式だ。どちらにも長所と短所がある。
サーバベース方式の場合、仮想アプリケーションはデータセンターのサーバ内に常駐する。クライアントベース方式では、仮想アプリケーションはユーザーデバイスのローカルに置かれる。どちらの方式を選択するかは、ビジネス要件で判断することになる。
大半の企業は、一元管理型のサーバベース方式のモデルを導入している。これはIT部門が、仮想アプリケーションからのデータ漏えいを防ぐために、ユーザーによるデータのコピーを制限する機能を必要としているためだ。データ漏えいの危険は、ユーザーがデータを自由にコピーできるような運用に潜んでいる、という認識に基づく。
どちらの方式のアプリケーション仮想化製品を導入する場合でも、必要とするユースケースに応じて適切な判断が下せるよう、あらかじめ十分に調査し、テストする必要がある。
サーバベース方式の特徴
サーバベース方式のアプリケーション仮想化製品には「Citrix Virtual Apps」「Horizon Apps」などがある。サーバベース方式には次のような利点がある。
- ユーザーエクスペリエンスの一元管理
- ユーザープロファイルに基づいて仮想アプリケーションへのユーザーのアクセス権を制限、付与する機能。ユーザーを一元管理することで、セキュリティ対策の拡張や製品/サービスの保守が容易になる。
- パッチの一元管理
- デスクトップのセキュリティ対策が絶え間なく変わる現在、これは非常に重要な要素だ。IT部門は極めて素早く、そして人手を事実上ほとんど介することなく、仮想デスクトップと仮想アプリケーションにパッチを適用できる。
- 徹底した制御
- データをデータセンターから外部に出す必要がないため、データ盗難のリスクを軽減できる。例えば従業員が退職する場合、その従業員の社内リソースへのアクセス権を簡単に削除できる。ネットワーク層でデータ持ち出しを防止することも可能だ。セキュリティ対策が非常に強固になる。
コストがかさむ傾向がある点はサーバベース方式の短所だ。サーバベース方式のアプリケーション仮想化製品には、追加のライセンスを必要とするものが少なくない。例えばMicrosoftの画面転送機能「リモートデスクトップサービス」(RDS)を使用するには、同社の「クライアントアクセスライセンス」(CAL)が必要になる。ライセンス費用は、仮想アプリケーションの使用方法によっては高額になる場合がある。
クライアントベース型の特徴
サーバベース方式とは対照的なクライアントベース方式のアプリケーション仮想化製品としてMicrosoftの「Application Virtualization」(App-V)がある。クライアントベース方式にもサーバベース方式とは異なる長所と短所がある。例えば次のような長所がある。
- 基本的にリモートアクセス機能にライセンスは必要ない。ただし仮想アプリケーションの実行時にライセンスの取得を求めるベンダーもある。
- ユーザーはネットワークに接続しなくても仮想アプリケーションを実行できる。ネットワーク接続が必要ないため、仮想アプリケーションをどこでも使用できる利点がある。ただし仮想アプリケーションの実行時には、ネットワーク接続が必要になる場合もある。
クライアントベース方式では、IT部門が仮想アプリケーションを一元管理するわけではない。そのため、ユーザーデバイスのローカルにデータが保存されている場合、紛失や盗難によるデータ漏えいのリスクがあるという短所がある。これが問題になるかどうかは、仮想アプリケーションの機密レベルによって異なる。デバイス紛失時のセキュリティ対策として、暗号化とサンドボックス化が適用された状態で仮想アプリケーションを配信する製品もある
退職した従業員のアクセス権を削除する際に問題が発生する場合があるのも、クライアントベース方式の注意点だ。ただしIT部門は、デバイスの起動時にネットワークの更新を義務化することで、ある程度この問題を解消できる。
システムがデータセンター内になく、データ転送速度が常に十分とは限らないため、クライアントベース型ではバックアップを十分に取れない可能性がある。機密データのバックアップが必要な場合には、これが問題になる。
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