バックアップは災害復旧(DR)の要
「クラウドバックアップ」の選定でまず解消すべき“3つの疑問”
クラウドバックアップを軸に災害復旧(DR)を準備したいなら、堅実な計画を立てるべきだ。戦略を考える前に、一般的なバックアップ手法、ツール、レプリケーションに関するよくある疑問を解決しておこう。
データ損失のリスクを負いたくなければ、IT部門は堅実なバックアップ計画の策定に時間を費やす必要がある。具体的なバックアップの手段として有力な選択肢となるのが、バックアップデータをクラウドに保管するクラウドバックアップだ。
一般的には、クラウドバックアップはデータを予備の場所にコピーして保存する。アーカイブサービスがこの例に当たる。ソースデータが侵害を受けた場合、企業はバックアップデータを取り出し、侵害の事象が発生した時点より前の状態に復元する。
バックアッププロセスと災害復旧(DR)は連携して機能する。企業のDR戦略ではバックアップを利用してシステムをオンラインに戻す。クラウドバックアップの利用計画を立ち上げて運用に向けて準備を整えるには、以下のよくある疑問を確認しておく必要がある。
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1.どのようなクラウドバックアップ手法を調査するか
クラウドバックアップ戦略は、多様な選択肢を比較検討することが重要な手順になる。1つ目の選択肢は、アプリケーションをホストしているのと同じクラウド内でバックアップする方法だ。これは他のバックアップ手法と比べて導入が簡単でコストも安くなる。だが分離性に乏しい。同じクラウドでも別のリージョンにバックアップできない場合は特にそうだ。ベンダー側で機能が停止したり、セキュリティ侵害が発生したりすると、システム全体の機能が停止する恐れがある。
2つ目の選択肢は、ハイブリッドアプローチの採用だ。クラウドでホストしているアプリケーションのデータをローカルにバックアップする。ローカルであれば、保管、ストレージ、セキュリティをIT部門が完全に制御できる。この場合はデータソースからの高度な分離性が実現でき、クラウド障害の影響が最小限に抑えられる。ただし、この方法は遅延の問題を招き、復元が遅れる恐れがある。クラウドとオンプレミスの環境が物理的に切り離されているためだ。
最後の選択肢は、あるクラウドから別のクラウドへのバックアップを実行する方法だ。例えばデータを「Amazon Web Services」(AWS)でホストしている場合、そのデータを「Microsoft Azure」にバックアップする。この手法ではオンプレミスバックアップ手法のような分離性が実現できる。しかも復旧時間も早まる。ただし、コストへの影響がある。ベンダーは利用されたネットワーク通信容量の対価をユーザーに請求するためだ。クラウド間VPN(仮想プライベートネットワーク)など追加のインフラコンポーネントもコストが増える可能性につながる。
2.クラウドバックアップをサポートするツールとは
Google、AWS、Microsoftなどのパブリッククラウドベンダーは、クラウドストレージとバックアップのツールを複数提供している。例えばGoogleの「Google Cloud Storage Coldline」、AWSの「Amazon S3 Glacier」、Microsoftの「Azure Archive Storage」はいずれも、アクセス頻度が低いバックアップデータを保管するサービスだ。Microsoftは「Azure Backup」も提供している。これは自動クラウドバックアップサービスで、管理者は「ローカル冗長ストレージ」(LRS)と「geo冗長ストレージ」(GRS)という2つのストレージオプションを選べる。前者は同じリージョン内にデータコピーを配置する。後者はセカンダリーリージョンにデータをレプリケート(複製)する。AWSは「AWS Backup」という同様のサービスを提供し、Googleもオンデマンドの自動バックアップオプションを用意している。
Acronis International、Druva、Veeam Softwareなど、クラウドベースのバックアップと復旧ソフトウェアを提供するサードパーティーベンダーもある。
3.レプリケーションと保護のベストプラクティスとは
クラウドバックアップ戦略でワークロード(システム)を保護する重要な2つの要素は、フェイルオーバーとレプリケーションだ。パブリッククラウドベンダーは世界中にさまざまなリージョンを用意している。IT部門はこれらのリージョンをフェイルオーバー先やレプリケーション先として利用できる。ただしリージョンを選ぶに当たっては遅延の問題を考えなければならない。レプリケーション先とソースデータの距離が離れるほど、レプリケーションプロセスで発生する遅延は増えることになる。
レプリケーションやスナップショットなど、クラウドベースのバックアッププロセスで適度なパフォーマンスを確保するには、適切な量の通信容量が必要になる。通信容量のコストはあっという間に増大する恐れがあるため、企業は移動するデータ量と移動の際に必要な伝送速度を詳しく調査する必要がある。信頼性と一貫性の向上を求める場合は、Microsoftの「Azure ExpressRoute」やAWSの「AWS Direct Connect」などの専用線接続を検討する。
ワークロードのレプリケーションをするときには、通信容量の問題を回避するため、イベントのシーケンス(実行順序)を定義する。重要なワークロードを優先するスケジュールを作成し、フェイルオーバー時に最も重要なシステムが停止しないようにすることが不可欠だ。
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